司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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リンバス8章やってたらドッロドロのえげつない『都市』要素出したくなってきました。
えげつなさすぎんよ、面白くなってきたぁ!
ただまぁ今回は裏ボスジョシュアくんのターンです
毎度書いてて思いますけどどう考えても主人公じゃ無いんですよね……


それでは、どうぞ


血塗れの喧嘩は幕末の華

「そらよッ!」

「あはッ!」

 

刀を構えて見合った3人のうち、始めに動いたのは当千だった。力強い踏み込みから繰り出された振り下ろしをジョシュア目掛けて繰り出すものの、それを頬を掠めるか否か位の最低限の動きで避けてカウンターを放つ。

挨拶代わりの一閃を斬り上げで対処し、少し距離が空いた所で一拍置いた後、込み上げてくる興奮を隠すこと無く獰猛な笑みという形で出力した当千は再び斬り掛かった

 

「シィッ!」

「ん、残念、それが通るわけ無い」

「もう一丁だ、喰らいな!」

 

ふわりハラリと紙が舞うような動きで隙間を縫うように避けていると、いつの間にか横に移動していた村正が着地した所を狩ろうと迫っていた。

上位ランカーである当千に負けず劣らずの鋭い横薙ぎの一閃は普通ならば着地前という動けない状況において対処は困難だと思われる。

 

「ほっ、と」

 

ただ普通のプレイヤーならば「裏ボス」等という二つ名を得るわけもなく、ジョシュアは片足が地面に触れた瞬間即座に体を捻りながら跳躍。背後迫る刀に合わせるように右手の刀の鍔に近い部分を当て、まるで相手の刀でハンドスプリングを行うように体を持ち上げながら刃の軌道を変えて自身の真下を潜らせた。

 

「どんな避け方してんだ手前!?」

「どんなって、相手の振った腕の流れに乗って軌道を変えただけ。村正さんもやってみたら?」

「そう簡単に出来たら苦労なんてねぇんだわ!っとぉ!?」

「チィッ!そぅら!」

 

横薙ぎの一撃を往なされて少しバランスを崩す村正に反撃しようとするジョシュアを今度は当千がカバーに入って止めようとするものの、槍のように突き出された刀はヒョイと体を反らしたジョシュアの髪先にかすっただけだった。

 

「相ッ変わらずバケモンみたいな挙動しやがって、これで全力のぜの字も出してねぇってんだから参るねこりゃ」

「あん?あの妖刀マジの時の装備じゃねえのか?」

「バカ言うんじゃねぇよ鍛治狂い。ありゃただ握ってるだけ、戦い始めてからアレを一回も手放してねぇ時点でまだ遊びの段階だ」

 

実を言えば、村正はジョシュアと殺し合う事は幕末の性質故に何度もあったが本気や全力を体験したことは殆ど無かった。

元々興味のない事には疎い事もあってかジョシュアが『裏ボス』と称される理由を知らない為、当千の言葉に困惑を覚える村正。

そしてその会話を聞いていたジョシュアはというと、左手でペン回しのように弄んでいた小刀をパシリと掴んで切っ先を2人に向けた。

 

「ん、こっちの使い方がお望み?ならそう言ってよ、使いそびれる」

「おう、さっさと見せろよ裏ボス。今日はきっちり攻略してやるよ」

「………いい、とても良い殺気」

 

獰猛な笑みと共に放たれる濃密な殺気もジョシュアからすればより気分を高揚させるだけである。

 

「気張れよ村正、あんたアイツと殺り合う機会あんま無かったろ。ここらで慣れとけ」

「手前が焚き付けたようなもんだろうが……まぁ、興味が無いっつったら嘘になるが」

 

ウキウキしてる当千に呆れた目線を送る村正を他所に会話を聞いて期待されてると感じ取ったジョシュアは徐ろに動き出し、

 

「ん」

 

ポイと妖小刀を放り投げた。

突然の行動に呆気に取られる村正を他所に刀を両手で構えていた当千はそれを認識すると同時に前方へと走り出す。

 

「はい、蹴飛ばし天誅」

「ッラァッ!!」

 

だがしかし、それよりも速くジョシュアは地面に届く直前だった妖小刀の柄を高速で蹴り飛ばす。弾丸の如き速度で射出された「流転輪廻」に対し、新選組局長が選んだのは刃の側面へと刀をぶつける事だった。

タイミングを逃せばそのまま脳天を貫きかねない凶弾だったが、その無茶は押し通り軌道を逸らすのに成功する。

 

「天ッ誅ッ!!」

「ん、駄目」

 

頬スレスレを通らせて大きく切り傷を作った当千はそのまま好戦的な笑みを浮かべながら返す刀で小刀を蹴り飛ばした後の残心の最中だった相手へと斬りかかった。

その刃が届く前にわざと重心を後ろへ傾けたジョシュアは地面に倒れ込みながら横薙ぎの斬撃をギリギリで避け、片手で身体を支えながら訳の分からない体重操作でそのまま回転蹴りを放つ。

 

「それでシステムアシスト無しだってんだからイカれてんなぁ!」

「アレは少し性に合わないから」

 

蹴りの反動で転がりながら体勢を整えたジョシュアはそのままクラウチングスタートの如き姿勢へ移行しずっと右手に持っていた柄無しの刀を構える。

本来、刀というものは鍔によって柄と刃を隔てており手が滑って間違えて刃部分を握らないように設計されている。時折、鍔のない刀もあるがそれを十全に振るうには相当の技量と握力が必要となる。

 

「シィッ!」

 

そもそも滑り止めの役割も果たしている柄すらない状態の刀はそのまま振るう代物ではないのだが、ジョシュアが有する天性とも言える戦闘の才能によってピーキーな筈のそれを己の一部のように操り擬似的な居合斬りを成した。

 

「殺られるかよッ!」

「いいや、殺る」

 

爆発的な踏み込みの加速で瞬きすら許さぬ速度での斬撃を間に入りこませた刀を砕かれながらギリギリで逸らす当千だったが、振り抜かれた刀は即座に翻されて第二の刃として襲いかかった。

 

(燕返しかッ!?)

 

反射的にボロボロになった刀を振るった事で致命傷は避けたが、代償として左腕に深い傷が与えられる。

低い姿勢で袈裟斬りを終えたジョシュアが更に前に出した足を軸にして体を捻り刀を横一文字に振るおうとするが…

 

「オレを忘れちゃ困るんだがなぁ!」

「っ!」

 

その時、横から回り込んだ村正がジョシュアの刀に対し十字になるように振り下ろしを叩き込んだ。まだ振るう動作の始めで加速しきって居なかった為か刀はそこで後ろに流れる。

刀を止められたジョシュアは即座に刀から手を離し、

 

「ん、()()

 

空いた手をピクリと動かし一言だけ告げた。

 

ヒュインッ

 

「あッぶねッ!?」

「天誅」

「うおあッ!?」

 

何かを察した当千が横に飛べば心臓があった辺りを背後から飛んできた黒い刃が通った。

先程蹴飛ばして何処かに行った筈の「流転輪廻」は名前の通りグルグルと回りながらジョシュアの手の中に収まり、柄を逆手持ち握り締めたジョシュアは回転の勢いを殺さずそのまま村正に向けて振るうために腕を引き絞る。

振り向いた際にジョシュア浮かべていた頬を紅潮させ目をカッ開いた笑みに背筋が凍り本能が警鐘を最大音量で掻き鳴らした村正が直ぐに退くもそれよりも速く斬撃は放たれ、胴に線が走った。

 

「ん、浅かったかなぁ」

「ッっあっはぁ……はぁ…!モノノ怪かい手前は………!」

「いやぁ、僕もまだまだ未熟。そう思わない?当千さん」

「ッチィッ」

 

胴体の傷も意識の外に出てしまうほどに今の一瞬のやり取りに村正は息を詰まらせながらも乱れた呼吸を整える。恐らくゲームの世界でなければ大量の冷や汗が流れていたであろう恐怖を与えたジョシュアはふわりと笑いながら地面に落ちた柄無しの刀を蹴り上げて拾うとそのまま後ろから迫っていた当千に回し蹴りを食らわせ、路地裏のようになっていた場所から出口の大通りに向かって蹴り飛ばす。

しっかりと残った右腕でガードしたのかダメージは軽微なようで、直ぐに体勢を立て直しながら新しく取り出した刀を構える。

 

「いっぺん下がるか、村正?」

「………はつ、冗談にしちゃ出来が悪いぞ、おら」

「あん?」

 

路地の入り口まで下がっていた村正もまた当千を追うように大通りへと出ると一本の刀を投げ渡す。即座に予備として出していた数打ちの刀を投げ捨てそれを受け取った当千が若干蹌踉めきながらもマトモに動く片手で器用に腰に差し、そのまま抜き放てば鈍重な輝きを見せる刃が現れた。

 

「そいつはチィとばかし重くてな、一発勝負なら負け無しなんだが振り回すにはやり辛い。だが手前なら片手でも丁度良いだろ?」

「はん、上等だコラ」

 

2人が束の間の休息の中で装備を整え構え直していれば、周囲が段々と騒がしくなる。

 

「隙あり天ちゅッ!?」

「隙なんざねぇよ!」

「刀寄越せ天ッ!?」

「やかましい、欲しいんなら誠意を見せろ誠意を」

 

大通りにいたプレイヤー達が若干ボロボロになった2人を見て良い獲物だと考えたのか次々と襲い掛かって来るが、ボロボロだったとしてもそれをものともせず次々と斬り裂いてゆく。

そうして10人ほどを斬り捨てた辺りだろうか、トコトコと聞こえそうな足取りで徐ろに歩み寄って来るジョシュアが路地から姿を現した。

 

 

「楽しいね、とっても楽しい」

「「アバッ!?」」

 

 

ゆらりゆらりと柳のように、音もなく背後から迫って両断する。

 

 

「だからお願い」

「ごぶぅっ!?」

「がっ!?」

 

 

刀と小刀を持った両手をダランと脱力させて下段に構え、迫る巻藁(プレイヤー)達を柄で顎を砕きながら昏倒させ、ブレの無い一閃で仕留める。

 

 

「もっと殺し合おう?」

「「「「「「「「「「天ッ誅ッ!!」」」」」」」」」」

 

 

やがてその場に居合わせた全ての人間の標的が1人に定まり武器を握って駆け出した。

ある者は二振りの刀、ある者は回転式の拳銃、ある者は火薬を詰めた投げ物、その全てがたった1人を仕留めるために向けられた。

 

 

「………あはっ」

 

 

 

そして、これより始まるは

 

 

「天誅」

 

 

 

絶対的強者による鏖殺(祭り)である。

 




PN:村正

『辻斬・狂想曲・オンライン』にて数名しか居ない鍛治師プレイヤーの1人。鍛治師がメインではあるものの普通に強い。なんなら試し切りも自分でしてるためそこら辺の剣術家より強い。

リアルでも家業である鍛治師を継いで生業とする生粋の鍛治狂い。理想の一振りの為に今日も彼は鉄を打つのである。


「刀匠祭〜妖刀乱舞〜」にて始めたばかりにも関わらずジョシュアや他プレイヤー達を抑えて「鍛治営業許可証」を手に入れた猛者。
折れて散らばってた他プレイヤーの刀を集めて鍛造し、「重量を倍にする代わりに威力を倍増」「片手で扱わなければならない代わりに振った先に真空波を出す」「一度振り切ると壊れる代わりに攻撃範囲を10倍」というロマンの極みみたいな大太刀を横薙ぎに振るって周辺にいた100人以上のプレイヤーを一撃でキルした事を評価されて見事1位に。

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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