司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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残業続きで書く気力が無く、別の小説も同時並行で書いてるので遅くなりました。
ヴァルプルギスは良かったですが、貯めに貯めていた狂気が殆ど持っていかれましたね。




それでは、どうぞ


沼に潜むは夢喰らい

「えっほ、えっほ」

「ジョシュア様、もうすぐ沼掘り(マッドディグ)の生存区域なのです!」

「ありがとオルト」

 

道中、特にトラブルもなく向かってきたモンスターを処理しながらも沼荒野を突き進む一人と一匹。

 

「ここまで来れば誰も見てないかな……ん、オルト、そろそろ出てきても良いよ」

「了解したのです」

 

フードに丸まって収まっていたオルトはピョイと跳んて地面に降り立つ。うんと伸びをして自らの服装を整えるのを待ってから、ジョシュアは次の街であるサードレマへ繋がる唯一の道へと歩き始めた。

 

「所でジョシュア様、貴方様は沼掘り(マッドディグ)の事はどの程度ご存知で?」

「まぁプレイヤー……開拓者間で共有されてる情報には一応目を通した。確かフィールドがほぼ沼地で安定した足場は飛び石状態とか、1人で挑むと落下死させてくるとか、そんなとこ」

「成る程、基本的な事はもうご存知なのですね。でしたらワタクシは徹底的にサポートするのみなのです」

「ん、頼りにしてる」

 

そんなほのぼのとした会話を交わしながら突撃してきた羊型モンスターを蹴り殺したり、他プレイヤーの気配を感じて岩陰に隠れながら進むジョシュアとオルト。

そして数分後、2人の姿は大きな沼地に飛び石のように小さな足場が存在しているような場所にあった。

 

「さて、着いた訳だけど……」

「ふむむ……?」

 

しかしいくら進み待てどもエリアボスがジョシュア達の前に現れない。流石に違和感を感じて足を止めて周囲を見回すが、辺りは沈黙が支配していた。

 

「………モンスターの気配が無い?」

「可笑しいのです。沼掘り(マッドディグ)は縄張り意識が強いモンスター、住処に侵入したのなら直ぐに姿を現す筈なのです」

「それにしてはどう考えても静か過ぎる……一応武器構えて直ぐ戦えるようにしてて」

「了解なのです」

 

異様な雰囲気を感じ取った1人と1羽は各々武器を呼び出した。ジョシュアは湖沼の太刀、オルトは『崇高な誓い』を握り、辺りを警戒しながら歩を進める。

沼に足を取られないよう飛び石を跳んで移りながら

その数秒後だった。

 

ザッパン

 

「「!」」

 

ジョシュア達の前方10m先辺りの沼の泥水が膨らみ、風船のように弾ける。その地点を中心に発生した濁流をオルトを抱えて避けて岩場に着地したジョシュアはその正体をまじまじと観察し始めた。

 

「サメかな?」

沼掘り(マッドディグ)なのです!ここまで隠密の精度が高いとは……やはり本だけでは分からない事も多いのです!」

 

やる気満々といった様子のオルトに乗じて武器を構えようとするジョシュア。

しかしながら、当のモンスターは沼から顔を出してからというもの、コチラに意識を向けるどころか一切動く様子を見せない。

 

「…………」

 

「……いや、様子が可笑しい」

「?」

「多分、あれは……」

 

何とも言えないながらも確実に感じる何か、段々と疑問が膨らんでくる中、その違和感の意味は一瞬で理解に至った。

 

 

「……………」

 

 

バシャン!!

 

 

「なんと!?」

「…………」

 

出てきた沼掘り(マッドディグ)の身体が突如として倒れ込み、赤いポリゴンとなって霧散する。

あまりにも異常なその光景にオルトは驚きの声を上げてジョシュアは目を見開きながらも思考を巡らせ始めた。

 

(エリアボスが勝手に倒される事例なんて聞いたこと無い……いや、まだ始めて日が浅いから僕が知らないだけかもしれないけど、あの傷跡はどう考えても自滅じゃない。それに沼掘り(マッドディグ)()()()()()()()()。なら……)

「これをやった奴が直ぐ近くにいる」

「ッ!もう一度、下から来るのです!」

 

ジョシュアの頭が結論を弾き出したと同時に、立ちはだかる筈だった鮫鯰が消え去り、静かになっていた沼が再び膨れ上がる。

 

 

ザッパン!!

 

 

現れたのは先程の鮫鯰よりも巨体なナニカ

 

「………あぁ、そういうこと」

 

小さな開拓者と仔兎の目に映ったのは沼の飛沫の隙間から覗く鮮やかな蛍光色

 

「な、なな…………!?」

 

更に目立つのは身体の半ばまで裂けた口と背鰭の周囲に突き刺さる蛍光灯

 

 

そんな独特な姿持つ存在はシャンフロの世界は広いと言えど早々居るはずも無い

 

 

 

しかし相対するのは()()()の存在をよく知る者達

 

故にその気配から現れたナニカの正体を割り出せた

 

 

 

 

 

「キュァァァァ」

 

 

幻想体(アブノーマリティ)

『夢貪る濁流と遭遇しました』

 

 

 

 

 

 

 

 

「アブノーマリティ!?なぜここに!?」

「アンジェラの言ってた意味が分かった。僕が近付けば反応するっていうのはこういう事か」

 

沼掘り(マッドディグ)を屠ったであろう蛍光鯱は宙をまるで己のテリトリーであるかのように悠々自適に泳ぎ回る。

その姿を暫く観察していたジョシュアだったが不意に横を見れば呆然とした様子でそれを見上げているオルトの姿が目に入り、仕方ないと微笑みながら声を掛ける

 

「オルト」

「ど、どうしたのです?」

「どのみち僕らがやることは変わらない、ただ目の前の敵を打ち倒して進むだけ。違う?」

「!」

 

相方からの言葉にオルトはピンと耳を立てさせる。

 

「その通りなのです!致命(ヴォーパル)魂全開なのです!」

「ん、リュカオーンと比べれば少し劣るけど、それでもこれまでのモンスター達とは比べ物にならなそう」

 

自らの矜持を刺激され、フンスフンスと気合い十分に『崇高な誓い』を構え直すオルト。

そんなオルトを持ち上げて自身の肩に乗せたジョシュアはコチラを捉えたのか自分達の方へと顔を向けた『夢貪る濁流』に向けて、

 

 

「あぁ………たのしみだなぁ」

 

 

その口元に蠱惑的な笑みを浮かばせていた。




ユニークシナリオ『Library Of Ruina』の特徴

・最初の一回に限り、エリアボスが特定の幻想体へと置換される

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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