白笛転生fromアビス   作:実力と発想が見合わない人

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くるしい・・・くるしい・・・
Q;なんでこんなの書いてんだろ・・・ははは。
A;楽しいからだよぉ!

活動報告のところにリクエスト欄、作りました。


番外編;純シャーレのミツレちゃん・「救い無し」後日談

◇シャーレ執務室

 

 

ミツレがいなくなってから数週間、それでも世界は動いていた。

近いうちにはエデン条約の調印式もある。それ以外にもシャーレには次々と仕事がやってくるのだ。

 

 

”・・・少し休憩しようかな。”

 

 

コン、コン・・・

 

 

”どうぞ―”

 

 

突然の来訪者、少し驚いたがすぐに迎える。

しかし、姿を現したのは意外な人物だった。

 

 

「こんにちは、先生。いや・・・初めまして、ですね。」

 

 

黒いコート、黒い仮面、黒い尻尾、全身を黒で覆われ肌を少しも見せないような服装。

 

 

「私はボンドルド、ゲマトリアの一人。黎明卿と人は呼びます。」

 

 

丁寧なしゃべり方だが機械的な音声も加わって怪しさや人間味の無さを感じさせる。

私の苦手とするゲマトリアだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

”それで、あなたの目的は?”

 

 

「おや、黒服から聞いた限りでは門前払いだと思ってましたが・・・」

 

 

あいつはどんな話をしたんだ。まだ、こいつがどんな事をしているかも分からない状態でいきなり敵対はしない・・・少し警戒はするが。

どちらにしても、碌な事をして無いだろう。ゲマトリアに入るのが証拠だ。

 

 

「そうですね・・・シャーレの先生に挨拶に来ただけです。」

 

「これから良い関係を築けるように自己紹介なんてどうでしょう?」

 

 

先ほど自己紹介をした奴が提案することではない。

まぁ、こいつから情報を吐いてくれるのはうれしいが・・・

それからは、ボンドルドの研究についての話が続いた。私には専門用語が多く内容は少ししか理解できなかった。ほとんどが医療や武器開発に関することだったが奴が話す次の内容に驚くことになる。

 

 

「~と言うわけで私の研究が進んできました。しかし、私は思ったのです。この生徒達の持つ神秘・・・これを我々のような大人も保有できればどうなるのかと。」

 

 

神秘の保有、ミツレがされた実験と同じような内容だった。私は懐から【光輝く大人のカード】を取り出す。それを見たボンドルドの様子が一変する。

 

 

「なんと・・・先生、それはどのようにして手に入れたのですか?」

 

 

"私にもわからない。ただ、これはとある生徒が残した思いだ。"

 

 

「素晴らしい・・・やはり人の思いが、愛がこのような結果を残すのですね。」

 

 

"そんなことよりも、あなたの研究でこんな子に覚えはない?神秘を無理やり閉じ込めるとか・・・"

 

 

先生の出した写真には可愛らしい少女・・・ミツレが写っていた。しかし、ボンドルドは首をひねっていた。

 

 

「いえ、私の研究では見てませんね。私の研究は我々大人の神秘の保有です、子供は対象外です。」

 

 

こいつの言うことが本当なら関係はないだろう、しかし警戒は続ける。

 

 

「えぇ、大人が対象ですので神秘が馴染まずすぐに霧散してしまうのです。私はこれを解決するために・・・」

 

 

 

 

 

 

「神秘を馴染ませる方法を確立したのです。」

 

 

 

 

・・・・は?

こいつは今なにを言った。神秘を馴染ませる?それならもしかしたらミツレが助かったかもしれない?

 

 

"・・・ッ!その方法はいつわかったの?"

 

 

信じたくない、もしかしたら助かったなんて知ったら耐えられない。

 

「そうですね、具体的には・・・」

 

 

 

 

 

「数ヵ月前にはほとんど完成しましたね。」

 

 

”・・・うそ・・・”

 

 

それを聞いたとき、私は膝から崩れ落ちた。

もし、あの時黒服の提案を受けていたら、話だけでも聞いていたら、後悔してもしきれない。

私は、私自身であの子の生存の可能性を潰してしまった。

そもそも私達ではほとんど手詰まりだったのだ、少しでも可能性のあるほうに賭けるべきではなかったのか?私はまた間違えてしまったのか?

 

 

「どうされましたか、先生?」

 

 

ボンドルドがこちらを気遣うように話しかけてくるが今の私には聞こえなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

◇ゲヘナ風紀委員会・委員長室

 

 

ゲヘナ風紀委員会、そこでは委員長である空崎ヒナが延々と働いていた。

 

 

「ヒナ委員長・・・その、少しお休みなられたらどうでしょうか?ここしばらく働きづめですし・・・」

 

 

「ごめんなさい、アコ。今は仕事をしていないと気が狂いそうなの・・・」

 

「寝るとあの時の光景が何回も夢に出てくるの・・・いつも間に合わなくて、目の前で冷たくなっていくの・・・」

 

「でも、仕事をしている間は寝なくて済むでしょう?だから休みたくないの。」

 

 

あの時から・・・ミツレの死から空崎ヒナは寝れなくなった。正確には寝ても休むことが出来なくなった。

夢の中で彼女が死んでいく様を何度も見せられる。そのうえもう一人の自分が責め立ててくる。「なぜ助けなかった」「どうして防げなかった」と、何がキヴォトスの最強格だ。何が風紀委員長だ。少女一人も救えない奴に何が守れるというのだ。あの時もう少し早く動いていたら、もっと速く動けたら。しかし、考えれば考えるほどあの時の事がより鮮明に脳裏に蘇る。

 

 

「・・・ッ!・・うっ・・・おえぇ・・・」

 

 

「ヒナ委員長!」

 

 

アコが駆け寄ってくる。しかし私の視界は徐々に暗くなっていった。

 

 

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◇ゲヘナ救急医学部・医務室

 

 

「極度の過労と心労ですね。しばらくの間安静にするべきです。」

 

 

”そっか、しばらくヒナをよろしくね、セナ。”

 

 

「はい、これ以上・・・もう死体を見たくありませんので・・・」

 

 

ミツレのことを思い出したのか、セナの手は少し震えていた。

無理もない、彼女たちはまだ子供なのだ。特に死という概念が程遠いキヴォトスでは尚更だ。

 

 

「あ、あの時・・・あの子の体が・・・だんだん冷たくなって。それで・・・それで!」

 

 

”セナ・・・ごめんね辛いことを思い出させて・・・”

 

 

私はセナを抱きしめながら自身の無力さと弱さを呪うことしか出来なかった。

・・・エデン条約、ボンドルドが言っていたが大きな事件が起こるらしい。

生徒を犠牲にして生き延びる先生がどこにいる。もうこれ以上の犠牲を出さないためにも、生徒たちの明るい未来のためにも。今度こそは絶対に選択を間違えてはいけない。

生徒を見捨てることはしない・・・たとえ自分の命に代えてでも。




はい、番外編はここまでとなります。
もしかしたら続編だのが出るかもしれません。
救いありルートは気が向いたら書きます。ボ卿が出てきておしまいになるからあんまりおもしろくないのよね。後遺症アリにして曇らすか・・・
次回、ようやくエデン条約本番です!お楽しみに!
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