他のシャンフロ二次創作の作者様の皆様を見習って何とか続けたいです
それでは、どうぞ
「んぶっ……!」
ジョシュアが『夢貪る濁流』にしがみつく中、ぶん投げられたオルトは空中で何とか姿勢を制御して何とか地面に着地していた。
(ジョシュア様は兎使いが荒いのです……しかし、今この瞬間を作り出せたのはジョシュア様の咄嗟の判断によるもの、ワタクシが何とかしなければ!)
口の中で留めている空気を漏らさないように押さえながら上を見上げれば、蛍光灯の一本に左腕全体を絡ませるようにして身体を固定し、振り回されてかかるGに耐えながらも湖沼の太刀から切り替えた獣石爪を手に『ナックルラッシュ』を叩き込んでいた。
割と元気そうに見えるが呼吸出来ない状況であることは依然変わりなく、その解決策を探る為にオルトは近場に突き刺さっていた罅入りの蛍光灯へと歩みを進めた。
(この蛍光灯、あのアブノーマリティの背中に突き刺さってるのと同じ感じがするのです。割ってみれば何か変化が……!)
ボンヤリと光を放つそれを前にして、オルトは手に持っていた『崇高な誓い』を仕舞うとその小さな手を前に伸ばす。
(どうかワタクシに守る為の加護を、幻想落涙!)
心の中で自身に与えられた力を起動する言葉を唱えればオルトの手の内に蒼い光が現れ、一つの細剣を紡ぎ上げた。
持ち手の角ばったナックルガードには淡い光が星座のように連なって灯り、剣身は銀から夜空のような黒の美しいグラデーションを形成している。
そんな美しい細剣……『鋭利な涙の剣』を掴んだオルトは横に振るって構えをとるとそのまま蛍光灯目掛けて跳躍する。
「んむむー!!」
ズガガガガガガガガガカッ!!!
水中ということで気の抜けるようなうめき声と共にオルトの兎という種族と幼さ故にリーチのあまりない腕から繰り出されたとは思えない程に洗練され速度の付いた刺突のラッシュが繰り出される。
分裂しているのではと錯覚する程の連撃は既に壊れかけだった物を破壊するには十分だったようで、蛍光灯は地面から10cm程度の部分を残して数十もの破片となって水中に投げ出された。
(はてさて、これでどうなるか……んゆ?)
「ギュリァァァァアッ!!」
「ッ!?」
「んむ〜〜ッ!?」
(なんかブチギレていらっしゃるのですー!?)
破片が散らばるのを認識して数秒後、突如として背中の異物を振り払う為に縦横無尽に泳いでいた『夢貪る濁流』が突如としてその身を翻し、金切り声のようなものを出しながら一直線にオルトの元へと突撃し始めたのだ。
無表情どころか無機物にも見えたその頭部に僅かながらシワが生まれており、それを真正面から捉えたオルトが明らかな怒気を感じ取ったのも仕方のない事だろう。
「ギュォアッ!!」
ブォンッ!!
「んん〜〜ッ!?」
『夢貪る濁流』がスピードをそのままに自らの身体を捻って振り下ろした尾は標的が数秒前に居た地点に直撃し、その際に巻き起こった水流は横に向かって全力でダイブし回避を試みていたオルトをタンブルウィードのように吹き飛ばした。
「
「んん〜!……んんっ!?」
宙でぐるぐる回るオルトに触れたのはいつの間にか『夢貪る濁流』から途中下車していたジョシュアだった。しかしながら、当たり前のように言葉を発していた為に未だに息を一生懸命止めているオルトはギョッと目を丸くしてバッと自身を抱えて跳ぶジョシュアの顔を見る。
「……ん、あぁ、はいこれ」
「んぅ……?」
「背中に刺さってた蛍光灯2本圧し折ったんだけど、この破片持ってれば問題無く呼吸も会話も出来るみたい。こっちはオルトの分ね」
「ぷはっ!!………あ、ホントなのです」
暴れ回る『夢貪る濁流』を他所に軽い調子で受け渡されたのは割れたにも関わらず何故か未だに光を灯し続ける蛍光灯の破片だった。
幻想体の背中をよくよく見てみると刺さった蛍光灯の一部が割れており、相方の言葉に従ってオルトが止めていた息を解放してみれば、新鮮な空気が小さな身体の中に入ってくる。
「段々と灯が薄くなってるから恐らく少しの間しか保たないだろうけど、その前に終わらせよっか」
「了解なのです、何か策でもあるのです?」
「ん、策と言うほどの物でもない」
会話を交わす最中、飛んでくる蛍光灯の破片を避けて弾きながらも観察を続ける。
「よっ……あの幻想体、多分視覚情報が少ない。反響した超音波を感じ取れる器官はあるだろうけどあののっぺりした頭を見る限り嗅覚も発達して無さそうだし、蛍光灯はあの子にとって大事な導の一つなんだと思う」
「ふむむ……導、なのですか」
「だからだろうね、ずっと振り払おうとしてた背中の僕を無視して一直線にオルトの方に行ったのは」
「成る程、だからあんなに怒っていたのですね。ワタクシが灯火を消してしまったから」
「それに加えて……ほら、見て」
ジョシュアがそう言って指差す方向には既に標的が離れているにも関わらず暴れ回る『夢貪る濁流』が居る。水中に散らばる破片が自身の体を傷付けても構わずにそこかしこに攻撃を仕掛ける姿には一種の狂気を感じなくもない。
「ヘイトを向けるのは蛍光灯を壊した存在じゃなくて、蛍光灯を壊した存在が
「……ジョシュア様?どうしたのです?」
段々と声が細くなっていく。オルトが心配そうに見上げれば、少しばかり昔を懐かしむような目を向けて黙り込むジョシュアはそれに気が付いたのかふるふると頭を振って
「ん、何でもない。ただちょっとあの子から幼い子供の癇癪みたいなのを感じただけ」
「子供、ですか?」
「言っちゃえば迷子かな。暗闇か殆どを占めてる視界の中で蛍光灯の明かりを頼りに彷徨ってる子供が、その明かりの元を壊されたら、感情のままに怒るのもわかるでしょ?」
そう言って『夢貪る濁流』を見て優しく、仕方なさそうに笑う。その姿は別の存在を思い出しているようにも見えた。
「ん、何はともあれ今はあの子を大人しくさせるのが先決 幻想拘束」
それと同時にジョシュアは己に託された頁から取り出した歪んだハンマーを、オルトは美しくも何処か物悲しい雰囲気を纏う細剣を構える。
「さぁ、かかっておいで」
「そういえばそのカッコいいレイピアどしたの?」
「とても優しい騎士様が授けてくれた、ワタクシの近接戦闘においてのメインウェポンなのです!」
濁流くんって『夢見る流れ』の亜種という意見が多いのですが、そう考えると濁流くんも『薬物ぶち込まれた子供』って事になるんですよね。
あと一人称が「私たち」ですし、何かしらの薬物実験で呼吸困難とか視神経不全になった子供達の成れの果てだったりするんですかね
後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは
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セルマァ……