司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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リンバスカンパニーの今後がとっても楽しみです
一体どんな風に性癖を壊してくれるのでしょうか、まぁ一部界隈は既に手遅れそうですが

 


それでは、どうぞ


揺蕩う濁流は蛍光色

「キュリァァァァ」

 

空をまるで水中を泳ぐように動き回っていた『夢貪る濁流』が徐ろに旋回し始める。段々と加速している様子であり、その溜められている力が解放される瞬間を警戒してジョシュアは姿勢を低くして構える。

 

その瞬間だった。

 

ザッパン!!

 

「!?っおぶ」

「あぼぼぼぼ!?」

 

ジョシュアとオルトに対し何処からともなく溢れ出した大量の水が襲いかかり、あっという間に周辺ごと水没させてしまう。

突如として水中へと放り出された一人と一羽だったが、溺れかけはしたものの反射的に息を大きく吸い込んだお陰か少しばかり周りを見る猶予は出来たようだ。

 

(……これは)

 

水中である筈なのに視界がくっきりとしているのはゲームの仕様であると納得するとして、問題なのは周囲の景色だった。

 

(ん、沼荒野のぬの字も無い、もしかしてあの本の中みたいな状態になってる?)

 

切り立った崖が周りを囲い、足元には沼が広がっていた場所に立っていた筈なのだが、既にその景色は辺りが水で満たされた瞬間に切り替わったように見る影もなくなくなっていた。

足元はタールのような粘性の液体が波打った状態で固定されたかのような硬い地面、周囲には鮮やかにターコイズブルーの光を灯して地面に突き刺さるサイズが様々な無数のひび割れた蛍光灯、そしてそれらが同じようになっている遠目に見える山々。

最早別の世界が上書きされたとしか言えないその状況は、それを起こしたであろう怪物と相対する者達に混乱を与えるのも必須だろう。

 

(あの本の中は幻想体の心象風景をそのまま抜き出したような場所だと思ってたけど、もしかして一番力が発揮出来る場所が正解だったりするのかな?だったらなんで水の中なのに挙動自体は普段通りなんだろ?)

 

水圧のような物は感じるものの何故か水の抵抗力が無く、普通に地に足を付けて普通に歩ける事に少しばかり違和感を覚えながらも、どんどんと思考を巡らせていく。混乱する要素は多々あれど、今早急に対処すべき物は既に定まっていた。

 

 

(いずれにせよ、少し、ヤバいかな

 

 

ホントに息継ぎどうするのこれ)

 

「んむむ〜〜〜!?」

 

色々とある目下の問題として一番緊急性が高いもの、それは酸素の供給だった。

様々な面でリアルな部分が再現されているシャンフロには窒息による死も勿論存在する。故に水中で酸素を切らせばそのまま死に至るのだ。

生き返れる(リスポーン出来る)自分はまだ良いとして、致命的なのは今現在肩に陣取って必死に息を止めているオルトの存在である。

 

(このままだと数分も経たない内にオルトが死ぬ。それだけは絶対に避けなきゃ……)

「ッ!!」

 

どうにか解決策を見いだそうと思考を巡らせていたとしても、それを知る由もない向こう側は遠慮なくコチラに迫って来ていた。

身体をしならせジョシュア達の目の前で一瞬止まったかと思えば、そのまま張り詰めた弓のようなその尾を解き放って攻撃してくる。

 

(レペルカウンターッ!)

 

即座に太刀を振るってスキルを発動し攻撃を迎え撃つ。言葉に出すことは出来ずともしっかりと効力を発揮したそれは『夢貪る濁流』の尾を逸らす事に成功する。

 

「んごぼぼ」

(おっもい、やっぱり質量は正義)

 

しかしそれは想定していた挙動ではなく、本来であれば弾き()()()ダメージを与えるスキルを無理矢理押し切られた事に内心驚愕しつつ、これからどう迎え撃つかを思考し始める。

向こう側は牽制のつもりだったのかコチラの様子を伺うように近くを回遊し始めており、張り詰めるような緊張感が辺りを支配していた。

 

「んー!んー!」

「ん?」

(オルト?)

 

その状況を動かしたのは肩に乗って幻想体の観察を続けていたオルトだった。ジョシュアの頬をポンポン叩き、息を止めながら呻いてある方向を指し示す。

 

(蛍光灯……調べてみる価値はありそうッ!?)

 

「キュリァァァァッ!!」

 

地面から生えるように突き刺さる蛍光灯に意識を向けたその時、再び幻想体が動きを見せる。

自身がしっかりと踏み締めて居る為に完全な固体かと考えていた波打つタールのような地面に潜り、背中の蛍光色のヒレと何故かぶっ刺さる蛍光灯だけを出して掻き分けながら進む姿はまるでパニックホラーに出てくる鮫の様相である。

次に繋がる動作が見えない状態になり細かく観察しても予測できない動きに翻弄され、遂にはトップスピードで懐に入り込むように飛び出し、その裂かれたような口を大きく開け、矮小な存在を飲み込まんと迫る。

 

(アクセルッ、ムーンジャンパーッ!)

 

スキルの点火による強化がかかった脚力で左右から閉じられる巨大な口から逃れるように跳ぶ。しかし攻撃を回避された蛍光鯱は即座に再び地面に潜るとそのまま旋回、空中の獲物目掛けて思い切りジャンプした。

 

(オルト、調査お願い)

 

ガシッ

 

「んむむッ!?」

「んっ!!」ブォンッ

「むがぼぼぼぼぼっ!?」

 

それを見たジョシュアが取った行動はヘイトの引き受けだった。

肩に乗ったままだったオルトを鷲掴むとそのまま『シュートヴェイン』で地面に突き刺さる蛍光灯目掛けてぶん投げ、湖沼の太刀を両手で構える。

 

「んーんッ!」

 

そのまま宙を泳いでタックルしてくる『夢貪る濁流』に対し、身体を捻ってから『パワースラッシュ』を叩き込んだ。

真正面からかち合った体当たりと斬撃だったが、空中という不安定な状況ではスキルの補正ありとは言えどそこまで威力は出せずダメージはさほど出せはしなかった。

 

「ん"ッ」

 

しかしぶつかり合った所を起点に宙に浮いた自分の身体を刀で持ち上げるように力を込め、タックルの軌道から自身の身体を逸らすことには成功する。

迫るヒレを避け、蛍光灯の一本に腕を引っ掛けたジョシュアはそのまま『夢貪る濁流』の背中に掴まった。

 

「んむむむむむむむ」

 

ロデオと言うにはあまりにも振り回され過ぎてはいるが口から空気を零しながらも何とかしがみつき、己を振り落とそうとする動作を誘発させる。

身体を捻ったり水中を縦横無尽に駆け回ったりと異物を背中から引き剥がそうとする幻想体に徐々にスタミナを削られながらもその目的は既に見据えられていた。

 

 

(ちょっと手が離せなさそうかな

 

 

周辺の調査、頼んだよオルト)

 

 

時間稼ぎは始まったばかりである。




『夢貪る濁流』のここがクソ

・開始早々にフィールド自体を水中に引きずり込んでくる
→炎系統の魔法は使えないし雷系統の魔法を使うと感電という名の二次被害が広範囲に出る
・自身以外のキャラは地上時の状態と殆ど変わらないが呼吸だけが水中時の判定になる
→解決策が無ければ酸素ゲージ的なのが無くなった瞬間即死
・本幻想体は空中でも地中でも水中時と泳ぐスピードが変わらない
→奇襲やり放題+某狩りゲーのワールドツアーが可能

結論 クソモンスター

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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