楽園病棟   作:空嵐

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評価は割とどうでもいい(よくない)ですけど、感想とかで読者の方々の意見とか反応を見るのが楽しみなので感想ください(強欲で直球なヒトカス)。

高評価された時はめちゃ嬉しいけど、その反動なのか低評価を見るとうぐぅ……!!! って心にめちゃくちゃ精神的ダメージを受けるの、作者あるあるだと個人的に思ってます。
それを気にしなかったり、ポジティブに受け取れる他の作者様方のメンタル凄ぇ……ってなるまでがテンプレ。


プロローグ

 世界が戦火に包まれ百余年。

 

 人類は未だ、その残り火に蝕まれ続けていた。

 

 

 

 

■■

 

 

 

 

「……」

 

 

 空が、青い。

 休め休めと言われ続け、遂には病棟まで追い出されてしまった今日、この頃。

 植物棟の近くにて、俺は草の原に寝転がっている。

 

 

「……」

 

 

 己を振り返り、逡巡する。

 確かに最近は働き過ぎていたかも知れない   と。

 

 神様から貰った第二の生、もはや死ぬこと自体憂いはないが、過労死は遠慮したいものである。

 

 

「先生。こんな所で、何、してるの」

 

「……追い出された、休めってな。だから、空を見ていた」

 

 

 先生……そう、俺は彼女達の先生だ。

 やはり、休んでいる暇なんてない、なんて気がしてきた。

 

 

「だが、気が変わった。そろそろ病棟に戻るさ」

 

「ダメ」

 

「……」

 

「ダメ、だから。休めって、言われたなら。……休むことが、仕事」

 

 

 起き上がろうとする俺を、指一本。

 額に当てるだけで止められる。

 

 

「しかし、な」

 

「今日は、皆、体調が良さげ、だから。安心、して」

 

「……そうか」

 

 

 彼女が……ノイズが、そう言うのならそうなのだろうけれど。

 それでも、な。

 

 

「暇な時ほど、俺は働かないとなんだが」

 

「……」

 

 

 む、何か彼女の気に障ってしまったのだろうか。

 むすっとした顔で睨まれている。

 その目からは、呆れの感情を感じ取れる。

 

 

「先生は、病気です」

 

「俺がか」

 

「うん。働かない、と、不安に、なって、仕方ない。そんな、病気」

 

「そうかもな。……冗談だ、俺が悪かったよ」

 

 

 睨む瞳が、更に鋭くなってしまった。

 ほんとにそうかも、と思ったんだが……彼女的には、気に入らない返答だったらしい。

 ちなみに、そういう人種のことは、ワーカーホリック、と呼ばれたりする。

 

 

「ま、どちらにせよ戻るさ」

 

「……」

 

「そう睨まないでくれ。……患者に異常がなくても、見て回るのは医者の仕事だ」

 

「……やっぱり、病気」

 

「悪いな」

 

 

 しかしだ。

 俺のことを、病気である、と冗談めいて言える程に彼女がなっていることは、素直に嬉しい。

 

 

「何、笑ってる、の?」

 

「いや、な。……今の言動は、出会った頃のノイズには考えられない程不謹慎だと思ってな」

 

「……あの時は、色々、あった、ので」

 

「そうだな」

 

 

 本当に、色々あった一年だ。

 

『私、は、病気なんかじゃ、ない!』

 

 ……そう叫び、拒絶していたあの、最初の時と。

 

 

「?」

 

 

 こうして、体調を心配する程、俺に対して好意的に動いてくれている今現在。

 じっと見つめる俺を、不思議そうに見つめ返す彼女は、年相応の女の子だ。

 ……ああ、本当に。

 

 

「ままならない、世界だ」

 

「……」

 

「さて、俺は病棟に戻るが……ノイズ、君はどうする」

 

    一緒に、戻る。先生じゃ、あの子達を、抑える、のは、無理」

 

「助かるよ。……君達に甘くなっている自覚はあるんだが、どうにもな」

 

 

 ……一年で、大きく変わったのは、俺も同じなのだが。

 以前なら、ここまで彼女達にばかり甘くすることはないだろうから。

 

『医療系の特典が欲しい!』

 

 ……などと言って貰った特典を、どう活躍させるか、なんて邪な考えしか無かったわけだからな。

 前世で読み漁った、神様転生とその特典、いわゆるチート。

 死んだ歳が今よりも幼かった俺は、他とは違うことで活躍すること、を求めて医療系のこの才能を受け取った、ということになる。

 

 我ながら浅はかで、ナイスプレーだったと思っている。

 何せ、この力を持ってしても、彼女達の"病"を治すことに未だ成功していないのだから。

 それ以外の特典でこの世界に来ていたら……なんて、恐ろし過ぎて考えたくもない。

 

 

「そう、言えば」

 

「ん? 何かあったのか」

 

「フェアリィ、が、最近、先生が来ない、って」

 

「ああ……ああ、そうか。最近は病棟で働き詰めだったからな」

 

 

 いつもなら、一週間に一度は向かうことになる植物棟なのだが。

 

 ……ふむ、一ヶ月は向かってないな。

 

 

「先に、フェアリィの所に向かおうか」

 

「それが、良いと、思う」

 

 

 植物に関して、彼女には世話になり続けているし、生存報告と謝罪、そして素材の調達を兼ねるのが最適か。

 ……患者に頼り続ける医者とは、これ如何に。

 

 

 

 

■■

 

 

 

 

 戦争と兵器は、切っても切れない関係にある。

 

 どう頑張ったって、戦争と銘打っているのだから人を殺す。

 であれば、こちらの被害を少なく、相手側の被害を最大限にしたいと思うのが、歴史的に見た人々の思惑ということになる。

 

 被害の主な内容とは、やはり人、土地、物である。

 それ故に、それらを壊す為の兵器は、戦争という行いからは切り離せないのだ。

 

 例えば、核。

 これらは、まず真っ先に対策され初め、驚くべきことに人は核による二次的被害を克服するに至った。

 これは、前世が常識の物差しだった俺には、信じられない程の偉業なのだが、それを成した原動力は"敵を殺し味方を生かす"という血生臭い信念である。

 

 次に、ミサイルや銃などと、毒ガスなどの化学兵器。

 先述の核、主に原子爆弾などにも言えることだが、直接的な生物の破壊を完全に防ぐ方法はない。

 故に、これらは例外であると言える。

 

 ……そして、生物兵器、主にウイルスや細菌など。

 これが、現時点の人類において、戦争における最大最悪とされる過ちの原点である。

 これらの怖いところは、化学兵器程ではないにせよ、持ち合わせる直接的な生物破壊に加えて、()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 戦争当時、世界各国はこれを最適解として、ありとあらゆる方向性で開発、改悪がなされ、それぞれの敵国にばら撒き続けた。

 ……結果としてそれらは多くの人々を殺し続けることになる、が。

 それだけならば最悪なだけである。

 生物兵器が最大最悪の過ちなどと言われ始めたのは、その後に起きたイレギュラーが理由となる。

 

 

 停戦され、世界に平和が戻り始めたとある日のこと。

 なんの脈絡もなく人が発火した。

 また別の国では、突然健康的な成人男性の身体が腐り始めた。

 そのまた別の国では……と、いった感じで。

 それまでの自然現象、病気と言った人々にはどうしようもない現象では説明のできない理不尽が、人々を襲い始めた。

 

 それらの原因となった……とされているのは、戦争時に開発された生物兵器が、他のものと混ざり合い、異常な変異を起こしたからだ、というものだ。

 ……それ以外に、説明ができなかっただけだと言われれば、否定はできないが。

 だとしても、それらが騒がれたのも最初の数十年であり、段々と仕方のないものとして扱われることになるのだが。

 

 その超常的な病気は、瞬く間に世間に浸透することとなる。

 最も、世間には病気ではなく異能力やら魔法などと呼ぶ人の方が多いみたいだが。

 

 その病気は、便宜上一つの病気とされてはいるが、その実態は個々人によって全く別の病気であり。

 故に個人差も凄まじく……現時点において根本的な治療法はない。

 そしてその中でも特に"重症"とされる……私生活や、周りへの被害が甚大であると判断された、人間。

 そして、それらは普通の病院、病棟では対処できない。

 

 ……ここは、そんな患者達の為に作られた最後の時を過ごす場所。

 治療という名目ではあるものの、その実情では見捨てられ、それなのに病状が改善しない限り死ぬまでここから出さぬことを義務付けられた監獄。

 そのことを知る人は、人権的な問題があるとしてほとんどいない……が、その場所を知る人は、彼女達にとっての監獄(エデン)であるとしてこう呼んだ。

 

 

    楽園病棟、と。




 転生したての頃の主人公
俺TUEEEEしたいけど、他の無双系みたいにただ強いとかはなんかやだな……せや! 医療の天才になって無双したろ!

 どうしようもない現実を見せられた主人公
うっそだろ……? こうなったら名誉とかもうどうでもいいから彼女達救うことに専念するで(覚悟完了)。

ってな感じですな。
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