司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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暫くは三鳥パートが続きます。


それでは、どうぞ


黒い森の守護者達

「……」

 

まるで枯れた後に更に火で炙られて炭化したかのように黒い木々の間を、ただひたすら彷徨うように歩いていくジョシュア。

いざ森に入ってみたは良いものの土地勘等まるで無い環境、辺りを見回しても向かうべき場所等見当もつかない。

この場において異物なのは間違いなくコチラ側なのは分かっているのだが、少しばかり居心地の悪さを感じながら獣道すら無い森の中をひたすら進んで行く。

 

生物の気配一つしない静寂、黄昏時の空に包まれた暗さ、そのどれもがこの場所の異様さを物語っている。

 

 

そして何より、

 

 

「ん、見られてる」

 

 

突き刺さるような錯覚に陥るほどに鋭い視線が複数、常に付き纏っているのを肌でヒシヒシと感じ取っていた。

 

しかしながらその視線の主らしき存在は何処にも見当たられず、それがまたひたすらに不気味さを醸し出している。

 

 

「もう少し歩いたらなにかあるかな………」

 

 

ジョシュアはそうボンヤリと考える

 

そんな事をしていると、あたたかい明かりがとおくにみえた

 

「ん………」

 

ようやくてがかりがみえたほうへとあしをむける

 

おそらくあのひかりをたどればいきたいばしょにたどりつけるだろう

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幻想響唄 《彼方へのエコー》」

 

 

 

 

呼び出した槍を逆手で持ち、躊躇いなく自身の太腿へと突き刺した。

 

 

 

「ッつう……!《満月刃》!」

 

突き刺さると同時に襲い来るスキルの副次効果である脳内を引き裂かれたような頭痛に顔を顰めながらも、無理やり夢現から引き戻した身体を反射的に動かし自身の首を縛り付けようとする縄をインベントリから取り出した鋸で断つ。

 

「ふぃ〜……思考誘導?それとも洗脳?何にせよ中々殺意高い」

 

切断と同時に宙に溶けるように消えていく縄を見ながらぼやくそうジョシュア。

完全に消える前、視界の端に映っていたのは自分の首を括ろうとした縄が繋がる先。

 

「ん、外から森に入ったからって問答無用で絞首刑は流石に理不尽」

 

そこには立ち並ぶ木々から横に伸びる、太い枝があった。

もしあのままボンヤリ動くだけの存在であったとしたら黒黒とした木を彩るモニュメントへとジョブチェンジ、そのまま二階級特進していたことだろう。

 

『福祉モード起動、担当者への異常検知、保護障壁を展開します』

「ん?あぁ、もう大丈夫だよポルードニツァ、エネルギーはとっといて」

『承諾、《デリバリーキャリア》待機モードに移行』

「ん、ありがと」

 

エネルギーが回り始めたすぐ後に駆動音が静かになったデリバリーキャリアを撫でつつ、未だ痛むような気がする頭を押さえながら再び前を見据える。が、見えた筈の明かりは消えて森に入ったばかりの時と同じ風景が広がっている。

しかしコチラを見つめる視線は先程よりも強く、何処となく殺意のような物が滲んでいるような感覚もしてきた。

 

「……試してみようか、幻想告解」

 

ふぅ、と一度落ち着く為に息を吐き、静かに一つのEGOギフトを呼び出す。

同時に頭に巻き付いた赤黒い茨の冠はその存在が現実へと現れると僅かながらも暖かな光を漏らし始めたかと思えば、スッと頭痛が引いていったような気がした。

 

「ん、やっぱり罪善さんはなんか異質……ッ!」

 

他の幻想体に比べて些か害が無さ過ぎる存在に首を傾げて居ると背後で何か動く気配を感じ取る。

即座に振り向きながら鋸を振るえばその刃は先程と同じように独りでに動く縄を斬り裂くがその勢いを殺し切ることは出来ず、襲いくる縄を前にジョシュアは回避を選択した。

 

「もうなりふり構わず殺りに来てるね!っと!」

 

端が木の枝や何かしらに結ばれている縄達は回避し続けるジョシュアへホーミングで迫り、既に首以外であろうと構わず拘束しようとする意を感じる。

それらを体を捻り斬り払いながら立ち並ぶ木々を器用に足場にして襲い来る縄の間をアクロバティックに通り抜けている最中、不意にジョシュアが有するセンサーが反応を示す。

 

ガァンッ!!

 

「ッ!!」

 

瞬間、咄嗟に構えたデリバリーキャリアに何かが衝突した。

軽くノックバックが発生し軌道を完全に変える程の一撃だったものの、流石は《都市》の中でも「完全な配送」を保証する組織の備品と言うべきかデリバリーキャリアに傷などは一つも見受けられない。

それはさておきぶつかってきた存在に関してだが、盾代わりにしたデリバリーキャリアが視界を塞いでいた為に見えたのは白い影のような残像のみ。だがその残影が向かった方向を大体予測出来る程度にはその動きを捉えていた。

 

「ポルードニツァ、エネルギーを脚力の強化に回して!」

『承認、《デリバリーキャリア》出力低下、脚部外骨格へのエネルギー供給を20%上昇』

「《ラビットホップ》、《八艘跳び》、《光の種》敏捷強化!」

 

一定時間跳躍行為が連続する毎に跳躍力強化《ラビットホップ》を始めとした機動力へのバフをかけるスキルを点火、自身を狙った何者かを追うために勢い良く走り出す。

 

「」

 

バチバチと翡翠色の電気が迸る外骨格の補助を受け一跳びで高い場所にあった太い枝に着地、そのまま宙を駆けるかのように木々を渡り継いで前へと進む。

少し遠くにはこの黒い森では中々目立つ白い影が木々の間を縫うようにして飛んでおり、少しでも気を抜くと見失ってしまいそうになっている。

 

「ん、アンブッシュが終わったらアイサツしなきゃシツレイ………けど追いかけっこがご希望なら仕方ない」

 

途中で再び洗脳されるような感覚があったが罪善さんのギフトの精神浄化効果によって無効化され、行く手を遮るように飛んでくる縄は斬り裂いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見ーつけた」

 

漸く追いついたのは、森の中に自然に生まれたであろう少しばかり開けた広場のような場所。

 

追い詰めたのか、それとも誘導されたのかは分からないが、向こうが焦った様子も無い事から恐らくは後者の方だろう。

しかしそれを気にするのは後でもいいと言わんばかりに、ジョシュアは致命の鋸を握り直して広場へと踏み込んだ。

 

「ん、こんにちは……空の暗さ的にこんばんわはまだ早いかな?」

 

穏やかに笑ってそう話しかければ、ゆったりと3つの影が振り返る。

 

『『『…………』』』

 

 

幻想体(アブノーマリティ)

『罰鳥に遭遇しました』

『大鳥に遭遇しました』『審判鳥に遭遇しました』

 

 

1羽は先程突っ込んできたであろう白い姿で、小さな体の腹部には血で染まったような赤い模様を有し、他の2羽の間で羽ばたいて滞空している小鳥

 

 

もう1羽は先程自身を導いたであろう光を灯すランプを持ち、数mはありそうな巨体に黒い羽根を生やし、顔に該当する部分に無数の黄色に輝く瞳を有しているずんぐりとした丸い鳥

 

 

そしてダチョウのような姿だがその細い首は途中でN字状に折れ曲がり、頭には視界を閉ざすように包帯を巻き、翼の先に些かバランスが片側に傾き本来の役目を果たせなさそうな天秤を持ったほっそりとした鳥

 

 

背を向けるのを止めた3羽はいずれも部外者であるジョシュアに対して殺気を向けており、それぞれが手に持つ道具を掲げる。

 

「ん、取り敢えず挨拶。初めまして、僕はジョシュア、君達は?」

『怪しい奴に名乗る名前は無いよ!』

「あ、言葉通じるんだ」

 

話し掛ければ返ってきたのは明確な言語による拒絶。

耳に入ってくる音自体は鳥の鳴き声なのだが、どういう仕組みか脳内で変換されているようで奇跡的に会話が成立していた。

 

『森を荒らしに来たのなら容赦はしない』

『私達の役目の邪魔をするな!』

 

尤も、向こう側は話し合い等する気は無いようだが。

 

「まぁ良いや、取り敢えず殺る気なら応えなきゃシツレイだよね」

 

殺気立つ3羽の鳥達を前に、ジョシュアは改めて鋸と次元鞄を握り直して笑みを深くした。




『The Tale of The BlackForest 』攻略ポイント

森の中を探索しているとほぼ確実に魅了デバフによる思考鈍化+誘導からの絞首刑というクソコンボが飛んできます。
回避のために精神干渉への対抗手段と斬撃系の武器を常備しておきましょう。

例)ユニークモンスターの呪い(マーキング)

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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