司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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リンバスとアークナイツコラボのPV出ましたね、1週間後が楽しみで堪りません。
貯めた狂気足りるかなぁ。

それと、暫くの間はもう一つの小説の執筆に集中するので更新が遅くなります。気長にお待ち頂けたら幸いです。
いつも頂いている感想や高評価も執筆の励みになっております。これからもジョシュアの冒険を見届けてくれたら嬉しいです。




それでは、どうぞ。


激流逆らい、出会うは怪奇

『戦闘終了を確認、《デリバリーキャリア》待機モードに移行します』

「ん、お疲れ様ポルードニツァ……不世出(エグゾーディナリー)?」

「おう、どうかしたか?」

 

迸るエネルギーが止まり、変型して出て来ていた刃も引っ込んだ次元鞄を労うように優しくポンポンと叩くジョシュアは、自身の目の前に出たLevelUpの表記と共に提示された聞き馴染みのない単語に首を傾げていた。

詳細の確認の為にそれをタップして説明欄を見ながら近付いていた共闘者に答える。

 

「ん、お疲れ様。いいところ持ってってごめんね」

「いんや、あの乱戦の中でラストアタック云々で文句なんざ言わねぇよ」

「そう言って貰えると有り難い。それとなんだけど……」

 

今しがた手に入れた物の情報の共有を行うが結果はあまり良いとは言えなかった。

 

「ほーん、不世出(エグゾーディナリー)ねぇ……悪いけど聞いたことねぇな。メルメルはどうだ?」

「わ、私も耳にしたことは無いです」

「オルトは?」

「ワタクシもそのような物の存在は初めて知ったのです!」

 

全員揃って未知の情報に頭をひねっていると、ふと何かを思い出したのか天首領が声を漏らした。

 

「あー…そういやこないだのアプデの表記で既存のモンスターの強化個体みたいな話があったな。もしかしてそれか?」

「ん、可能性は高いかも。それになんかすごいスキルも手に入ったし」

「凄いスキル……因みに効果は?」

「名前が【奮進再臨(リジェネイト)】で、体力が強制的に1まで削れる代わりに破られる度にステータスに補正が掛かるバリア10枚を10分間展開する。多分表記的にダメージストップ的な物でもあるのかも」

「うっわ、耐久殺してるタイプのステ振りならめっちゃ便利そうだなそれ!俺も欲しい!」

「多分また探して仕留めれば手に入るかも。再使用時間が1週間なのはちょっと気になるけど」

「あー……流石にそんな強力なのポンポン使えたらヤベェか。必殺技みたいなもんだな」

 

それでも強力なスキルを手に入れられるという情報は確かに有益な物で、それでいて似たような存在が他にも現れる可能性があると考えると更なる冒険の機会が与えられた事に天首領はニヤリと笑う。

それはそうと気を取り直し、ジョシュアはまだ解決してない事象を口に出した。

 

「それで、ドロップアイテムどうする?結構あるけど」

「んー、まぁ順当に行けば山分けだな3人…ウサギくんも含めりゃ3人と1羽か」

「あ、あの!私、言われた通りにバフスキル使っただけなので…その……」

 

しどろもどろになりつつも遠慮しようとした少女。

しかしそれを聞いた天首領は不思議そうに眉をひそめる。

 

「何言ってんだ、アンタもあの鮫の討伐に貢献してたろうが。ちゃんと自分の分確保しろよ?」

「え、あ、は、はい!」

「ん……ねぇ天首領さん、僕コレもらっていい?」

「おー、でっけぇ骨。アイツの背骨か?」

「ん、多分だけど。結構ずっしりしてるしこのまま振り回しても武器になりそう。僕はコレと……あと大き目の切り身幾つか貰えたら十分かな」

「オイオイ、まだ牙とか鰭とか武器の素材になりそうなのたんまりあるぞ?良いのか?」

 

そう言って指差す先にはまだまだたんまりと山積みにされた大きな皮鋭い鰭、それと大量の切り身といったドロップアイテム達が己の存在を誇示していた。

鮫の肉は通常、大量に含まれる尿素がアンモニアに変わる事によって工夫無く食べるには些かキツい代物なのだが、そもそも尿素は海の中で浸透圧に耐えるために蓄えている物なので一応淡水であろう此処に生息していたスーサイドスピラーレの肉は微塵も臭さ等は感じられない。

肉は非常に引き締まっているのかずっしりと重く、そのまま焼いて食べても非常に美味しそうだった。

 

「ラストアタックで特別なスキル貰ったからね。レベルも上がって他にも色々スキル獲得出来たし……あと()()()()って事で一つ」

「ん~~、別にそんなん気にしなくても良いんだがなぁ……ま、それで断ってもアレか。なら遠慮なく頂くぜ、リスポーンした奴らにも持ってってやろ。メルメル、手伝ってくれ」

「わ、分かりました!」

 

そう言いながら2人は大量のアイテムをインベントリに収め始める。

レアモンスター、しかもその中でもさらに珍しい特殊個体となればそのドロップアイテムの売却価格にも大きく期待出来る。今回失敗したキャリーの損失を埋めても余りある位の利益が得られそうだ。

 

「っと、オルトの方はどれが欲しいんだ?」

「ふむむ……ならばワタクシは牙を幾つか頂戴したいのです。もしかしたら良いアミュレットの素材になるかもしれないのです」

「揃いも揃って欲が無ぇなお前ら。ほら、好きなだけ持ってけ」

「では!」

 

 

 

 

 

「うし、こんなもんか。じゃあ俺達は一旦シクセンベルトに戻るがジョシュア達はどうすんだ?」

「このままニーネスヒルを目指すよ。元々それが目的だし」

「じゃあここで解散だな、っと、そーだそーだ忘れるとこだった」

 

臨時パーティーもお開きになる雰囲気になった時、ふと何かを思い出した天首領が何やらメニュー画面を操作し始めボタンを押す。

それと同時にジョシュアの前にフレンド申請が届いた旨が通知され、ジョシュアは迷いなく『承認』のボタンを押した。

 

「なんか困った事あったら連絡寄越してくれ。近くにいたら駆け付けっから」

「ん、ありがとう」

「じゃあまたな!」

「ありがとうございました!」

 

手を振る青年とペコリと頭を下げた少女は踵を返して元来た足場の方へ向かって行く。

それを遠くに行くまで見送ったジョシュアはふぅ、と息を吐いて自分も目的の場所へと足を向けるのだった。

 

「大変気の良い方だったのです!」

「あぁいうプレ……開拓者が沢山居たら冒険も楽しいだろうね」

 

 

 

 

 

「やー、滅茶苦茶個性的で良い奴と巡り会えたなホント。もうまた会うのが楽しみになってきたなー」

「あの、天首領さん、一つ思い出したんですけど……」

「んお?どうかしたか?」

「確か《ジョシュア》って、前に天ぷら騎士団の謹慎中のメンバーに無断で情報晒された人と同じ名前じゃ……」

「…………ヤッベ、完全に頭から抜け落ちてた……あ〜、多分あの珍しい装備からして本人だよなぁ……!次会う時詫びの品持ってって謝らねぇと……」

 

 

 

 

 

 

「《満月刃》」

 

激流が足場にぶつかり飛沫を上げる中を強化された脚力でぴょんぴょんと軽々渡って行くジョシュアは、途中出て来た鰐型のモンスターを『4本目のマッチの火』の回転斬りで仕留めつつ先を進む。

 

「ていやっ」

「ん、お見事」

「ふふん!この程度ならば造作もないのです!」

 

肩に乗るオルトも『崇高な誓い』でこちらを狙っていたモンスターを仕留め、自慢気に胸を張る。事実、ジョシュアも何度も見たようにオルトは射撃技術に非常に長けており、連発した弾丸を寸分違わぬ場所に命中させるという離れ業を軽々とこなしている。

 

「それ、独学だったりする?この世界、銃使える人全く居なそうだし……そもそも開拓者が使える銃自体無いっぽいし」

「確かに銃に初めて触れたのは「図書館」に訪れてから数ヶ月経ってからなのです。しかしワタクシの銃の師……『魔弾の射手』様の腕が大変良く、ワタクシもそれに倣って練習は欠かさず行っているのです!」

「魔弾の射手……?」

 

日本ではあまり馴染みは無いものの世界的にそこそこ有名なオペラの題名にジョシュアは僅かに眉をひそめる。

詳しくは知らないものの、確か猟師が悪魔と契約し百発百中の魔弾を手に入れるが代償で恋人に当たってしまう……とかそういう物語だった筈と考えながらもそれより気になる事が一つ。

 

「ん、ガッツリ元ネタの名前なんだ……あの子みたいに多少変化してたりしないのかな」

「およ?どうかされましたか?」

「いや、さぞかしカッコいい人なんだろうなって」

「なのです!過去は中々に凄まじいのですが……非常に冷静沈着で」

「いつか僕も戦ってもらえるかな」

 

そんな雑談を交わしつつ進んでいると周囲の水飛沫が弱くなり始めた。どうやら渡っていた大河の中央から離れたことで段々と水の流れが遅くなっているようだ。

このエリアの踏破も近いと感じつつ、ジョシュアの頭の中にあるのはこの先に待ち受けるであろうエリアボスの事だった。

 

「所でオルト」

「はい、どうしたのですジョシュア様?」

「ここのエリアのボスって、確か巨大な鰐だったよね」

「はい!ワタクシ自身は書物でしか拝見したことは無いのですが、何でも強靭な顎は噛み砕く動作だけで衝撃波を放つのだとか」

「捕食行為と攻撃を同時に行うのは強そうだね。当たらないよう気を付けないといけないけど……」

 

そう尻すぼみになったジョシュアは広い足場に降り立つと無言で立ち止まった。

その身に突き刺さる巨大な敵意を感じ取った故である。

 

「!ジョシュア様、向こうの水中からなのです!」

「ん、大丈夫、僕も気配を捉えた」

 

耳の良いオルトが察知し、続けてジョシュアも捉えた水中をかき分ける音。

ザパンと水面から飛び出し足場に着地したのは鋭い牙とそれを支える強靭で長い口を持つ巨大な鰐、

 

「ギュルアァァァァッ!!」

 

現れたるは『翔風楼結(しょうふうろうけつ)の大河』のエリアボス、鏖噛み(ダストバイト)。硬い金属でさえも紙同然に貫く牙を剥く鰐は地面に降り立つと同時に己の存在を誇示するように吠え、テリトリーに入ったジョシュア達に威嚇する。

 

「一つ、思った事がある」

 

だが、ジョシュアは動かない。()()()()()()()()()と分かっているが故に。

 

「こういう区切りの場所には」

 

動かぬジョシュアを見て、ただの獲物だと認識したのかシンプルに飛びかかって喰らおうとする巨大鰐は気付かない。

 

 

「必ず幻想体が居る」

 

 

すぐ横に死が迫ってるとは、微塵とも。

 

 

ズドドドドドドッ!!!

 

「ギュガッ!?」

 

 

 

塵噛みの横顔を直撃したのはレーザーの如き勢いの赤い液体の柱。意識の底からの一撃にふっ飛ばされ沈んだ巨大鰐は僅かばかりに震えた後に肉体がポリゴンと化して霧散する。

それを見届けた一人と一羽はその攻撃を放ったであろう存在がいる方向に向き直った。

 

「ーーーーー」

 

「およよ!?」

「ワオ、凄いデザイン。人形とかよりも生き物ではあるけど、見ただけでマトモな生物じゃないって分かる」

 

そこにいたのは、1体の魚的な何か

 

胸鰭に該当するであろうは手のようで、胸部には赤く巨大な袋のような器官が存在していた。

だがまあそこまでならモンスター蔓延るこの世界では驚くべき点にはなり得ない。

 

問題なのは、

 

 

幻想体(アブノーマリティ)

『断首魚に遭遇しました』

 

 

その頭部が存在せず、首の断面が惜しげもなく晒されている事なのだから。




はい、みんな大好き水袋の元になった断首魚くんです。
実を言えば地底湖の所は泣きガエルと歩く真珠と断首魚で迷ってたんですが、地底湖は洞窟に一番合ってそうなカエルくんに任せました
そんでもって大河に出てくるボスをどうしようかと思ったんですが、あの真珠が撒き散らす腐食液で絶対大河汚染するんで断首魚くんに出張って貰いました。

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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