後々いっぱい出て来るよぉ!
まずは前菜でも食ってみろ、トぶぞ。
◇前線基地・工房
「ごめんなさい・・・」
「たしか、前もこんな感じだったなぁ。」
工房にてグードゥに謝るミツレ。
今回は、トリニティにてシールドを壊していた。
しかし、ミレニアムの時と違い壊れたシールドは原形が分からないほど破壊されていた。
「しかし、こんなに破壊されると・・・自信なくすなぁ~。」
「・・ごめんなさい・・・」
「あぁ、気にしないでくれ。ミツレが無事ならいいさ。ただ、こんなに破壊する人が次々出てくると強度見直しが必要かなって思ってな。」
実際、あの盾を破壊したのはどちらもキヴォトスにおける強者である。そもそも、誰も想定してない相手なのだ。
ミツレがいつも通り並べられた盾を見ていると・・・
「これは・・・」
「ああ、それはだな・・・その~・・遊びで作ったやつだ!」
ミツレが手に取ったものはいくつかの板を重ねてL字型にした2つのシールドだった。
さらにはL字の低辺部分には鋭い三本のスパイクが付いている。
「スパイクシールド!俺はそう呼んでいる。ボクサーが腕を使って攻撃を防ぐだろう?それを盾でもできるようにしたんだ。肩に背負うこともできる。これで相手を殴れば一発で”KO”だ!」
「察しの通りそれも卿にダメ出し食らったんだ・・・コンセプトは悪くないと思うんだがな~。」
ミツレは早速両手に持ってみる。しかし、慣れない両腕の重みにうまく使うことができない。
「あ~、やっぱり使いづらいか・・・今まで格闘戦なんてやったことないだろう?だから卿も没にしたんだろうなぁ。ギャリケーのおっちゃんに教えてもらったらどうだ・・・キビシーだろうがな。」
「行ってくる!」
ミツレは早速盾を持って工房を飛び出した。
その表情はどこかウキウキしていた。
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◇アビドス自治区
アビドス砂漠、そこに集まる不良やヘルメット団を追い払う任務を受けたミツレは、単騎で突入し、次々と敵を倒していた。
「ラスト!」
ショットガンによる射撃によって最後の敵を倒す。
周りには倒れたヘルメット団が山のように積まれていた。
「これでおしまい・・・早く先生来ないかな。」
先生が遅れるため、一足先に到着し戦闘をしていたミツレは武器をリロードして先生を待つことにした。
しかし、そこに誰かが入ってくる。
「いやぁ~、ヘルメット団がいるって聞いて早めに追い払おうと思って来てみたらもう終わっちゃってるなんてびっくりだよねぇ・・・」
アホ毛が特徴的な桃色の長い髪、眠そうな表情、小さな体躯に合わないような大きな折り畳み式の盾、そして首元にある白い紋章のようなネックレス・・・アビドスの最高戦力かつキヴォトスの知られざる最強格の一人。小鳥遊ホシノがそこにいた。
「何か知らないかなぁ、お嬢ちゃん。」
いつもはのほほんとしている彼女だが、今は切れたナイフのような感じがする。
「そのコート・・・あいつと、ボンドルドと同じだよね。ここで何をしているのかな?」
「お父さんがどうかしたの?」
「こんな小さな子まで使うなんて・・・悪いけど少しの間おとなしくしてもらうよ・・・」
ホシノが近づいてくる。ミツレは危険を感じ、武器を構える。
「やっぱりあいつらの差し金か・・・悪いけど手加減できないよ。」
銃声と共に両者の銃から散弾が飛び出す。
ホシノは盾を展開して弾を防ぎ、ミツレはコートで受け止めた。
「うへぇ、そのコートやっぱりカチカチじゃん。めんどくさいなぁ~」
ホシノは急接近し盾を振り下ろす。しかしミツレも盾を構え受け止める。
ミツレはホシノを盾ごと突き飛ばし、シールドを収納する。
接近しながらショットガンで牽制、パイルバンカーを構え思いっきり突き出す。
しかしホシノは危なげ無く盾で防ぎ、ガラ空きの腹部めがけて蹴りを入れる。
「・・・かはっ!・・・」
「終わりだよ・・・」
「・・・まだっ!・・・」
ミツレは体制を立て直し、両手にシールドを持ってボクサーのような構えをとる。
どんな攻撃にも対応するための不動の構えだ。
ギャリケーに教わったことはまだ完全に生かせないが、それでもかなりの成長である。
しかし、戦闘経験はホシノが圧倒的に勝っていた。
最初こそ防げていた攻撃は徐々に防御を抜けていきミツレの小さな体を傷つける。
最後には盾をはじかれ、地面に倒れる。
「・・・・ぁ・・・うぅ・・・」
ついにミツレのヘイローは消えて気絶したことが分かった。
ホシノが倒れたミツレに近づき拘束しようとした時・・・
「素晴らしい・・・」
「っ!・・・」
背後から声が聞こえ、ホシノは反射的に距離をとる。
「少々やりたいことがありましてね・・・少しこの子を連れていきますよ。」
「待て!・・・お前の目的はなんだ・・・」
「・・・?ミツレの回収だけですよ。もう少し抵抗すると思いましたが・・・まぁ手間が省けていいでしょう。それでは私はこれで。」
ボンドルドはミツレと呼ばれる少女を抱えて行ってしまった。
ホシノからすれば不審者が不審者を連れて行っただけであるが。
「さぁ、みんなのところに戻らないとねぇ~」
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◇対策委員会・教室
私は対策委員会の会議に途中から参加した。
先生も後輩たちもみんな揃っていた。
「やぁ~遅れちゃってごめんねえ。」
「ホシノ先輩・・・これで連続3回ですよ。もっとしっかりしてください!」
「ごめんよアヤネちゃん・・・不審者を追い払ってたんだよぉ・・・」
”不審者?”
「うん、そ~なんだよ。黒いコートを着た女の子がいたんだよねぇ~」
「その子はお父さんと帰っていったけどね・・・」
私が話を進めるごとに先生の顔色がどんどん悪くなる。
「先生?どうかされましたか?」
私はそこでようやく自分が何をしたかを理解した。
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先生から聞いた話はとても悲惨だった。あの少女・・・ミツレちゃんが今までどんなひどい目にあってきたのか、そして最近ようやく笑顔が増えたことを聞かされた。
私はあの時起こったことを包み隠さず話した。ゲマトリアのことも。
ボンドルドが来てミツレちゃんを連れて行ったと分かった時の先生の絶望した顔はしばらく忘れることはないだろう。
それにゲマトリアはまずい。黒服もあいつも人に対してどんなことをするかわかったものではない。
先生は、いろんな学校に協力を要請した。そしてそのほとんどの学校が積極的に参加してくれた。
私は、心当たりのある場所をしらみつぶしに探し、黒服との連絡を試みたがどれもダメだった。
私はまた間違えてしまった。本来守るはずの子供すら警戒して攻撃を加えた。
大好きな人の大切な人を攻撃し敵に渡してしまった。
しかし先生は私を責めなかった。それが逆に苦しかった。
もっと話を聞いていたら、もっと確認をしていれば、もっと優しかったら・・・
しかし今は後悔をしている暇ではない。一刻も早くミツレちゃんを探さなければ・・・
はい今回はここまでです。
ちなみに調印式より前の時系列の生徒はほとんどが捜索に参加しています。
ボ卿、見つかったら細切れ不可避です。
(|)たまたま見つけた怪我した娘を連れ帰っただけでこんなにヘイトを向けられるってマ?
また次回をお楽しみに・・・
おまけ
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ミツレを連れ帰ってからしばらくして・・・
◇????
「旦那!大丈夫ですか?」
「ええ、まさかミツレの浸食があそこまで進んでいたとは思いませんでした。」
「ここの施設も8割が吹き飛びました。ほかの基地に移動しましょう。」
「そうですね・・・まさかここで暴走するとは思いませんでした。やはり難しいですね。」
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ーミツレのラジカセー
かなり使い込まれたラジカセ。それは少女が様々な人との音声記録を残している一種の思い出である。今まで暗かった彼女の人生を少しでも良い方向に持っていくには欠かせないものなのだ。