所々で脳破壊だったり性癖の扉ぶっ壊したり砂糖吐きそうなラブコメ散りばめる予定なのでどうかご容赦を……
それでは、どうぞ
「ん、到着」
家族で所有する何台もの車の内、取り回しの良さそうな軽自動車を競技場横の駐車場に停めた紫亜は髪をポニーテールにしつつ野球帽とサングラスを装備して顔を隠し、弁当等が入った大きめのクーラーボックスがある車の中が高温にならないよう温度調節をしてその場を後にした。技術の進歩とは凄まじい物である。
「えーっと、会場はこっち………あ、おはようございまーす」
全国規模の大会ということもあってか会場となる競技場には既に多くの人が詰め掛けており、競技者らしきユニフォームを纏った学生とその周りにいる友人らしい者達を始めとし、家族の活躍を観に来た一家等などその様相は多種多様である。
そんな人混みの中、紫亜はショルダーバックの位置を直しつつ人々の隙間を縫うように移動する。
「紅史さん達どこだろ」
「紫亜ちゃーん、こっちよ〜」
一先ず知り合いとの合流を急ごうと周囲をキョロキョロと見回していた紫亜に何処かから女性の声がかかる。
声の主は案外早く見つかり、隣に立つ男性と共に紫亜へ手を振っていた。その姿を認識した紫亜は人混みを少しかき分けてそちらに駆け寄る。
「おはようございます、会うのは久しぶりですね隠岐さん。奥さんもお元気そうで良かった」
「久しぶりだな紫亜くん、そっちこそ元気そうで何よりだ」
「この間の雑誌見たわよ。モデルになったって聞いた時は驚いたけど、とっても可愛く写ってたじゃない。お仕事が順調そうで安心したわ」
「ん、ありがとうございます」
ペコリと頭を下げた相手は紅音の両親である隠岐紅史と隠岐風音。一時期は共に暮らしていた相手であり、気心の知れた第二の家族のような存在だった。
「紅音ちゃんもお元気ですか?……いやまぁ、毎週連絡取り合ってるので元気溌剌なのは知ってるんですが」
「あっはっは、毎日楽しそうに過ごしているよ。あの娘と仲良くしてくれてありがとう、紫亜くん」
「いえいえ………あの、こうして様子を見に来ている時点で言える事では無いですし今更とは思いますが、成人男性が中学生を気に掛ける絵面はこう、色々と大丈夫なんでしょうか?」
「「絵面………?」」
不安そうに告げる紫亜とは対照的に夫婦は揃って首を傾げて顔を見合わせる。互いに同じ感想を抱いたと感心したようで何を言ってるんだ、という言葉を表情だけで訴えながら答えた。
「大丈夫かと言われてもな……可愛い娘とそれを気に掛ける少し年の離れた兄位にしか見えないな。第一、君はそういう輩からは程遠いだろうに」
「もしかしたらお姉さんかもしれないわね。何にせよ犯罪とかそういう話は無縁だと思うわ」
「そうでしょうか…?」
一応紫亜自身モデルを仕事にしている事もあって己の容姿が整っている自覚はあるし自信もある。あるのだが、如何せん傍から見れば女性にしか見えないという事実をそもそも認識していなかったりする。何でレディースファッションの仕事やってんだお前。
「貴方が良ければこれからも紅音と仲良くして欲しいわ」
「まぁ兎も角、皆の待機してるスペースに顔を出そうか。紅音も君に会えるのを楽しみにしているんだ」
「それもそうですね」
挨拶と軽い会話もそこそこに3人は紅音達が待機するスペースへと歩き始める。連絡こそ取り合っていたものの面と向かって会うのは久々なので、話題は尽きず歩きながら言葉を交わしてゆく。
「そういえば君のご家族は元気かい?」
「はい、父も母も弟も変わらず……いえ、最近は弟が以前よりも活発的になりました」
「由依くんか。確か事情があって人との関わりを絶っていたんだったね」
「それもとあるキッカケで解決したので、今はコミュニケーションのリハビリをしてます。あと父からも「よろしく言っておいてくれ」と」
「ははは、ならまた夏になったら飲みに行くと伝えておいてくれ。今度は紫亜君も飲むかい?」
「お言葉に甘えて」
一応ゲームで飲酒はしたことはあるもののつい最近20になったばかりで酒を嗜むような機会も無かった為、興味津々といった様子で承諾する。自分が生まれる前から父親と交流があったようだが、真逆ここまで家族ぐるみの付き合いになるとは思っていなかったとのこと。
近況報告や思い出話に花を咲かせながら移動していれば、ふと紫亜の五感でこちらに走り寄ってくる気配を感じ取った。
「おにーさーん!!」
太陽のように輝く笑みを咲かせながら現れたのは、陸上競技のユニフォームとジャージの上着に身を包んだ紅音だった。
憧れの人を見つけた瞬間に走り出し、真っ直ぐ向かってきた紅音はそのまま満面の笑みで飛びかかるように紫亜へ抱きついた。
「んっ、よっと……久しぶり、紅音」
「えへへ、はい!お久しぶりです!結婚して下さい!」
「高校卒業まで我慢しようね」
「むぅ!約束ですからね!」
ダイブするように抱き着いてきた紅音を真正面から受け止め、くるりと一回転することで受け止めた時の紅音への反動を逃がしつつ投げ出してしまわないように抱き留める。
己を気遣いながらしっかりと抱き返してくれた事実に喜びながらつい飛び出してしまった求婚の言葉を軽く横にスライドされた紅音は頰を膨らませるが、無言で紫亜が頭を撫で始めた辺りでゆるゆると表情を緩ませた
「はっはっは。全く、相変わらず紫亜くんにはベッタリだな。仲がいいのは良い事だ」
「ふふっ、可愛い義息子が増えちゃうわね」
「……気が早すぎますよ」
「むふー!」
最早見慣れた光景に微笑ましげにしながら特に結婚云々を否定しない紅音の両親に少しジト目になりながら抗議する紫亜。対照的に紫亜の胸に頬ずりする紅音は大変満足そうに息を吐いていた。
「紅音〜!いきなり走り出したけど何、か……?」
「あ、すいません!置いてっちゃいました!」
「ん、紅音の部活仲間?」
そんな中、1人の少女が紅音へと駆け寄ろうとし、その光景を見た瞬間にビシリと固まってしまったのだった。
紫亜に抱き着く事以外の事を忘れ去っていた紅音がその声を聞いて振り返ったが、声の主は2人を視界に入れてからずっと目を見開いたままである。
「?遥ちゃん、どうかしました?」
「エヘッ!?え、あぁ、うん、えぇっと……いやその、1つ聞いても良い?」
「良いですよ!」
ニパー!と明るく笑いながら何処か見覚えのある人に甘えるように抱き着いている友人に頰を引きつらせながら、恐る恐るといった様子で尋ねた。
「今紅音が抱きついてる美人さんってどちら様……?」
「あ、お兄さんが皆と会うのは初めてでしたね!」
「ん、初対面だし自己紹介は大事」
困惑一色で視線を紫亜の顔と紅音を行き来させる少女を前に、一先ず挨拶をしようと野球帽とサングラスを取って目を丸くする少女に微笑みかけた。
「初めまして、上条紫亜です。一応モデルやってます」
「………ぇ」
「?」
えぇぇぇぇぇぇえっ!?!?!?!
「と、言うわけで昔から紅音が世話になってる上条紫亜くんだ。1つ前の学校での私の教え子でな、今でもこうして仲良くしている」
「よろしくね」
あの後驚愕で固まってしまった少女を何とか再起させ、仕切り直して紅音達の学校が確保した休憩スペースにて、紫亜はポカンと口を開ける4人の少年少女の前で軽い挨拶するが反応は芳しく無い。やっぱり自分あんまり有名じゃ無いのかなと肩を落としながらふと疑問に思った事を尋ねる。
「というより紅史さんって中学教諭でしたっけ」
「いや、君も知ってると思うがあの地域に小学校は1つしかなくてな。中学校も同様だから進学する子は皆殆ど今の勤め先の卒業生だ」
「ん、成る程。皆顔見知りと」
「そういうことだ」
かなり親しい事が伺えるやり取りを疑問に思った少女の1人がおずおずと手を挙げながら尋ねる
「えっと、隠岐先生は紫亜さんと仲いいんですか?」
「あぁ、なんなら一時期私達の家に居候してたからな」
「ん、というか君達の学校のOB。高校進学の時に東京に戻ったけど、中1の二学期からそっちに居たかな」
「マジですか!?誰もそんな事聞いた事無いっすよ!?」
「まぁスカウトしてくれた先輩のネームバリューのお陰で多少有名になったけども僕自身2年目の新人だからね。ワザワザ宣伝に使うような人員じゃないよ」
「いやいやいやいや!?ウチの全校生徒紫亜さんのファンっすよ!?全校生徒100人位しか居ないっすけど!」
「そう?ありがとね」
「ウッ……!」
「蓮月くんが死んだ!」
「これどうする?」
「紫亜ちゃんに微笑みかけられた時点で
胸を押さえて倒れ込んだ男子の1人を女子2人が足蹴にする光景を見て(『幕末』でドロップアイテム横から掻っ攫ってった人がこんな事になってたなぁ)と微笑ましげにしながら自分の腕の中に収まる紅音に話しかける。
「ん、愉快な友達だね、紅音」
「はい!毎日とっても楽しいです!」
紫亜の腕を掴んで自分の体を抱き着かせるように引き寄せる紅音とそれに抵抗せず好きなようにやらせている紫亜。「親戚」とだけ聞いていた者達からすれば困惑しか無い程の仲の良さである。
「あ、あのぉ……」
そんな距離感がバグった2人を前に大人しめの少女がおずおずと尋ねた。
「紫亜ちゃゲフンゲフン…紫亜さんって、紅音ちゃんどういったご関係で?」
「ご関係って言われても、幼馴染としか言えないけど」
「そ、それにしてはかなり距離が近いかなぁって……」
「あ、皆には話したこと無かったですね!」
紅音がそう言うと、位置を紫亜の前から隣に移動し、自分の腕を紫亜の腕に絡ませながら恋人繋ぎをして肩に寄りかかり、満面の笑みで告げた。
「私の将来の旦那様です!」
「ん、そういうのはまだ速いって言ってる。高校卒業まで我慢しなさい」
「え〜?」
「え〜、じゃない。ちゃんと待てたらご褒美あげるから、ね?」
「むぅ……絶対ですからね!」
突然の爆弾発言に固まる同級生達を他所に紫亜のツッコミに対して更に詰め寄る紅音。最早キスするのでは無いかというレベルで顔を近づける姿は傍から見れば既に恋人のようだった。
「「「「………………」」」」
「おーい、大丈夫か?」
「あら、完全に意識が飛んじゃってるわ」
隠岐夫婦が覗き込むが、目の前の事実に意識が何処かに飛んでいったのか暫くの間絶句する4人。そのうち、始めに遭遇した少女が一番に復帰し、震えながら紫亜を指差した。
「だだだだだた、旦那、様?」
「ん、この子がそう言ってるだけ、そもそもまだ付き合ってすらない」
「え?でも高校卒業したら結婚してくれるんですよね?」
「その時まで紅音の気持ちが変わらなかったね?」
「なら何も間違って無いです!ちゃんと高校生になったら恋人になって貰いますからね!」ムフー!
「ん、押しが強い……まぁ紅音がいいならいっか」
「「 」」
「遥ちゃん……!2人が白目剥いちゃった……!」
「そりゃそうよ、クラスのマドンナがこんなゾッコンになってれば……ん?」
男子2人が気絶一歩手前状態な上自分達も思考が纏まらない中、不意に強気そうな少女に電流が走る。
「え、待って?というか
「え、僕一回も自分が女だって言った覚えないけど」
「で、でも、普通にレディースのファッション誌に出てるし、下手な女の子よりもカワイイし……」
「それは、ありがとう?」
「むぅ……!お兄さんは渡しません!」
「いやそうじゃなくて………!ごめん、ごめんて、だからそんな警戒しないで………!」
「よーしよしよしよしよし」
「うふへへへへへ〜!」
頰を膨らませた紅音を抱き締めて片手で頭をワシャワシャと撫でれば直ぐに機嫌は直り気の抜けた嬉しそうな声を漏らす。その姿に女子2人も白目を剥いてしまったので、後ろで見守っていた引率の教師が恐る恐る口を開いた。
「あー、その、久しぶり?」
「あ、お久しぶりです杉谷先生。まさか引率の方が貴方とは思いませんでした」
「うん、まぁ一昨年からだけど陸上部の顧問をしてるから………というか隠岐さんの落ち着け方そんなので良いの……?」
「昔からこんな感じですよ?」
「うーん、藪蛇の気配がする……」
犬のように撫でられて満足そうにしている陸上部のエースを見て元々紫亜の担任の教師をしていた優男……杉谷は何とも言えない苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
チラリと横目で見れば他の部員達4名が宇宙を背負っており、特に男子2人は段々と溶けているような幻覚すら見えてきた。
これ以上ツッコむと追い打ちになりかねないと判断し、杉谷は腕時計をチラリと見ながら記憶を掘り返して状況の改善を行うべく言葉をかける。
「……あ、隠岐さん、そろそろウォーミングアップしておいた方が良いかも知れないな。あと30分位で予選が始まるみたいだ」
「ホントですか!」
「うん、しっかり準備はしとかなきゃいけないぞ。予選とは言え相手は全国から来てるんだ」
「はい!……あ、そうだ」
ギュッ!
「充電完了です!ちゃんと私のこと見てて下さいね、お兄さん!」
「ん、楽しんでおいで」
「じゃあ取り敢えず観客席に………杉谷先生、この子達大丈夫です?」
「「「「…………」」」」
「まぁ、うん、取り敢えず君は自分が大人気のモデルだっていう自覚を持った方が良いんじゃないかな」
「?」
「ははは、謙虚なのも紫亜くんの良いところの一つなんだがな」
「これは謙虚って言うのかしら?」
どうきゅうせいたちののうがこなごなになる!
紅音ちゃん関係の人物の説明と見た目のイメージ
隠岐 紅史
紅音の父親 小学校の先生で紫亜の元担任 あと何年位で紫亜くんが義息子になるかなと思ってる
イメージ→アカシア (トリコ)
隠岐 風音
紅音の母親 料理研究家 あと何年位で紫亜ちゃんが義息子になるかなと思ってる
イメージ→フローゼ (トリコ)
水無瀬 遥
陸上部のチームメイト 強気な少女で学校では紅音のSECOM筆頭 この度脳が破壊された
イメージ→高坂桐乃 (俺の妹がこんなに可愛いわけがない)
時喰 美奈
陸上部の同級生 大人しめの少女で学校では紅音のSECOMの情報収集担当 この度脳が破壊された
イメージ→寺田京 (神のみぞ知るセカイ)
竜崎 健人
陸上部の同級生 優しい少年で学校では緩衝材みたいな感じで端から見守る立場にいる この度脳が破壊された
イメージ→夕真昼 (よふかしのうた)
加賀宮 蓮月
陸上部の同級生 快活でムードメーカーな少年 紫亜にガチ恋してた(過去形) この度脳が破壊された
イメージ→切島鋭児郎(中学時代) (僕のヒーローアカデミア)
杉谷 晴信
陸上部の顧問の先生 苦労人気質 独身で家でヤケに大食いで態度のふてぶてしいデッカイワンコがいる 紫亜の元担任
キャラクターイメージ→向田剛志 (とんでもスキルで異世界放浪メシ)
後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは
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いる
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いらない
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セルマァ……