一応他の小説も書き溜めているのでまだ投稿頻度は不定期になると思います。
それでは、どうぞ
「光の種 俊敏」
『後悔』を装備した事で起きた俊敏の低下をスキルによる自己強化で踏み倒しながら地面を蹴る。それとほぼ同時に何らかの自己強化スキルを使ったのか格段に動きのキレが増したオルトも追従するように走り出した。
相対している蛍光鯱は迎え撃つように体を縮こませ、力を溜めていた。
「ギュアッ!!」
「《アクトブレイク》」
走りながらスキルを点火、そのまま体を捻りながら力を溜め勢いを乗せた『後悔』の振り抜きは『夢貪る濁流』の放った尻尾による薙ぎ払いとぶつかり合い…
「ギュルゥ゙ッ!?」
「ん、良い威力」
その威力は拮抗し、互いに少しノックバックを食らって下がる。
先程までは真正面からのぶつかり合いを避けていた筈の敵が自身と互角の攻撃を放ってきたのが予想外だったのか、『夢貪る濁流』はノックバックの勢いを殺しながら何とか体勢を整え警戒の為に身体を翻そうとしたその時だった。
「《悲哀の涙》ッ!」
兎特有の脚力で高く跳躍していたオルトが下降と共に敵目掛けて細剣を突き出す。刃からは暗く光る紺色の軌跡が出ており、場所が場所ならば流星のようにも見えるだろうその一撃は動揺で意識を向けていなかった『夢貪る濁流』の背面に直撃し、確かなダメージを負わせた手応えを剣の担い手に伝えた。
「ギシュゥッ!?ギュル…」
「ん、余所見厳禁」
そして与えられたダメージから復帰する間もなく、蛍光鯱の観測器官が己の頭部の目の前に既にハンマーを振りかぶった人型生命体が居るのを捉えるも、対処も間に合わずもろに振り下ろしを食らった。
「《スカルシェイカー》」
ズガンッ、と地味目なエフェクトの割に重苦しい音を響かせたその一撃はスキルの持つ「怯ませやすい」効果と『後悔』の「MP消費でスタン値を上昇させる」という能力の重ね掛けも合わさってか、途轍もない衝撃を『夢貪る濁流』の頭部の中を突き抜けさせた。
身体の構造かどうなっているのか予想すら出来ない出で立ちの幻想体とは言えど流石にここまでの攻撃を備えすら無しに食らえば無事で済むはずもなく、強制的なスタン状態…即ち致命的なまでの隙を晒すことになる。
「でやぁぁぁぁぁぁっ!!」
「直ぐにギフトに変換出来るのは便利だね、幻想告解」
背中に着地していたオルトはそのまま周囲の鰭や蛍光灯、背面に向けて細剣を振り回して縦横無尽に斬りつけ、『後悔』を拘束具型のギフトにして体に巻き付けさせたジョシュアは新たに『懺悔』ギフトを頭に被りながらインベントリから取り出した獣石爪を装備して顔面に殴りかかった。
「《ナックルラッシュ》ッ!」
「ギッ、ギュッ、ギュアッ!?」
爪を握り締めた拳が雨のように次々と突き立てられると洒落にならないダメージになったのか、スタンで動けなかった『夢貪る濁流』が身を捩らせて逃れようとし始める。
「ギュリァッ!!」
「ほっ!」
「ん、まだ結構ピンピンしてるね……アハッ、」
漸く平衡感覚を取り戻したのか、体を縦に翻して自身に攻撃する存在達を振り払うとそのまま地面に潜りながらその場を離れる。
ギリギリで退避した一人と一匹は方やまだ相手が元気に泳ぎ回っている姿に喜悦の笑みを漏らし、もう片方は油断無く空を泳ぐ敵を見据えて細剣を構え続けていた。
「離れるんだ…えいっ」
バキンッ!
「!!ギュルァアッ!!」
そしてその直後、ジョシュアは近場の地面に刺さった蛍光灯を裏拳で叩き割る。
ダメージを負って下がろうとしていた『夢貪る濁流』だったが、その行動を無視することは出来なかったようで直ぐに身体を反転させてジョシュアが居る方向へと加速し始めた。
段々と迫る圧倒的質量の突進はまともに真正面から打ち勝つ事は不可能だろう、そう感じさせるほどの気迫を持って突っ込んできた脅威に対し、小さな開拓者はユラリとリラックスした状態で待ち構える。
「ん、良い殺気」
目の前で身体を捻り、突進の勢いを乗せた尾の薙ぎ払いが解き放たれようとする光景を前にしてもなおジョシュアの表情には怯えや焦り、恐怖等は一切無く、ただひたすら純粋に楽しそうな笑みを浮かべながら一本前へと踏み出して、
「《スライドムーブ》」
しなる尾の下を
「二番煎じは駄目だよ?」
すれ違うように背後に回ったジョシュアはさながら兎のように跳ねると身体を翻し、攻撃を行った事で隙を晒した『夢貪る濁流』の背中目掛けて蹴りを放った
「ラァッ!!」
「ギュッ!?」
「残念、まだ終わらないよ、《
《旋脚》、《オプレッションキック》、《舞空撃》を重ね合わせた回転蹴りはこちらを向こうとした蛍光鯱の側面に突き刺さり、更には背中でずっと沈黙させていた生体装備を動かし斬りつける。
「オルト!もっかい上から!」
「了解なのです!《フラッシュレイン》!」
度重なるダメージや蛍光灯の破壊によってヘイトが完全にジョシュアへ向いた瞬間、回り込んでいたオルトが飛び出して攻撃を仕掛ける。剣身が空色の光を放ち、それを振るえば何十もの形を成した光の刺突がスキルの名前通り雨のように降り注いだ。
「ギュッ、ギッ、ガッ!?」
「でりゃりゃりゃりゃりゃ!」
上から押さえつけるように繰り出される光の雨は蛍光鯱の身体を地面に縫い止め、ヒビ割れた蛍光灯に更なるダメージを与える。
「交代!」
「なのです!」
「《パワースラッシュ》!」
その雨の隙間を縫うように取り出した致命の鋸を振り上げたジョシュアが跳んでスキルを点火する。斬撃を強化する《一閃》、弱点への攻撃を強化する《ウィークマーカー》を重ねた一撃は曝け出された背中へと直撃し、
バギンッ!!
「ギュァァッ!?!?」
その背中にあった蛍光灯の尽くを破壊した。
「《スピンスラッシュ》」
「ギュルッ!?」
「あっは、一回で止める訳無いでしょ?」
悲鳴を上げる敵の背中の上で鋸を振り切った姿勢からスキルの挙動で強制的に追撃をかます。そうして暴れることすら出来なくなった『夢貪る濁流』の背中に降り立ったジョシュアはボロボロになった背鰭を掴むと、再び致命の鋸を振り上げる。
「さぁ、ラストスパートかけようか」
ニコッと笑いかけると同時に鋸の刃と生体装備の鈎の刃が連続で地面を斬り刻む。
《ループスラッシュ》及び発動中に連続攻撃で強化倍率が上がる《滅多斬り》でダメージを補強した連撃は隙を晒していた蛍光鯱には致命的だったようで、痛みからその身を大きく捩らせた。
「やっほ、オルト」
「お見事なのです!」
最後の力を振り絞って地団駄を踏むように暴れる『夢貪る濁流』を尻目に《ムーンジャンパー》で巻き込まれないよう離れたジョシュアは地面に降りていたオルトの近くに降り立つ。
振り返れば未だ暴れ回る巨体が視界に入った。
「……あ、そういえば一つ試してない事あるんだった」
「ふむ、それは一体?」
「これだよ、幻想着火」
こちらを認識してるかどうかすら怪しい状態にどうするかと頭を悩ませていれば、ふと思い出したかのように手を伸ばして言葉を紡ぐ。
それは他のと同様に手元に『マッチガール』の頁から顕現する『四本目のマッチの火』を呼び出すスイッチとなる物であり、以前に試した通りに己の手の内へと現れた。
「おぉ、すごいね。残り火……いや、ほぼ燻りの筈なのにこんな水の中でも消えないんだ」
本来であれば火など出そうものなら即座に消えてしまう環境の中であっても、夢を追い求めた少女を灰にした炎は未だ半ば炭になった木製のフランベルジュに灯り、その熱を持ち主たるジョシュアへと伝え続けていた。
「な、何だか段々熱くなっているのです……!?」
「そりゃあ説明を見る限り僕の意思を燃料にしてる筈だからね、段々と火力は上がっていく……あ、ちょうどいいな」
周囲の急な変化に戸惑うオルトを他所にジョシュアは一人納得したような表情になり、歩き出す。
「ちょっと離れてて、最後の一発かましてくるから」
「ジョ、ジョシュア様?」
「ん、突撃ッ!」
「ジョシュア様ぁっ!?」
燃え盛るフランベルジュを両手で構え、駆け出すジョシュアの顔はマッチの火と同じ位にキラキラと輝いていた。
慌てるオルトを置いて漸くノロノロと復帰しようとする『夢貪る濁流』へと跳んだ。
「やぁ」
「ギュル?」
EGO『四本目のマッチの火』
その効果は体力を代償にし爆発を伴う一撃を齎す、
「ん、着火」
即ち
ん、爆発オチ
E.G.O 『四本目のマッチの火』
武器種:片手剣 or 特殊アクセサリー
火に夢を見いだして燃え尽きた少女の自我の断片を抽出し物体化させた代物。炭化した木製の武具は今も尚燻りの炎を宿し続けている。その消えぬ炎の意味は果たして未だ夢見る幻想なのか、それともその身を焦がし続ける苦しみなのか、それは少女のみが知る事だろう。
このE.G.Oを装備時、任意でHPを消費し攻撃判定に爆発ダメージが伴う特殊状態『火種』を30秒付与する。
消費したHPが最大HPの90%を上回った場合、上記の効果に加え防御力及び装備効果を無視する特殊状態『残り火』へ変化する。
『火種』、『残り火』にて発生する爆発判定によるダメージは自身にも適応される。
敏捷+20
後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは
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いる
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いらない
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セルマァ……