東方宿儺譚    作:雅之幻想

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遅くなりました。楽しみにしていた方々には申し訳が立ちません。


12.可能性

私は天元に仕える気などサラサラない。

私の真の目標は、何が起こるか分からない事を実現すること。

面白いと思ったことが本当に面白いかは実現するまで分からない。

自分が想像もしなかった術式の使い方をする者に出会う。

私から生まれるものは、私の可能性の域を出ない。

私が見たいのは、私の手から離れたモノの可能性。

”非術師” ”術師” ”呪霊” これらは全て可能性だ。そこに”陰陽師”と”妖怪”を加えてもいい。

だがその”可能性”が高ければ高いほど、早めに叩かれるのも事実。

前に出会った僧侶も、彼女の思いと人間達の期待とのギャップが生んだ悲劇が原因で、

魔界に封じられてしまった。

だからこそ、私の手からは離れるが、目は届く範囲にいて欲しい。

そんな逸材を、任務遂行をついでにして探していた。

そしてようやく見つけた。行く気もなかった山奥で。

__だがその逸材は、神と名乗った。

 

                      

 

「穢神...そんな神は聞いたことがないね。」

 

「まあ無理もない。つい最近まで封じられていたからな。」

 

「本当に神なのかも信じてないんだけどね。」

 

 

と口では言ったものの、実際のところはかなり興味がある。

穢れとは人に寿命をもたらすモノ、と言い伝えられている。

だがその発生システムは曖昧で、詳しいことは殆ど分かっていない。

呪術師は長生きする者が多い。かつての術師達は軒並み還暦まで生きていた。

無論呪霊に殺された術師も少なくはないが、そもそも呪霊の母数が少ないため、呪術師は寿命で死ぬことが多かったのだ。

では何故、呪術師は寿命が長いのか。

穢れの神なら、分かるのだろう。

 

 

「私は、穢れというのは負の感情をより洗練させた結果出来るものだと考えている。」

 

「ほう」

「君の呪力が()()のも、そのためじゃないのかい?」

 

「仮に呪力がお前の言うように負の感情からできるものであれば、俺の使う穢れを呪力として認識している結果、俺の呪力が濃く見えるのだろう。」

 

 

当たった。半分は。

穢れを呪力として認識しているのは予想外だったが、穢れの仕組みは当たった。

 

 

「穢れであれば呪霊も祓えるだろう。力が大きくなっただけで、本質は変わっていないからな。」

 

「では改めて、私達に力を貸して欲しい。」

 

「良いだろう、どうせ時間はたっぷりとある。」

 

 

宿儺を敵に回すのは悪手。できれば対等な関係を続けていきたいが、仮に下に就くことになったとしても裏切る様な真似はしない。自分の術式を使えば、長い長い付き合いになりそうだ。

 

 

「そういえば名乗っていなかったね。私は羂索という者だ。よろしくね。」

 

「ああ。」

 

 

こうして、千年をかけた羂索の計画の、最初の一歩が踏み出されたのだった。




魔界に封印された僧侶...察しの良い方なら()()の正体、わかりますよね。
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