それでは、どうぞ
「はいホームランッ」ガンッ!!
「ギュォー」
美しいフォームで放たれたスイングはピョンと跳んできたマッドフロッグの腹を捉えてそのままかっ飛ばす。気の抜ける鳴き声を漏らしながら遥か遠くに飛んでいった蛙に対して「ファー」と声を出すオルトを他所にジョシュアは『懺悔』をマジマジと観察し始める。
「ん、マッドフロッグには打撃が効きにくい筈なんだけど普通のハンマーよりもダメージの通りが良い気がする。説明では強くないとか書かれてたけど」
「それはおそらく、精神を直接叩いてるからなのです」
真上に登るまであともう少し辺りにある太陽に翳せば金属部分が鈍く光を反射するそれは何処となく不思議な感覚を自身に流してくる感覚がある。
「どういうこと?」
「館長曰く、その『懺悔』を代表とした精神に干渉できるE.G.Oは精神や魂にダメージを与えてそれを肉体にふぃーどばっく?させてるらしいのです」
「へぇ、中々応用が利きそうな…」
「ワタクシの『崇高な誓い』もその類なのです。ほら、この通り」
お試しと言わんばかりにトリガーを引かれた『崇高な誓い』からは何かが出た様子は無く、しかし射線の先にあった岩壁にはあからさまに存在し得ない物が舞っていた。
「蝶?」
「あの蝶は相手の生命力と精神力を奪うのです。彼らは哀悼と共にその身を羽ばたかせて、白い蝶は死者の為に、黒い蝶は生者の為に命を散らすのです」
「哀悼……」
ヒラヒラと舞っていた白い蝶が解けるように消えていくのを眺めながら思いふける。昨日に言葉を交わしたあの神々しい髑髏の力が込められた装備といい、E.G.Oは総じてこのシャンフロの世界観とは若干ズレている気がしなくもない。
「確か、E.G.Oは幻想体が元になってるんだったっけ」
「はい、この『崇高な誓い』も『死んだ蝶の葬儀』という幻想体から抽出したのです。あの方とは何回もお話しましたが大変優しい方だったのです!」
「ふーん、『たった一つの罪と…』……長いから『罪善さん』でいいか、『罪善さん』みたいに会話オンリーの幻想体も居るんだね」
「あ、勿論初対面の時は容赦なく殺しに来てたので応戦したのです。ワタクシの決死の回し蹴りが決まらなかったらどうなっていたことか……あの時は間違いなく、ワタクシの
「その後のコミュニケーションでクリティカルした感じだったかぁ……
前々から思っていたがあの図書館に関わると思考回路が物騒になるのだろうか。まぁ決してジョシュアが言えた義理では無い為口に出すことはないが。
「まぁいいや、そろそろセカンディルに戻ろっか。少し宿で休憩した後、武器を取りに行って素材売ったりしたら図書館に戻ろう」
「了解なのです」
オルトを左肩に乗せ、沼荒野を駆け始める。途中、岩肌に擬態していたロックリザードや少し強そうなゴブリン等と遭遇したが、その全てが生体装備の餌食となり、ポリゴンを散らして消えていくのであった。
「ん、鍛冶師さん、出来てる?」
「お、丁度いいタイミングだったな嬢ちゃん。依頼された品物、全部仕上げておいたぞ」
再び変装?を行い街に入り、宿屋の一室で一度ログアウトした後、数時間前に訪れた鍛冶屋の扉を再び開ける。カウンターにいた店主は客に気付くと注文されていた品々を並べ、ジョシュアは自身に表示された説明を閲覧し始める。
湖沼の太刀
澱めど輝きの欠片を見せる太刀。
沼荒野の良質な鉱石から作られたそれは戦士の長き友となるであろう。
この刃に輝きを宿せるかは使い手次第。
クリティカル攻撃に成功時、一定時間耐久値の減少が半分になる。
ロックリザードの頭を模した両手鎚。
獣甲石が贅沢に使用され軽さと頑丈さを両立させており、鉄をも砕く一撃を放てるだろう。
攻撃的中時、瞬間的に重量が増加する
ロックリザードの手を模したベアクロー。
岩蜥蜴の素材が贅沢に使用され軽さと頑丈さを両立させており、鉄をも裂く一撃を放てるだろう。
攻撃的中時、瞬間的に重量が増加する
一通りの効果等を読み込みながらジョシュアはほほう、と声を漏らす。
「凄い、コレ振るだけ擬似的にインパクトを再現出来る」
「ロックリザードから採れる獣甲石は天然の合金みたいなもんでな、しかも衝撃を与えれば硬度が上がるおまけ付きだ」
「湖沼の太刀は耐久重視?ん、とても良い、思う存分に振り回せる」
試しにカウンターに置かれた湖沼の太刀を手に取り、その刃を眺める。自身や弟がのめり込んでいるゲームの感覚を思い出したのか、その口元には僅かに笑みが浮かんでいた。
「今回はどうも、代金はどれぐらい?」
「いんや、今回嬢ちゃんが持ち込んでくれた鉱石や素材がまだ結構残っててなぁ。それをこっちで引き取っていいんならそれを代金の代わりって事にするが…どうだ?」
「ん、ならそうする。ありがと、鍛冶師さん」
「おう、そいつらを
「育てる……ん、武器の強化のことかな、ならまた来る」
握っていた湖沼の太刀とカウンターに並べられた岩々しい鎚と爪、致命の鋸をインベントリに仕舞い込んだジョシュアはそのままセカンディルの街へと繰り出す。
「中々良いのを手に入れた。試し振りは図書館でしよっか」
「了解なのです」
その後、レベル上げで手に入れた素材達を店で売り払い、1人と一羽はセカンディルから姿を消したのだった。
図書館に戻ってきたジョシュアは手始めにステータスとスキルの確認を行う為に画面を開く。
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PN:ジョシュア
レベル:29
メイン職業:司書補
サブ職業:傭兵(片手剣使い)
体力 20 魔力 10
スタミナ 80
筋力 40(55) 敏捷 65(75)
器用 35 技量 35
耐久力 1(151) 幸運 60
残りステータスPt.0
装備
左:無し 右:無し
頭:無し
胴:司書補の制服 (耐久力+70)
腰:司書補のベルト (耐久力+20)
脚:司書補の革靴 (耐久力+40)
アクセサリー:導路のミサンガ (俊敏+10)
コアページ:テイン (筋力+15 耐久力+20)
生体装備《鈎鎌》
108543マーニ
スキル
・スピンスラッシュ
・ナックルラッシュ
・旋脚
・オプレッションキック Lv.MAX
・ジャストパリィ
・ループスラッシュ Lv.MAX
・パワースラッシュ Lv.MAX
・ウェポンスロー → シュートヴェイン
・スライドムーブ
・アクトブレイク
・四艘跳び → 五艘跳び
・スクーピアス → スパイラルエッジ
・アクセル Lv.MAX
・光の種 第弐段階
・オフロード Lv.MAX
・ムーンジャンパー
・スカルシェイカー
・エッジクライム
・ショットスタンプ NEW
・舞空撃 NEW
ページスキル
・鈎の血
・滅多斬り
・
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「ん、コアページと装備って別判定なんだ。スキルもあるし……他の奴はどんなんだろ」
メイスである『懺悔』に無事だった致命の包丁も交えて戦闘を行った為か打撃系の新スキルと共に斬撃や刺突系のスキルも育っていた事に満足しながらも意識を向けるは新しく追加された欄、『コアページ』と『ページスキル』である。
ずっと装備したままだったがこのコアページとやらは「更なる外付けパーツ」のような物であり、見た目の変更こそあるもののかなり有用なもののようだ。付随するスキルもどちらもそこそこ強力であり、他のコアページの内容が気になるのも当たり前と言うものだ。
なお《光の種 第弐段階》の効果も一応見てみたが取り敢えずスルーしておくことにした。何か効果が倍増してたとか見てない、無いったら無いのだ。
「ん、それじゃあ例の戦闘記録について教えて欲しい」
「分かったのです!」
準備を終え、案内の為に前を歩くオルトに続くジョシュア。やがて周囲の風景はシックな雰囲気の木製の床や本棚で構成された落ち着きと僅かな暖かみのある場所から白と黒、灰色で統一された空間へと切り替わる。意識していなかったとはいえ、ココまで変わるものかと目を見張るジョシュアを他所に、オルトはキョロキョロと目的の品を探していた。
「えーっと確かこのエリアに……」
「ここは?中央とは大分雰囲気が違うけど」
「ここは総記エリア、他のエリア……分類に属さない本は大体ここに集まるのでその量も膨大なのです」
「だからこんな大量に積まれてるんだ」
「お恥ずかしい限りですが、ワタクシ達だけではこの量を捌くのは困難なのです……館長様は此処にある全ての本の内容を把握してらっしゃるので問題は無いのでしょうが、少し気になってしまうのです」
「………全て?」
その言葉にグルリと周りを見る。あるのは本、本、本、本。現実世界の図書館でもここまでの蔵書量があるかどうか分からないレベルだが、コレでもまだ
「この量を?ここら辺だけで一万超えてそうだけど」
「ワタクシだって今まで読んだ本の内容を一言一句間違えずに全て覚えるなんて芸当は不可能なのです。ですが館長様なら可能なのです」
「凄いなぁ」
「なのですなのです……っと!あったのです!」
想像も出来ない程の記憶容量に簡単な感想しか出てこない。そもそも気にしていなかったがアンジェラは何者なのだろうか?そしてこの『図書館』とは何なのだろうか?そんな疑問が頭を巡り続けていたが、そんな状況もオルトの喜色の混じった声によって断ち切られた。
ピョンピョコ近付いてきたオルトが差し出したのは一冊のチープな本、そのタイトルをジョシュアは口に出す。
「『ネズミの本』、ね」
「それが、今現在ジョシュア様が挑むことのできる戦闘記録なのです。まだまだ膨大な数の戦闘記録があるのですが、それらは無駄な図書館の力の乱用を防ぐ為に条件付きのロックが成されているのです」
『ネズミ』という言葉が何を示すのかをジョシュアは知る由もないが、それでも問題にはならない。開拓者とは、未知を己の身で持って暴き、世界を拓く生物なのだから。
「ロックを解く方法はただ一つ!示された戦闘記録の再演を打ち倒すこと!」
「つまり段階式の解除。ん、楽しみになってきた」
まだ見ぬ敵にジョシュアの笑みが深まる。
「早速やろう」
「頑張って下さいなのです!」
本をしっかり握って開けた空間へ歩を進める。
使い方は既に
「ん、接待開始」
そう一言呟けば持っていた本がその手を離れ空中にて頁を撒き散らす。
消えてしまった『ネズミの本』があった部分を眺めていたジョシュアがふと気配を感じて振り返れば、そこにはこちらに武器を向けて立つ人影が3つ。
「へぇ、最初から殺る気なんだ」
その全員が少し薄汚れた現代風の衣装を身に纏い、やはりというかシャンフロのファンタジー感とは離れた雰囲気を醸し出している。
そして何よりも特徴的なのは顔を見えないようにする空間が直接細いペンで塗りつぶされたようなモザイク。
「色々と知りたい事は増えたけど…取り敢えず、シャンフロでは初めての対人戦だから全力で行こう」
疑問を捨て去り、取り出したるは湖沼の太刀。幕末の世界で己の一部と同等に成る程に使い込んだ武装を握ってジョシュアはニコリと可愛らしく微笑む。
「さぁ、強さを魅せて?」
『懺悔』についてですがいくら弱いE.G.OだとしてもE.G.OはE.G.Oなので武器としての性能はそこそこありますし、肉質による耐性はフル無視出来ます。
まぁその完全上位互換が山程あるんですが
・鈎の血飛沫
鈎事務所コアページ専用スキル
敵を1体倒す毎にダメージ1%上昇 持続時間20秒
・滅多斬り
鈎事務所コアページ専用スキル
連続攻撃時、ダメージを1.1倍にする
・
テインコアページ専用スキル
一度ダメージを与えた対象を連続で攻撃する際、クリティカルに補正が入る
要約 クリティカル狙って殴りまくれ
後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは
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いる
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いらない
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セルマァ……