司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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中指シンクレアくん良いっすね……
そのうち中指の頁も出します、ジョシュアくんにあのスケベな格好させます
それまで少々お待ち下さい



それでは、どうぞ


司書が語るは遠き過去

「と、いうわけで回収してきたのがこれ」

「『夢貪る濁流』というアブノーマリティなのです!」

「へぇ、早速役目を果たして来たのね。貴方を選んだ判断が間違って無かったようで何よりよ」

 

路地裏のカフェで解散した後、さらに奥まった場所で図書館へと帰還した1人と1羽は報告の為に図書館の中央へと足を運んでいた。

帰還を察知していたのか、目的の人物であるアンジェラはカウンターの如く巨大な書斎机の端に腰掛けて本を読んでおり、気配に気付いたのか本に栞を挟んで傍らに置いて床に降り立った彼女に早速手に入れた幻想体の核を見せれば少し驚いたように少し目を丸くしていた。

 

「正直驚いたわ、まさか初めからWAWクラスを連れ帰ってくるなんて」

「確か上から2つ目のクラス?道理で一歩間違えれば即死するレベルだったんだ。正直オルトがいなければもっと時間かかったか返り討ちだった」

「ワタクシがこの図書館で相対した方々に負けず劣らず大変お強かったのです!」

 

フンスフンスと興奮した様子のオルトを上から見下ろす。

 

「今更だけどオルトってすごく強いよね。流石にユニークモンスターレベルとは言えないけど、普通のモンスターとは明らかに格差がある」

「オルトがこの図書館に来てから数年は経ってるけど、その間に都市の記録を読み解くために戦闘記録の再演に幻想体の解放と再封印をこれでもかって位していたもの。その過程で殺された回数を考えれば、この子の本にかける熱意は狂気的って言って良いんじゃないかしら」

「えへへ……少し恥ずかしいのです」

「別に褒めた訳じゃないわよ」

「およッ!?」

 

照れた顔からまん丸と目を見開いて驚きながらアンジェラの方を見るオルト。ここだけ見れば子供っぽい可愛さのみがあるが彼もまた何かの魅力に取り憑かれた者の狂気を秘めている。

 

「でも、貴方のパートナーとしては丁度いいのかもしれないわね」

「……ん、そうかも」

「?」

 

アンジェラからの言葉を反芻し、じっとオルトを見つめる。

目的の為に一心不乱に努力出来る、と言えば聞こえは良いが言い方を変えれば己の欲求の為なら自身の命すら何の躊躇いもなく賭け金に出来てしまうということでもある。傍から見れば正気の沙汰では無いのだろうが本人達にとってはそれが当たり前なのだ。

ジョシュアは一度満腹になって満足した事がある為か自身の客観視が可能だったが、それでもその欲は未だ身体の中で渦巻いて居るしそれを無理矢理押し留めるつもりもない。

 

「これからもよろしくね、オルト」

「はいなのです!」

 

取り敢えずは何処か似た者同士であるこの黒兎と親交を深めようと、ジョシュアはフワモコなオルトの頭を優しく撫で回しオルトもそれを受け入れて笑顔を見せた。

 

「揺れる波 漂流する遺失物 存在の忘却 捨てられた夢 暗闇の恐怖 最も輝くモノ 何れ消えるモノ

全てを捨て置く到達点」

 

その一方、この『図書館』の主は蛍光色で彩られた卵型の核に触れながら何やら呪文の詠唱のようなものを行っていた。紡がれた言葉ほどういう原理か実体化し、幻想体の核の周りを取り囲むように漂い始め次第にその量も増えていく。

 

「……これでよし」

「ん、本になった。核を中心に情報の外枠で綴じた?」

「情報を綴じる……言い得て妙ね、今度からそう表現しようかしら」

 

やがて宙に浮く文字に完全に覆われた後、みるみると縮んで行きジョシュアの身長の半分程はあった核は一冊の本へと変貌した。パラパラと捲って中身を確認するアンジェラが特に顔を顰めたりしなかった辺り、成功はしているようだ。

 

「それじゃあ、はい」

「ん?これって…EGOの頁?」

「ワタクシにもです?」

 

その本から徐ろに光るページが2枚抜き取られ、そのままジョシュアとオルトに受け渡される。これから再び激戦を繰り広げようとしていた彼らが目をパチクリさせていれば直ぐに説明が入った。

 

「私の判断じゃないわ、この幻想体からの贈り物とでも思っておきなさい」

「もしかしてユメから?」

「ユメ?」

 

聞き覚えの無い名前のような物を聞いて首を傾げるアンジェラに対し、ジョシュアは経緯を語った。

エリアボスが『夢貪る濁流』に殺されていたこと、その幻想体と戦闘になった時に本の中のような異空間に取り込まれたこと、そして倒した後の『夢貪る濁流』との交流。

その全てを聞き終えた後、アンジェラが浮かべた表情には呆れが多分に含まれていた。

 

「……L社時代の職員にも幻想体に名前を勝手に名前を付けて可愛がろうとして呑まれた馬鹿が居たわね。最早懐かしいって感情しか湧かないわ」

「L社?」

「この『図書館』の前身みたいものよ。幻想体からエネルギー物質を抽出してそれを電力に転換して供給してたの」

「電力……?この世界には無縁そうだけど」

「当たり前じゃない、もう供給してた先は滅んで今の時代とは隔絶してるもの」

 

この世界とは縁の無さそうな話に首を傾げながら頭の中で該当する情報を探せば、関係の有りそうな物が1つ思い当たった。

 

「もしかして神代の事?なんかチラッと攻略サイトでそんな話を聞いたような……でも技術とかは今は受け継がれて無いみたいだね。まだこの世界を見た範囲は狭いけど、機械類なんで微塵も存在してなかったし」

「………そうね、今や残っているのは古ぼけた痕跡とか隠されている所だけ……いえ、アイツらとかは神代の存在だったわね」

「『アイツら』?」

「貴方達開拓者、そしてこの世界の住民達が『七つの最強種』って呼んでる奴らよ。まだ他にも居るには居るけど今の所発見されてるやつはそれぐらいかしら」

「アンジェラは詳しいの?」

「一応そいつら関係の書物もこの『図書館』に収めてるわ。内容も覚えてるけど……何処にやったかしらね」

「…………どっから探せばいいかな」

 

アンジェラの言葉を受けて図書館を見回したジョシュアは諦めたかのように言葉を零す。

アンジェラが基本的に居る『図書館』の中央からは他のエリアが見えるようになって居るのだがそのせいか如何にこの場所が広いかが分かってしまい、それら全てに本棚が並んで本がギッチリ詰まってると言うことも理解してしまう。

エゲツない程の作業量(デスマーチ)が待って居るかも知れないと一人覚悟しているとふと疑問が生じたアンジェラが質問を返してきた。

 

「それで?貴方『七つの最強種』って言葉を聞いて反応してたけど、あの影犬の情報でも集めてるの?」

「ん、まぁそっちも気になるけど今は別の奴」

「ワタクシ達は『墓守のウェザエモン』についての情報を集めているのです!」

「『ウェザエモン』?……あぁ、あの誰にも望まれてないのに勝手に墓守やってる男の事ね」

「ん、酷い言い様」

 

どんな感情になれば良いのかわからないジョシュアの表情がさらに何とも言えなさそうな物に変わる。

己の慕う先輩が真剣に討伐を目指す相手を容赦なくけちょんけちょんに貶すアンジェラにツッコむが

 

「妥当な評価でしょ、神代から今までずっと木が枯れて墓が朽ちないようにって理由だけでコピーした世界のテクスチャを反転させて自分ごと時間を固定してるんだもの。尤も、今は本人ももう既に何かを理解できるような状態じゃないでしょうけど」

「………?」

 

呆れを隠さずその理由を述べているが、シャンフロ初心者のジョシュアにはその言葉の意味は分からない。単語の意味は予測出来るのだが、それにしては先程と同じようにこのファンタジーな世界観のシャンフロとは若干ズレたSFの雰囲気を感じて困惑する。

まぁそもそもこの話を理解出来る存在が今現在この世界には数えられる程度しか居ないのでこれも仕方ない事だろう。

 

「わからない事だらけ、って顔ね」

「……いきなり専門用語並べられてもちんぷんかんぷん。テクスチャ、反転、それに固定?言葉からして擬似的な不死を実現出来てるみたいだけど、何年前からそんな状態?」

「さぁ、おおよそ数千年は経ってるんじゃないかしら」

「………それ肉体は『固定』出来るとして精神の方は無事じゃないんじゃないの?」

「まぁ今の彼は死んでないだけの肉塊を外側が無理矢理動かしてるだけの存在よ。恐らく言葉も満足に紡ぐことの出来ない、ただ墓を害そうとする相手を殺すための機構ね」

 

そう言葉を言い放つアンジェラの目は何処か遠くを映しており、少しばかり懐かしんでいるようにも見えた。何故そのような感情を抱いているのか、知り合ったばかりのジョシュアには推し量る事は出来ない。

少しだけ沈黙が空間を支配したが、直ぐに気を取り直したアンジェラは己の部下に向き直る。

 

「別に挑むのは止めないけど、いくら貴方の技術があろうとも生半可な準備じゃ返り討ちよ。もっと綿密に用意しなさい」

「ん、それはもちろん、あのリュカオーンと並んでる存在に油断はしない。でもそれ以上に楽しみ」

「……そう、仕事を疎かにしないなら私から言うことはないわ」




遠い過去、L社は実在していました。
脳が入ったセフィラ達も居ました。
滅んだ理由も原作通りです。

ならば何故『図書館』以外は無いのでしょうね。

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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