「
まあどっちにしろ当て字ですが。
ゆく宛もない。
だが行く先に、何かある。
気ままに行こう。
「__と、そうできれば良かったんだがな。」
こっちには約束がある。
あの羂索という、頭に縫い目のある呪術師との約束が。
「そういえば、蓬莱の薬を置いてきてしまったな。」
荷物は羂索が回収しているだろうが、蓬莱の薬を飲みはしないかが心配だ。
あの程度の量だ。不老不死になることはないだろうが...
「一度くらいは
それにしても、能力を封じる縛りを成立させるのに時間がかかってしまった。
「羂索を追って京都に行ければ良かったんだがな。」
神霊は人には見えない。力が大きければ神霊でも人に認識することができるほど個を保つ事ができる。が、力の大半を封じてしまった手前、それはできない。
「西に行っていれば、いつかは着くか。」
羂索曰く、京都は実に豪勢らしい。
山だらけの景色ばかり見ていたから、豪勢の基準が曖昧になっているかもしれないが__
「なるほど、たしかにあれは豪勢だ。」
無事に宿儺は京都に着いた。
「さて、依代を探すか。それ相応の身分はあって損がないからな。位の高い者の子が良いが...」
まあそう簡単に見つかるわけがないとは思っている。
「お、丁度いいのが居るな。妊娠は...8ヶ月頃か。肉体がだいぶ完成した頃だろう」
屋敷も広い。高い身分なんだろう。ぴったりだ。
「然らば。」
そうして、腹の中の子に憑いた宿儺。
手始めに、眼前の生を喰らう事にした。
ある女が、子供を身籠っていた。高貴な女だった。初めての子供であった。
「奥方様!頑張って下さい!」
しかし、女は双子を孕んでしまった。その頃双子は忌み子として扱われていた。
「うーっ!うーっ!」
女はそれに気付いた。しかし、初めての我が子を殺そうとは微塵も思わなかった。
「もっと力を入れて下さい!」
故に女は、医者にも相談しなかったし、周囲にも知らせなかった。
「足が出てきましたよ!」
そして遂に、この時が来た。双子だということがバレてしまう。
「うーっ!ううーっ!」
それでも我が子だ。目一杯愛そう。そう思っていた。
「奥方様!生まれ・・・まし・・・た・・・よ・・・」
双子とは比べ物にならないほどの忌み子が生まれるなど、全く思ってもいなかったが。
「ひっ」
その赤子には、目が4つあった。しかしそれは些細な違いだ。驚かない。
__4本の腕と、腹の口がなければ、驚けただろうか。
東方要素がないのがまだ続きます。もうしばらくお付き合い下さい。