司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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暑いですね、毎日死にそうです。
皆様も体調管理はお気をつけを。



それでは、どうぞ


初出演はハプニング

とある日のお昼時、自分の部屋から出て来た少年があくびをしながらリビングに入る。

 

「ふふんふふ〜ん♪」

「んぁ?珍しいな瑠美、祝日休みなのに昼に居んの、バイト休みか?」

「今日は見たい番組あったからね〜、そういうお兄ちゃんこそ今日もゲーム漬け?」

「うっせぇ、お前もバイト漬けだろうがよ」

「だって、好きな服揃えるにはお金が幾らあっても足りないもーん」

 

この家の長男である陽務楽郎……紫亜のゲーム友達である『サンラク』の中の人物である彼は日頃から服で散財しバイト漬けの生活を送っている妹がソファでテレビを操作する姿に疑問の視線を送りつつも、冷蔵庫から飲み物を漁って冷えたエナドリを取り出した。

 

「で、お前がバイト休んでも見たかった番組とやらは何だ?ファッション系か?」

「んーん、情報バラエティ」

「へー、お前もそういうの興味あったんだな」

「や、別に番組自体に興味は無いよ?ただね……」

 

ピ、と録画を再生すればチョロっとCMが流れた後派手なオープニングが始まり番組内の見所が紹介されてゆく。

 

『国民的花形モデルも満足!?夢の国の楽しみ方』

 

「うげ……天音永遠?」

「そう!あのトワ様が!夢の国を満喫される所を!この目で拝めるの!」

 

兄が呟いた名前に反応した妹は一気に感情を爆発させるように目を輝かせた。

 

「あぁッ……!永遠様があのネズミ耳をお付けになるなんて……!この日を記念日とするしか無いじゃん!」

「あいッ変わらずの信者具合だなお前……つか、あの某夢の国のネズミのカチューシャ付けるだけだろ」

「分かってない!お兄ちゃんはなーんも分かってない!」

 

ボソリと呟かれた兄の一言、それに反応した妹がギラリと目を光らせるとビシリと指を突き付ける。

 

「永遠様はね安易なコスプレはしないの、いや別にコスプレ全般をしないわけじゃなくってハロウィンシーズンに魔女系コーデで表紙を飾った事もあるしクリスマスをあえて外して新春カラーで完璧な着こなしを見せたこともある。というか永遠様に着られる服が逆に格を上げていくの、永遠様が格の高い服を着るわけじゃなくてね?秋コーデ特集のインタビューでも「全部をブランド物で固めなくても一点のブランドものを軸に合わせていくなら、それを際立たせるコーデが必ずしも高額になるわけじゃない」って言ってたし・・・・・・ああごめんお兄ちゃん、話がそれた。今から本題だからまだそこに座ってて。だからなんで永遠様がネズミ耳を付けたのが凄いかって言うとね?永遠様はあらゆるコーデを着こなすからこそ、安易なキャラ物のカチューシャというそれ単体で成立してしまうものをつけているはとんでもないことなの。革命・・・・・・革命なの。ほら見てよく見て、永遠様美しい!まずそこを理解した上でネズミ耳を見て・・・・・・そう、ネズミ耳を付けた永遠様じゃない、永遠様がネズミ耳を付けている。この順番がとても大事、倒置法!!」

「お前そんなんだから国語のテストで赤点取るんだぞ」

「話を逸らさない!」

「お前が現実から目ぇ逸らすなよ」

 

目がガンギマった妹のマシンガントークに対しひたすら冷静になる楽郎はふとテレビの方に目をやって静かに指をさす。

 

「で、お前は既にその永遠様が登場するコーナーの冒頭シーンを見逃してる訳だが、そこんとこどう思う?」

「は!?あ、マジじゃん!?ちょっとお兄ちゃん気づいてたんなら早く言ってよ!?」

「こっちが話を挟もうとする前に畳み掛けてきたのはお前だろうがよぉ」

 

『どう?今日のコーデ』

『すっごいですね!』

『じゃあちょっと一般の子にも話聞いてみよっか?』

 

微笑ましい兄妹のやり取りを他所に、テレビの場面は天音永遠のデ○ズニーコーデ紹介に移っていた。

全身のあちこちにキャラクターの意匠やグッズが散りばめられているものの、過剰な派手さはなくそれそのものすらもファッションの一部として完璧に着こなす姿は流石トップモデルと言える仕上がりである。

他のゲストに褒めそやされながら、一般人の感想も聞こうと天音永遠は適当に近場にいた1人に声をかけた。

 

 

『やっほ〜、そこのお嬢さんちょっとお話いいk…………紫亜ちゃん?』

『………永遠先輩?』

 

 

「え、嘘!?シアちゃんも出てるの!?サプライズゲスト!?というか地上波初!?」

「いやこれ多分放送事故に近い何かだろ、つかお前誰か知ってんのな」

 

何気ない兄の一言に一瞬だけビタリと動きを止め、グリンと目を血走らせながら振り向く。その姿を見て「あ、余計な事言ったな」と悟ったのもつかの間、再びマシンガントークを開始した。

 

「あったりまえでしょ!?永遠様直々にスカウトされたっていう新進気鋭の新人モデル、上条紫亜!通称『シアちゃん』!その幼めの顔立ちの中に大人っぽい色香も持ってて、なんとレディースどころかメンズファッションでさえ完璧に着こなす超人!それでいて名前と姿以外の情報がが一切明かされていないミステリアスビューティー!デビューしてから僅か2年足らずで有名雑誌の表紙も飾った今をときめくニュースターだよ!?永遠様が『女神』なら紫亜ちゃんは『天使』!2人は天から私達人間を導く為に訪れたのよ!」

「最早宗教じゃねぇか……」

(コイツに『アイツ(上条紫亜は)男だぞ』って言ったらどんな反応すんだろうな……まぁ言った瞬間血涙流して詰め寄って来るだろうからやらんが)

 

テレビに映るモデル2人と個人的親交がある楽郎はその事実を胸の中に仕舞いつつ、トリップする自身の妹に最早諦めのような物を抱くのだった。

 

 

 

 

 

場面は戻り、お互いにこんな所で会うとは思っていなかった為か一瞬沈黙が走る現場。その中で誰よりも早く復帰したのは天音永遠だった。

 

「えーっと……こんなとこ出会うなんて奇遇だねぇ紫亜ちゃん!」

「ん、そっちこそ。先輩は何かの番組のロケ?」

「そだよー、来週のヒ○ナン○スの『デ○ズニーの楽しみ方』ってコーナーの撮影中」

「ん、有名所」

 

カメラを向ければ無敵になる先輩に話を合わせる形で言葉を交わす紫亜。聞いてみれば向こうはバラエティのロケ中で、どうやらほぼほぼ偶然自分がインタビューの対象となってしまったらしい。

格好も派手さのないシンプルな物であり、髪型もモデルの仕事ではしない感じの遊びを混ぜたセットにしている為それも仕方無い事なのだろうか。

 

「一応ウチの事務所に連絡しとかないとなぁ、『このシーン使っていいか』って」

「なら後で僕からマネージャーさんに話しとく」

「そう?なら頼んだよ紫亜ちゃん」

 

コソコソと事務所への対応を話し合っていれば、ようやく復帰してきた他のタレント達が次々と口を開き始めた。そんなメンバーの殆どが初対面、まずは挨拶だろうと紫亜は佇まいを直して前の人物達を見据える。

 

「どうも初めまして、上条紫亜です。以後お見知り置きを」

 

その言葉と共にペコリと一礼し、顔を上げてニコリと微笑む。

日本のモデル界のトップである天音永遠に負けず劣らずの容姿とそれを無意識に魅せる技術を有する紫亜の微笑みの前にある人物は感心した様子になり、ある人物は呆けてしまい、他のスタッフや周囲の野次馬は見惚れて動けなくなってしまう。

 

「はー……綺麗な所作やなぁ。ええとこの出だったりするん?」

「まぁ一応、礼儀作法は良家出身の父から教わりましたので」

 

大御所芸人が感心したようにコメントする中、今度は最初に復帰した俳優が口を開いた。

 

「それにしても仲いいね、やっぱ天音さんがスカウトしたってのが関係してたりする?」

「ん、先輩には昔から何回もお世話になってるので」

「もうほぼほぼ妹分だからね、プライベートでも時々一緒にご飯行ったりしてるし割と本気でこういう妹欲しかったとは思ってるよ」

 

そう言いながら紫亜の肩に手を乗せてピースする天音永遠。仲の良さや気安さが顕著に表れるが、その姿を見て疑問を抱いた女性アイドルらしき人物がおずおずと尋ねて来る。

 

「あのぉ、上条さんって今ヒールとか厚底の靴履かれてます?」

「いえ?普通のスニーカーです。流石にテーマパークにヒールとかで来るのはキツい」

「まぁそりゃそっか…あ、いや、すいません。私のイメージではもう少し背が低かったんでつい……」

「童顔だから勘違いするのも分からなくけど、この子私より背高いよ?紫亜ちゃん今身長幾つだっけ」

「ん、こないだ測ったら170だった」

 

その言葉と共に移動して先輩の隣に並び立つ紫亜。

天音永遠の大人っぽい雰囲気もあって背も越してるようなイメージがあるが、頭頂部の位置が紫亜の方が高いのが視覚的によく分かる。

 

「そういやツーショットってプライベートの写真以外じゃ初めてだっけ?」

「ん、確かに公式に出された写真には無かった筈。というかテレビに出るのも初めて」

「そーだったそーだった!なら視聴者と……周りのに向けてサービスしないと。ほらポーズとって!背後に2秒後」

「ん、了解」

 

一瞬だけ耳元で呟いて指示を出した先輩に合わせるように背後から向けられた一般人のカメラのシャッターが切られる瞬間だけ目線を送る。

後にSNSに投稿されたその写真は2人の美女が片方はサングラスを外しながらセクシーな流し目を、もう片方が茶目っ気と端麗さが絶妙なバランスのウィンクを向けた物となっていた。

なお、撮影者はこの写真を初めて確認した瞬間トキメキによって気絶したらしい。

 

「よーしドンドン行こうか紫亜ちゃん。はい次右の方、私の前から身体出す感じて……」

 

 

 

 

 

「て、テープチェンジ入りまーす!」

「はーい!お疲れ紫亜ちゃん、合わせてくれてどーも♪」

「凄いね先輩……僕もう疲れた」

 

そんな風に最早雑誌の写真撮影なのでは?と疑問に思うほどに白熱した撮影会はその様子を撮っていたTVカメラのテープチェンジと共に幕を閉じた。

時間にして20分も経っていなかった筈だが、慣れている永遠は兎も角紫亜からしてみればかなり神経を使った時間であり、

 

「というか紫亜ちゃん1人で来てんの?剛の者?」

「親戚の子達とその保護者さんと一緒。大会のご褒美に連れてきた」

「あーね、もしあれだったらもうそのままロケ付いてきてもらおうかと思ったけど邪魔しちゃ悪いか」

「ん、多分もうそろそろ子供達がアクセサリー選び終わって来てると……あ、来た」

「おにーさーん!皆選び終わりまし……た、よ?」

 

他のタレントやスタッフから少し離れて2人で話していた所に、人混みの中から紫亜を見つけた紅音が駆け寄って来るが紫亜に抱き着く美女の姿を見て声を萎ませながら立ち止まる。

 

「よくアンタこの人混みの中突っ込んで行ける………って、とッ、トワ様!?」

「え、ウソ!?ホンモノ!?」

「あっ、顔面偏差値の暴力で目が潰れそう…」

「なぁこれやっぱぜってぇ俺ら殺されるって……殺しに来る相手が男どもから全員になる奴だこれ」

 

友人達も人混みを掻き分けて紅音に並ぶと同時に永遠の姿を目に入れる。女子2人はテンションが上限を突破し、男子2人は美男美女が並ぶ光景に気圧されて一種の恐ろしさすら感じているようだ。

 

「ん、この子らが僕の親戚とその友達の子達」

「そっかそっか。やっほー、初めまして天音永遠ダヨー、私の事知っててくれたりするのかなー?」

 

「「モチロンですトワ様ァ!!」」

「どうしよう、2人が暴走し始めちゃった……」

「余計な口挟むと殺られるぞ、黙ってるのが正解だ……!」

 

女子達の憧れともいえる存在に気さくに挨拶され、メロメロになりながらも咆哮の如き返事をする部活仲間にドン引いて若干距離を空ける男子達。

そんなよく見る光景を微笑ましく見守っていた紫亜だったが、不意に紅音が抱き着いて来た為その事に驚きつつも何とか姿勢を戻しながら受け止めた。

 

「むぅ………」

「どうしたの、紅音?」

「…………むむむむむむ」

 

ギュッと紫亜を抱き締めて離さないまま頰を膨らませて件の美女の方を見る紅音。

性格の良さ故か「睨む」という行為までは至っていないものの、それでも「警戒してます」感が見ただけで伝わってくる。

 

「……はッはーん?成る程、これはこれは………案外君も隅に置けないじゃあないか紫亜くん」

「?何の話?」

 

何ともまぁ分かりやすい嫉妬の感情に、天音永遠のその整った顔がニヤリと笑う。

何も状況を把握してなさそうなニブチンな後輩はさておき、永遠はチョイチョイと紅音に向けて手招きをする。

 

「はーい、ちょいとお耳を拝借」

「…………」

 

警戒しながらも素直に耳を傾ける少女に対し、永遠は周囲に聞こえないように手で筒を作って内緒話を始めた。

 

コソコソ、コソコソコソコソ

 

「…………」

「…………」

 

スッ (同時にスマホを取り出す音)

 

ピッ (連絡先の交換が終わった音)

 

「そういう訳だからこれからよろしくね、っと、そうだ名前は?」

「隠岐紅音です!よろしくお願いします、永遠さん!」

「わー眩しい笑顔ー!しかもめっちゃ良い子ー!」

 

「待って今の一瞬で何があったの?」




先輩はね、紫亜ちゃんの事を異性として見ることは一切ないからね、紅音ちゃんの大変心強い味方になってくれることでしょう。


紫亜ちゃんは先輩程じゃないですが写真写りがかなり良い方です。流石に撮られる写真全てが写真集クオリティになる訳ではありませんが、所作に自然なあざとさや色気等が滲み出てくるタイプです。これを無意識にやるので性癖クラッシャーと化します。

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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