それでは、どうぞ
ちょっとした意外な出会いを経て、友人が1人増えた事に喜ぶ紅音は隣を歩く紫亜と恋人のように腕を組んで鼻歌を歌いながら新しく連絡先が増えたスマホの画面を眺めていた。
「永遠さん、とっても良い人でしたね!」
「ん、先輩の方も機嫌良かった」
『あ、そうだ、ここで会えたのも何かの縁だし1枚撮っちゃおっか。はーい皆寄って寄って〜』
『ん、そんな離れてたら写らない』
呆然としていた子供達をモデル2人が抱き寄せて、全員が画角に入るようにギュウギュウ詰めになりながらの1枚。表情は光悦だったり困惑の伴った笑みだったりと様々だが、モデル2人のファン達からしてみればそれの価値は山と積まれた金銀財宝に勝るとも劣らない逸品である。
「はぁ〜…!あのトワ様と一緒に自撮りだなんて……!しかも紫亜ちゃんまで揃ったパーフェクトショット……!印刷して家宝にしないと……!」
「遥、それ絶対バラまくなよ?」
「あったりまえでしょ、トワ様のこんなプライベートで自然な笑顔見せたら死者が多数よ」
「そういうことじゃ……や、まぁいいか」
「うへへ、うへへへへへ…」
「どうしよ、美奈さんが戻って来ないや」
「ほっとけ、そのうち戻んだろ」
特に永遠と紫亜の両方を推していた女子2人は夢心地な様子で他の2人に引き連れられながら先を歩く紫亜達の後をついて行っていた
「モデルとしての大先輩で新人の頃から何回もお世話になったからね。紅音も気に入られてたみたいだし、仲良くしてね?」
「はい!勿論です!……あ、そうでした!お兄さん、ちょっとかがんで下さい!」
「ん、どうしたの?」
「えい!」
何かを思い出したかのようにバックを弄る妹分に従って少し屈むと同時に頭に何かを装着される。
体を起こして触って見ると、どうやらこのテーマパークのメインキャラを模したネズミ耳の頭飾りのようだ。
「これ、カチューシャ?」
「えへへ、お揃いです!さぁ遊びましょう、お兄さん!」
「ん、さっきよりテンション高い」
よくよく紅音の頭を見れば、紫亜に着けたキャラのヒロインがモチーフのカチューシャを着けていた。
想い人と美女が並び立って楽しそうに会話していた時のいじけた顔から一変して、心底嬉しそうで幸せそうな笑顔にファンタジックなそのカチューシャはよく映えている。
「見なさいよあれ、私達とは少し違うキャラの奴選んでたと思ったらアレするつもりだったのね。滅茶苦茶独占欲強めじゃない」
「なんかもう、慣れてきたよ。多分僕らに対しては惚気吐いても良いって思ってるだろうし……」
「もう私達がアドバイスもらう側になっちゃうね…」
「それはもう昨日の時点で分かってた事だろ、すげぇブラックコーヒーが飲みてぇ」
「皆ー!早く行きましょうよー!」
ナチュラルに紫亜と腕を組みながら後ろにいる友人達に声を掛ける紅音の姿は何とも幸せそうだった。
〜ここからはダイジェストでお送りします〜
「お、あんまし並んでねぇな、ラッキー!」
「ジャ○グル・ク○ーズって元ネタ何だっけ」
「えーっと……そういう映画があったらしいわよ?ハードディスクとかいう古い記憶媒体使ってる頃からある作品だって」
「もうかなりレトロなんだね」
「ステ○ッチ行きましよステ○ッチ!」
「へぇ、アトラクションあったんだな」
「ステ○ッチって結局何がモチーフのキャラだったっけ」
「ワンちゃんですかね?」
「それ原作でステ○ッチが言われて切れてたわよ」
「ビ○グサンダーマ○ンテン……むむむ」
「どうかしたか時喰?」
「ひゃっ!?いや、何も、無い、かな…?」
「……あー、僕絶叫系苦手だから待ってていいですか?」
「ん、そう?ならそこのポップコーンでも食べとく?ブラックペッパー味だけど」
「そうですね、そうします」
「じゃあ行ってきますね!」
「健人、ちゃんと美奈と逸れないようにしなさいよー」
「分かった〜」
「え、わ、私何も言ってない……」
「強がらないで良いのよ」
「ここです!ここ行ってみたかったんです!」
「確か、ええっと…あぁ、美女と○獣か。ん、子供の頃ディ○ニー映画全く見てなかったから結構新鮮」
「そうなんですか?」
「由依がアニメとか苦手だったからね、僕もどっちかって言うと体動かしてた方が性に合ってたし。まぁ今はゲームでストレス発散出来るから運動はそこそこだけど」
「では私が案内します!まだ体が弱かった頃にお母さんが色んな映画を見せてくれたので結構詳しいんですよ!」
「わぁ!見てくださいお兄さん!ミ○キーが!ミ○キーが居ますよ!」
「へぇ、普通に外に居るんだ、写真撮って貰えるかな」
「一緒にお願いしに行きましょう!!」
「ん、行こ行こ」
そんなこんなで結構遊び回った一行はファンタジーなエリアの一角にあるバーガー屋に入店し、少し遅めの昼食を取っていた。
「さっきの射撃凄かったですね!全部的中してたのかっこよかったです!」
「ん、銃の取り扱いはゲームで慣れてるからね、あの金バッチ取れたのは偶然だけど」
巡る途中入ったウエスタン風の射撃場にてスタッフに貰った全発的中とレアターゲット的中の記念バッチを鞄のアクセサリーに追加しつつ、注文した肉厚なパティを挟んだバーガーに舌鼓を打つ紫亜。
一応移動中に大量にポップコーンを買っては食べて近くに通りかかった食べ歩きグルメも制覇しているのだが、そのトレーに乗せられた料理の量は他の食べ盛りの少年少女の中で一番多い事を記しておく。
「紫亜さんもゲームやられてるんですか?」
「普通にやるよ?というかやらない日の方が少ない位、一応全国大会とかにも出て入賞したことあるし」
「ホントですか!?どのゲームで!?」
「ギャラクシーヒーローズ……って知ってる?それの1作目」
「今でも次回作がプロの大会に使われてるシリーズじゃないですか!」
「凄い……!」
そう何気ない質問から結構なゲーマーだということを明かす。
本人からすれば冗談抜きで家族共々ゲームに救われている所が多いのでむしろゲーム好きで何が悪いというスタンスなのだが、紅音を除いた少年少女からはそうは思われていなかったようでゲーム好きの面々が目を丸くしながらも更に話を掘り下げ始めた。
「何、そのギャラ何とかって奴?あんまゲームやらないから知らないんだけど」
「アメリカのコミックのキャラのお祭りゲーだよ。多分格ゲーの中じゃ一番人気の奴じゃねぇかな」
「へー……え、その全国大会で入賞?」
「だからこんなに健人と時喰が興奮してんだよ。オレもやってっけどコイツら結構ゲームやり込んでるからな」
ライトユーザーな遥と蓮月はサイドメニューのポテトを食べて乾いた口をドリンクで潤しながら興奮してる友人達を見守る態勢になる。あまり見ない姿に気圧されてると言い換えても良い。
そんな2人と紫亜の隣で美味しそうにモグモグ食べている紅音を他所にゲーマーな美奈と健人は目を輝かせる。
「紫亜さんの持ちキャラってどれですか?」
「色々あるけどティンクルピクシーがメインかな」
「あの紙耐久インファイター使えるんですか!?結構ティア低い方ですよ!?」
「大会でも使ってたよ。まぁ準決勝で優勝者と当たっちゃって3位だったけど」
「……因みにその優勝者ってもしかして」
「ん、察しが良い。今はプロゲーマーやってるKだよ」
「「おぉぉぉぉぉお!」」
2人が更に目を輝かせて興奮しながら紫亜に詰め寄って行って話をねだる、その様子を紫亜の隣に陣取っていた紅音は少し残念そうに見ていた。
「むぅ、そのゲームは高くてお小遣いじゃ買えなかったので話について行けません……」
「安心しなさい紅音、私もついてけて無いから。というかアンタもゲーム自体は結構してるんだっけ?」
「はい!といってもメジャーなゲームは私のお小遣いじゃ手が届かなくて、ワゴンで安くなってる物で面白そうなのを選んで遊んでます!」
「……よくわかんないけどワゴンで叩き売りされてる奴って往々にしてつまんない奴とかなんじゃないの?」
「そうですかね?どれもやりがいがあって楽しいですよ?」
一応補足しておくが、ワゴン売りされてるのはこのVRゲームが隆盛を極めた時代にてその映像技術にシステム等が追いつかないまま発売された失敗作……つまりはクソゲーである事が殆どである。先日紫亜との電話で話題になった『スリリングファーム』もワゴン入りしていた世間的には「クソゲー」の烙印を押された物の一つだった。
兎も角そんな風にゲーム談議も交えて和気藹々と昼食を楽しむ少年少女。
午後からもまだまだ残っているアトラクションやパレードを楽しむために英気を養うのだった。
紫亜ちゃんの操作するティンクルピクシーに対するプロゲーマーの感想
「やー……アレだね、ピクシーって元々超至近距離戦闘特化で嫌がらせの権化みたいやキャラなんだけど、ジョシュアが使うと途端に殺意に全振りされるから怖いんだよね。持ってる杖でぶっ放す魔法(物理)がクッソ速いわ、インファイトしてる癖にこっちの攻撃は全部避けるわ、もうアムドラヴァのキャラパワーでゴリ押したよね」
「というかこの間聞いたんだけど、『相手の敵意とか殺意とかで攻撃先は大体読める』ってズルくね?俺も欲しいんだけど」
幕末に染まればそのうち誰でも出来るようになるよ
byジョシュア
後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは
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いらない
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セルマァ……