異世界にゲームの姿でTS転生したので、従者と旅して回ることにしました。   作:愛枝ハル

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第3話 TS転生

 それから検証を重ねてみた結果、空間の穴(面倒臭いのでインベントリと呼ぶことにする)からは料理アイテムや武器だけじゃなく、ポーションなどの消費アイテム、各種素材なども取り出すことが出来た。

 

 さらにインベントリに入っていなかったものでも収納できるのか試すために、その辺に転がっている石を入れてみたが、なんの抵抗もなくすんなり入れられた。もちろん、取り出しも可能だ。

 

 そして不思議なことに、インベントリに手をいれると中に何が入っているのかが手に取るようにわかるのだ。これはこの能力のおかげなのか、それとも俺の長年の経験から来るものなのか、いずれにせよ便利なことには変わりない。

 

 そこからわかったことだが、空間の穴(インベントリ)の中には俺がゲーム内でインベントリに入れていたアイテム群が丸々収められているようだった。

 これには安心した。この中には俺の数年分の血と涙の結晶が詰まっているんだ、無くなられたら小一時間は泣く自信があるぞ。

 

 

 インベントリの検証も終えたところで、食事をすることにした。

 リリーとアリアも今日はまだ何も食べていないようだし、俺も眠っていた3日間何も食べていないせいで腹が減っている。

 一度地べたに座り直してから、各自インベントリから料理アイテムを出して食事を始めた。

 

 

 食事を終えたところで、ずっと気になっていた疑問を二人に投げかけることにした。

 「それにしても…ずっと気になってたことがあるんだが」

 

 「なんでしょうか?」

 

 「お前たち…デカくなってないか?」

 

 「デカく…ですか?どこが?」

 アリアがピンと来ていないような顔で自分の身体を見回している。

 

 「どこってほら、身長とか明らかに伸びてるだろ」

 そうなのだ、アリアに無理矢理立ち上がらされた時から思っていたが、二人の身長が明らかに伸びている。二人の身長はそれぞれアリアが165cm、リリーがそれよりも少し低い155cmのはずだ。キャラクリする時に設定したので覚えている。

 俺の身長は確か170cmはあった、なのにも関わらず、二人の顔を見るときはこちらが見上げなければならない。

 二人の身長が伸びていないと、こんなことにはならないだろう。

 

 「私もアリアも身長は変わっていないと思いますが…」

 

 「え?いやだって本来俺のほうが身長が高いはずだろ?」

 

 「…?スズ様は()()()()その可愛らしい姿でしたが…」

 アリアが不思議そうに見つめてくる。

 

 

 いつでも可愛らしい…?……まさか!

 勢いよく立ち上がり、インベントリから鏡を取り出す。

 この少し大きめの手鏡は、ゲーム内で自分を映してスクリーンショットなどの記念撮影をする時に使うアイテムだ。

 鏡を見て、すぐに鏡の中にいる俺と目が合った。

 逆になんで今まで気づかなかったんだ、違和感はずっとあったはずなのに。

 やけに甲高い声、低い身長、インベントリから銃を取り出した時の毛の生えていない真っ白な手。

 そもそもリリーとアリアがひと目で俺を認識していたのもおかしいことだ。中年のおっさんを見てゲームキャラのスズだと思うはずがない。

 二人の身長が伸びたんじゃない…俺が縮んだんだ…。しかも、性別まで変わって…。

 

 「スズ様?大丈夫ですか?やはりまだお体の調子が…」

 鏡を見たまま固まっている俺を見て、アリアが心配そうな顔で見つめてくる。

 

 「あ、い、いや大丈夫だ。ただ…ちょっと一人にしてくれるか?」

 

 「本当に大丈夫なんですね?本当に?」

 余程心配なのか、アリアが念を押すように詰め寄ってくる。

 

 「大丈夫大丈夫!本当にちょっと一人にしてくれるだけでいいから!」

 俺がそう言うとアリアは渋々といった感じで、こちらをチラチラと見ながらリリーの元へ戻っていく。

 

 

 はぁ…、それにしてもとんでもないことになったな…。リリーとアリアが目の前に現れ、四次元ポケットに続いて今度は性転換と来たか…。

 

 「はぁー、ふぅー」

 一度深呼吸をして落ち着いてから、鏡を使って顔だけじゃなく全身を確認する。

 確かに、間違いなく俺がプレイしていたスズだ。黒髪のロングヘアに、軍服とセーラー服を合わせたような紺色の服…それも膝上のミニスカート。意識しだしたら急に足元が心許なくなってきたな…。

 

 そして身長はたしか…140cmだったか?キャラクリしたのが昔過ぎてあまり覚えてないが、それくらいだったはずだ。当時少女が銃を撃つアニメにハマってて、似たキャラクターを作ったんだった。

 そりゃあリリーやアリアが大きく見えるはずだよなぁ、自キャラが小さいから従者(サーヴァント)は比較的大きめにしようって、色々大きめに設定したんだった。

 

 見れば見るほどおっさんの時の俺とは違いすぎる、本当になんで今まで気が付かなかったんだ?俺ってそんな能天気な性格だったかな…。一人称視点で違和感が無かったから?いやいや、最新の没入型VRゲームじゃないんだぞ、俺がやってたのはごく普通のPCゲームだ。自分の身体に異常があればすぐにわかる。

 う~ん…、わからん!考えたところで何が変わるというわけでもないしな。

 

 それにしても…めちゃくちゃ可愛いくないか?俺。

 かなり時間をかけてキャラクリしたリリーとアリアには負けるが、これも相当なものだぞ。道ですれ違ったら絶対振り返る自信がある。

 そうか…もうおっさんだった元の俺はいないんだな。なんだか、ここまで来るといっそ諦めがつくな。

 

 最初は軽くパニックになったが、案外悪いものでもないのかもしれない。

 考えてみれば、若返ったことで体の調子も良くなったし、良いことずくめじゃないか?長年のデスクワークとネトゲで痛めた腰も何ともない。世の中には腰が元に戻るならいくらでも出すなんて人もいるだろう。

 まだ見てないアニメや漫画、映画が惜しい気持ちもあるが、なってしまったからにはしょうがないだろう。

 

 「よし、吹っ切れたぞ。正直ここがどこだか知らんが、なんとかなるだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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