◇古聖堂・地下
「お父さん?・・・お父さん‼」
「ええ、私ですよ。ミツレ。」
”何が・・・いや、どうなっている?”
倒したはずのボンドルドが目の前に立っている。そして何食わぬ様子で抱き着く娘の頭を撫でていた。
”・・・どうやら、存在自体が特殊なようだね。”
「ゲマトリアは全員が特殊な存在ですよ。」
”お前の場合は肉体に依存しない存在のようだね。それとも部下全員に細工をしているのかな?”
「おや、少ない情報でそこまで分かるとは・・・素晴らしいですね。」
”私一人の力じゃないけどね。”
先生は手元の端末の表面を優しく撫でると、もう一度【大人のカード】を構える。
しかし、それを見たボンドルドはミツレを抱えると首の後ろを軽く叩いて気絶させ、先生に背を向け歩き始めた。
”待って、ミツレをどうするつもり?”
ボンドルドは先生の質問に歩みを止め振り返る。
「どう・・・とは?」
”これだよ。”
先生の手にはいつの間にか一つの箱の様な物があった。
箱に空いた穴からは赤黒くで生臭い液体が滴り落ちていた。
”私にはこれをどう使う物か分からないけど・・・確実に分かることが一つだけある。”
「お聞きしても?」
”これは・・・神秘を扱う為のものだよね?”
「素晴らしい。まさかそこまで分かるとは、もしかしたらあなたもこちら側・・・いえ、違いますね。大方、解析に特化したオーパーツでもお持ちなのでしょう?」
ボンドルドは転がっている他の箱・・・カードリッジを眺め、嬉しそうに話す。
「エーリ、キリコ、サキエ、ノルマ、ケリー・・・みんな、とても良い子だったんですよ。」
”お前・・・まさか!”
「ええ、あなたなら察しがついてると思いますが。そのカードリッジの原料は
人間ですよ。」
”・・・やっぱりだね。”
「おや、意外と冷静なのですね。今のを聞いた貴方は、怒り狂うものとばかり思ってましたので。」
”私も驚いてるよ・・・”
「まぁ、どちらにせよ私はここいらで失礼させていただきます。」
”待て、ミツレを置いて行け。今のお前は信用できない。”
「・・・あまり、関係ないことに介入するものではありませんよ。」
”その子は私の生徒だ。危害を加えるのなら親でも容赦はしない。”
「なるほど・・・ですが、あなたには何もできませんよ。」
”なぜそう言える。”
「あなたはその力を使いすぎました。そのうえこの子が近くにいてはまともに攻撃もできませんよね。それに・・・」
ボンドルドが先生に腕を向ける。
腕の機械から数本の針が飛ばされる。そのうちの2本は外れ、1本が先生の腹部に刺さる。
”ぐうっ!”
「ほら、もうあなた戦える力は残されてません。」
先生の手から滑り落ちた端末にはバッテリーが赤く表示されている。
おそらく連戦によるエネルギー不足である。
「あぁご安心ください、それはただの麻酔針ですから。あなたには【呪い】は強すぎますからね。」
倒れる先生を置いて、ボンドルドはまた歩き始める。
先生は薄れゆく意識の中で、それを見ている事しかできなかった。
最後まで伸ばし続けた手は虚しく空を切り、その場には先生だけが残された。
今回はここまでです。
あかん、話の流れがめちゃめちゃになってきた。
言い訳すると最近、忙しくてね。
そろそろ番外編でレグ君やオーゼン先生を書きたいと思ってる。
それではまた次回・・・