司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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仕事の繁忙期を何とか乗り切れたのでやっと執筆を再開できました。最近は執筆する体力すら無かったので休みながら書いていきます。





それでは、どうぞ


装備のススメ 後

「今店にある武器はこんぐらいだな」

 

数分後、ジョシュアの姿は数多くの武器が並べられた武器屋の店内にあった。

店主の提示したリストをざっと見ているのだが、イマイチピンと来る物がないようだ。

 

「ん………んぅ、オススメはある?」

「そーだなぁ、コイツなんてどうだ。」

 

逞しい老人の店主が取り出したのはその殆どが金属で構成された角ばったハンマーだった。

 

「これは、大鎚?」

「あぁ、『アイアンハンマー』って言ってな、見ての通り重量級だが一撃の威力は保証してやる。それにコイツで鉱石ブッ叩けばツルハシ代わりにもなるって寸法よ。近くの沼荒野にゃ鉱脈が剥き出しになってる部分もあるんでな、そこで質の良い鉄やらなんやら取って来てくれば俺もより良い武器が作れる」

 

出されたハンマーをマジマジと見つめていたジョシュアは鍛冶師の最後の言葉にピクリと反応し顔を上げる。

 

「素材があれば作ってくれる?」

「ったりめぇよ、俺は鍛冶師だ。お前さんら開拓者が依頼するってんならそれに応えなきゃ名が泣いちまうってもんだ」

「ん、その言葉が聞けて安心した。ならこのアイアンハンマーと……剣は致命の鋸(ヴォーパル・ソウ)致命の包丁(ヴォーパル・チョッパー)があるからいいとして、この投擲用のナイフが欲しい、10本位」

「それなら合計で1万と3000マーニだが……投げナイフ分はまけてやるさ」

「ん、ありがとう」

「いいさいいさ。まぁ代わりといっちゃあなんだが、お前さんが使ってる致命の鋸を見せてはくれねぇか?」

「何故?」

致命(ヴォーパル)武器の中でも鋸はそこそこ珍しくてな、折角ならその技術をこの目で見てみたくなったんだ」

「ふむ……それぐらいなら構わない」

「おぉ、あんがとな嬢ちゃん!……ほほぉ、コイツは中々……大したもんだな、こんな複雑な刃でもしっかりと作られた鋭さがある」

 

鍛冶師の老人が品定めするかのように借り受けた致命の鋸(ヴォーパル・ソウ)を観察している内にジョシュアは購入したハンマーを取り出して持った感触を確かめる。

 

「ん、そろそろ行こうと思う」

「あぁ、引き止めてすまなかったな嬢ちゃん、今度来た時も何かしらサービスしてやる。それと夜までには街に戻っておくのを勧めとくぞ。いくらでも生き返れる開拓者とはいえ、凶暴なモンスターに襲われちゃひと溜まりもないからな」

「………分かった、肝に銘じる」

 

忠告を受けて手を振りながら店を後にするジョシュアは早速街から直ぐにある沼荒野へと向かうのだった。

 

「ん、凶暴なモンスターが楽しみ」

 

なお、老人の忠告は逆に彼の闘争欲を掻き立ててしまったようである。

 

 

 

 

 

「フンフンフンフンフンフンフンフン」

 

ガンガンガンガンガンガンガンガン

 

数十分後、『四駆八駆の沼荒野』を少し探索した後に丁度よい採掘場所を見つけたジョシュアは、両手で持ったアイアンハンマーをスタミナに物を言わせてブンブンと振り回し鉱脈に叩きつけていた。

硬い物同士がぶつかり合う特有の音を鳴り響かせ、隣に採掘物がドンドン積まれていくのだが、幸運にあまりポイントを振っていない影響なのかその山の殆どは石ころであり、鉱石はチラホラ見える程度だ。

 

「ふぅ………まだまだ足りない」

 

ゲーム内であるため汗を拭うような動作に意味はないのだが疲れたと感じた時に何となくやりたくなってしまうのは人間の性なのか、それともその感覚すら再現してしまうシャンフロのゲーム性の異常さなのか。

沼の中で自由に動き回ることのできないもどかしさを感じならがも作業を淡々と続けていく。

 

「ん?………ん、しょっと」

 

切れたスタミナが回復するまで頭を下にして立てたハンマーに身体を預けるジョシュアだったが、不意に視界の端に何か動いたような気配を感じ取る。

敏捷とスタミナと共に重点的に伸ばした筋力でもってハンマーを片手で持ち上げて担ぎ、テクテクと移動し始める。

しかし、違和感を感じた場所に着いてもその原因と思われる存在は見当たらない。

 

「気のせ………ッ!」

ガキンッ!

「グルルルルッ……!」

 

僅かに感じ取った音と異常なまでに鋭い勘から判断したジョシュアがハンマーを振り抜いた結果、どこからか現れた蜥蜴のようなモンスターが振り下ろした尻尾とぶつかり合った。

 

「シュルルルル……」

「ん、ロックリザード?調べて無いから名前とか全く知らないから何とも言えないけど」

 

弾かれて移動したジョシュアが顔を向ければ体表が岩石や鉱石で覆われ、尻尾がハンマーのようになった蜥蜴と視線が合う。

どうやら身に纏った岩石で岩山に擬態し襲い来るタイプのモンスターのようで、奇襲に失敗したからか明らかに警戒心を張り詰めさせている。

 

「………成る程」

 

距離を離して観察していたジョシュアが少し口角を上げてアイアンハンマーを構え直す。

その思考は2つに絞られていた。

 

 

即ち、()()()()()()()()()()()()

そして、()()()()()()()()()()()

 

 

「ん、丁度いい。採掘にも飽きてきた頃だったし、ここらで一回息抜き(バトル)しようか」

 

柔らかい笑みは天使のように、それでも長柄のハンマーを両手で構える姿は戦士のように力強い。

プレイヤーとモンスターの睨み合いは暫くの間続いていたが、モンスター側からの飛びかかりによって戦いの幕が開けられた。

 

「シュルァッ!!」

「《光の種》、筋力強化」

 

筋力 40 → 50

 

「フッ」

ガギンッ!

「ギュッ!?」

 

25%増加という破格の補正は、ロックリザードとのぶつかり合いにて先程とは異なる結果をもたらした。

飛びかかりを弾き返された事で出来た隙を逃さず、ジョシュアはスキルを点火していく。

 

「《アクセル》、からの《インパクトノック》」

「ギュリアッ!?」

 

速攻で懐に潜り込み、大地を踏みしめて重量級の一撃を放つ。

腹部は普通の爬虫類のようになっており、背中側よりも装甲は薄かったからかダメージもそれなりに入ったようで、殴り飛ばされたロックリザードからは呻くような鳴き声が聞こえる。

 

「ギ、グリュアッ!」

「甘い、《一艘跳び》」

 

足掻きや反撃の為にハンマーのような尻尾を振るうが、横薙ぎに放たれた一撃は宙に跳んだジョシュアの肉体を捉えることはなく空振った。

そして、空中で身体を翻し姿勢を整えたジョシュアの振り上げたハンマーは回転と落下速度を伴ってロックリザードの頭を目掛けて振り下ろされた。

 

「ん、そいっと」

バゴンッ!!

「ガギャッ!?」

 

気の抜けるような掛け声とは裏腹にその一撃は重かったようで、ロックリザードの頭を覆う岩石がヒビ割れて欠片を撒き散らす。

その中にはキラキラと夕陽を反射して輝く鉱石も存在していた。

 

「岩が主食だったりするのかな、だったらもっと鉱石食べた個体とかどうなるんだろう」

 

まだ見ぬ個体に思いを馳せながらも攻撃の手は緩めない。連続で叩き付けられるハンマーでの攻撃に、襲い掛かった筈のロックリザードは堪らず逃げ出そうと岩山の方に走り出した。

 

「ん、逃さない」

「ギュルッ!?」

 

しかし、それを許すほどジョシュアは甘くはない。ヒビ割れて弱点部位となった部分にインベントリから取り出した投げナイフを投擲、見事突き刺さった結果モンスターの足止めに成功する。

 

「普通の剣なら刃を通すのに時間が掛かる……なら、線から点にすればいい」

 

ロックリザードが振り返れば既に前方に跳んでハンマーを振り抜かんとするジョシュアで視界が埋まる。

 

「ん、パイルバンカーは人類の偉大な発明」

 

何とか回避しようとするも既に攻撃は放たれた。突き刺さった投げナイフに対し真っ直ぐ打撃を加えた結果、モンスターの身体を貫く刺突となってそのHPを全損させたのだった。

 

 

 

 

「ん、レベル上がった」

 

ロックリザードはポリゴンとなって解け散り、ドロップアイテムらしき岩石が残される。それと投げナイフを拾い上げてインベントリに収納してみれば名前が表示された。

 

「獣甲石……やっぱり普通の鉱石とは違う。えっと、『ロックリザードが食した岩や鉱石が成分として表皮の上に抽出された鉱物。普通の鉱石よりも軽く頑丈』……ん、やっぱり良さそう」

 

説明を見れば何とも素材向きな事が判明、ジョシュアのやる気が10上がった。

他にも灰色鉄鉱や銀色鉄鉱等とただひたすらに鉱脈に向かってハンマーを叩き付けた成果にも劣らない品物も得られた為、その事を踏まえて目標を鉱石採掘からモンスター討伐に切り替える。

 

「ん、夕日が眩しい」

 

採掘に集中していた為か既に日は山の向こうに半分ほど沈みかけていた。

 




ミミクリーマンティスなんていうハナカマキリがいるんですから岩肌に擬態する奴が居ても可笑しくないと思うんですよね。

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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