司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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早く原作と合流させたいですね…



それでは、どうぞ


監視 審判 執行

「幻想着火、幻想響唄、幻想泣鳴、幻想水膨、幻想焼身」

 

改めて今回の相手と向かい合ったジョシュアは手始めに今まで手に入れてきたEGOギフトを呼び出していく。

口元には燻るマッチ、胸元にはクレヨンで描かれたようなハートのバッチ、首元には青い蛙の瞳のような宝石がついたペンダント、そして先日打倒した『断首魚』のEGOである「水袋」は手を覆う鱗として、『真鍮の雄牛』のEGOである「カポーテ」は赤熱した金属の2本角として現れた。

見た目が人外に寄っていくのも構わず、ジョシュアはヂェーヴィチ協会のコートを翻して両手の武器を構えて走り出し、相対する鳥達もまた行動を開始する。

 

『審判をここに』

「ッ!」

 

審判鳥が手に持った不平等な天秤がキィン、という音と共に片側へと明確に傾く。

それと同時に地面から生えるように黒い羽で覆われたような台とその先端に繋がる黒い縄が現れ、先程と同じようにジョシュアを捕らえんと動き出す。

しなやかに迫るそれらは先程よりも密度が上がっており、くぐり抜けるだけで回避するのは困難だろうと判断したジョシュアは右手の致命の鋸を振るった。

 

「《一閃》、《燕返し》ッ!」

 

自身を捉えんとする縄達を一太刀で纏めて斬り落とし、後からおかわりと言わんばかりに迫る追撃も斬撃系スキルの動作終了直後のみ使用可能なスキルである《燕返し》で撃ち落とす。

そんな風に第一波を凌いだジョシュアだったが、完全にコチラを敵と見なした鳥達の攻撃が止むことはない。

 

『隙ありッ!』

「無いよそんなのっ、ッ!」

 

斬り払われた縄の隙間を縫うように顔面目掛けて飛んできた白い塊を首を傾げて避けたかと思えば多くの瞳を持った巨体がコチラを轢き潰さんとする勢いで迫っており、開かれた嘴からは本来鳥が持ち得ない筈の牙が覗いていた。

 

「《セツナノミキリ》ッ!」

『何ッ!?』

「ポルードニツァ!鞄にエネルギー回して!」

『了解、《デリバリーキャリア》出力上昇』

 

一撃でジョシュアの体力全てを削り取りそうな噛みつきに合わせて致命の鋸を突くように振るう。

攻撃にジャストで合わされ強制スタンを喰らい止まった『大鳥』を前にジョシュアは一歩踏み込み直してデリバリーキャリアを振り被った。

 

「《ウェポンライト》、《崩々壊撃》ッ!」

『ぐぅッ!?』

『サーベ!』

 

翡翠色の電気を迸らせる鞄による殴打は『大鳥』の胴体を横から捉えて殴り飛ばし仰け反らせた。

変形無しでも相当なサイズを誇るデリバリーキャリアだが手に持った武器の体感重量を一時的に半減させるスキルである《ウェポンライト》もあってか軽々と振り回しており、その質量も合わせて雑な振り回しでもそれなりの威力が出ている。

 

「追撃を……!」

『やらせはしない』

 

隙が出来た大鳥へ鋸を振るおうとすればそれを阻むように間に縄が多重に張られる。

即座に邪魔をする縄達を斬り払うが更に追加で太く束ねられた縄が入り込み盾となり、更には追い打つように飛んできた『罰鳥』が鋸に向かって突撃、その小さな身体に見合わないパワーで見事に鋸を弾き攻撃を中断せざるを得ない状態を作り出した。

 

 

(行動制限と拘束の為の縄、適度なタイミングで妨害してくる小鳥、そして明らかに一撃が重そうな噛みつき……前戦った阿修羅会よりよっぽどコンビネーションがしっかりしてる)

「良いね、()ってて楽しい!」

『喰らえっ!』

「ん、断る!」

 

思考を巡らせ、笑みを深くする。

絶え間なく対処を迫られる状況、コチラが挑む側だと意識させられる攻防、どれもがジョシュアの心を弾ませていた。

 

「あっは、復帰早いね!」

『あの程度で私達を止められると思わない事だ!』

「思ってないよ!マッチちゃんみたいな例外は居るけど君達(幻想体)は基本的に頑丈だって知ってるから!」

 

再び噛みつこうとする大鳥を《スケートフット》でいなし、そのまま森の中を疾走し始めるジョシュア。

先程よりも密度は減ったものの未だコチラを捕らえんと襲い来る縄を掻い潜り、時折飛んでくる『罰鳥』の突撃を適度に弾いていくが、その表情には少しばかり焦りが見え始めていた。

 

(ん、休む時間が無い。スタミナが切れそう)

 

未だ無傷を貫いてはいるものの反撃の隙が少なくジリ貧となっている現状、このままいけばスタミナ切れからの失速、そして拘束されて頭からガブリと食われる未来が見えてくる。

 

「ならまず一番厄介な存在から仕留めるッ!」

 

滑走から通常の走法に戻ると同時に再使用時間(リキャストタイム)が終わっていた《八艘跳び》を起動。

先程の罰鳥とのチェイスの時のように木の側面を跳んで渡り、追いかけて来る罰鳥と大鳥を突き放して目指すのは先程からずっと絶え間なく天秤を鳴らし続ける審判者の懐。

 

『ッ!!』

「《ベストステップ》ッ!」

 

バフ効果が乗る最後の跳躍時に足場の状況に関係なく完璧なジャンプを行える《ベストステップ》を重ね掛けし、回り込んだ『審判鳥』目掛けて跳ぶ。

そして右手に持った鋸を…

 

「《ドリル・ピアッサー》ッ!!」

 

標的の胴体目掛けて螺旋のエフェクトと共に突き立てた。

 

『あっグッ!?』

『『ジャッジッ!?』』

 

振り向こうとした所に丁度差し込まれたその刺突は天秤を鳴らす暇もなく突き刺さり、『審判鳥』は仰け反りながらたたらを踏む。

それを見た他の2羽から悲痛な声が上がるがジョシュアはそれを丸っと無視して次の行動を取った。

 

『ぐぅッ…こ、の、程度…!』

「《スカイウォーカー》ッ!」

『何ッ!?』

 

『審判鳥』が痛みに悶えながらも天秤を音を響かせながら傾けて新たに召喚した縄を()()()()()跳んで避ける。

着地狩りから逃れ少し離れた場所に降りたジョシュアは間を置かずに再び

 

『やらせるもんかッ』

『ッ、待て、パニ!』

 

すかさず仲間を守る為にフォローに入ろうとする『罰鳥』。

他の2羽よりもスピードがある自分ならば間に合う、これ以上仲間を傷付かせてたまるか、そんな考えの元トップスピードで突っ込んでいく『罰鳥』。

『審判鳥』の制止も聞かずに突貫していく軌道は間違いなく

 

「ん、来てくれると思ってた」

 

ニッコリ笑うジョシュアが急ブレーキを掛けた足を軸に振り返りながら鋸を横薙ぎに振っていなければの話なのだが。

 

『おぶっ!?』

「ホームランッ!」

『パニ!』

 

片手だとしても振り返りながら放った為かそのパワーは中々に強大になっており、突っ込んできた『罰鳥』をまるで野球のように打ち返す。

放物線を描く白い塊の着弾地点へ後から追いかけて来たであろう『大鳥』が滑り込んだ為に地面に打ち付けられての追加ダメージは期待出来ないが、それでもこの一撃は中々効いた筈だろう。

 

『……やはり、此処で仕留めなくては……』

 

ボソリと呟かれた言葉の内容は聞き取れなかったが、纏う雰囲気が切り替わったのを感じたジョシュアは静かにコチラを見据える鳥に問い掛けた。

 

「ん、まだやる?僕はまだ行けるけど」

『ほざくな怪物め。漸くこの機会に巡り会えたのだ、逃がす訳が無いだろう』

「………?」

 

落ち着いた少しばかり怒りを滲ませた『審判鳥』の言葉に引っかかる物を感じたが、それを口に出す前に向こうは更に言葉を紡ぐ

 

『それに……

 

お前は手を出す順番を間違えた』

 

「何を……ッ!」

 

『審判鳥』の一言に疑問を抱く前に、押し潰すような殺気を全身で感じバッと振り返る。

 

 

『 罰 を 』

 

 

そこに居たのは腹の模様の赤で全身が染め上がった『罰鳥』だった。

 

「ダメージがトリガーの形態変化!……ッ!?」

 

明らかに目覚めさせてはならない何かが動き出した気配を感じて反射的に仕留めんと動こうとしたジョシュアだったが、その瞬間に視線が強制的に『罰鳥』から外れる。

 

『………』

 

その視線の先が辿り着いたのは『大鳥』の持つランプであり、どうやら先程使われた洗脳能力の応用で視線誘導が行われたようで、身体の自由も若干ながら縛られていた。

 

「ッぅ!!」

 

即座に理解したジョシュアは目を閉じて精神力で無理矢理誘導を捻じ伏せてたたらを踏見ながらも体の主導権を奪い返す。

 

 

しかし、振り払うまでの時間は執行者が被告人の元へ辿り着くには十分なもので、

 

 

 

 

バギャッ

 

 

 

罪ある者へ罰を与える為に、赤く染まった小鳥の腹を裂いて巨大な嘴が口を開いた。




幻想体(怪物)から怪物と呼ばれる人間(?)がジョシュアくんです

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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