東方宿儺譚    作:雅之幻想

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特別回なので、字数多めでお送りしています。


Phantasm
境界の表.結界


事前に詠唱を済まし、封印の準備を整え、離れた宿儺の足元にスキマを作り、封印に臨んだにも関わらず、宿儺を封じるには足りなかった。宿儺の内にある力の強大さを理解し、殺すことが困難だと確信した八雲紫は、自分が宿儺を封じることを決意した。

宿儺の魂を20に分割し、それを指に封じ込める。

神武解や飛天等の主要武器を失っている以上、アドバンテージは此方にある。

 

 

「厄介な壁だな、俺の解が通らんとは!」

 

「あまりダメージは受けたくないもの。」

 

「反撃はせんのか?貴様のその壁も、直に破ってやろう!」

 

「私はあくまで持久戦が目的よ。貴方の体力が削れるまでの。」

 

 

と、猛スピードで宿儺に突撃してくる影が見えた。

その正体は__

 

 

「紫様!遅れて申し訳御座いません!結界を張るのに手こずりました!」

 

「あら。遅れるなんて悪い子ね。お仕置きが必要かしら?」

 

「ひい!それだけはご勘弁を!」

 

「九尾の狐か?」

 

 

八雲紫の式神、八雲藍だった。

 

何故妖怪が高位の妖獣を従えているのか。それ自体は簡単だ。

彼女が強いからに他ならない。だがよりにもよって、妖獣中でも最高位と言われている

 

 

「九尾の狐を従えるとはな!全く面白い!」

 

「藍、貴方はその宿儺と取っ組み合いしててもらえる?霊子が援護するわ。」

 

「ちょっと!私まだ回復しきってない!」

 

「貴方は腕を一本でも抑えててくれればいいから、お願いね。」

 

「...ああもう分かったわよ!」

 

 

そう言って放たれたのは大量の御札。

動きを制限する術式でも組まれているのか、当たると動きが少し鈍る。

が、当たらなければどうということはない。

 

 

「密度はないな。それに、」

 

 

下の両手を合わせ、呪力を込める。だがそれを九尾の狐が妨害する。手印を解かれた。

 

 

「やらせん!」

 

 

流石は最高位の妖獣。肉弾戦もそれなりにやれる。

先に狐のほうの動きを見ていなければならない。

 

 

「解」

 

 

解を放つが、防がれる。この壁の絡繰も解かなければ埒が明かない。

まずは思いつく対処法を試していくのが良いだろう。

 

 

「ふん!」

 

「領域展延」

 

 

狐の蹴りが炸裂する。それを受け流し、二本の腕で殴りを入れる。またしても壁に阻まれた。 が、手応えがあった。術式自体はそう複雑ではなさそうだ。

 

 

「頑丈な壁といった感じか。展延の出力を上げれば貫通できそうだな。」

 

「私を忘れるな!」

 

 

先程から続く札の攻撃も、密度が更に薄くなっている。

無尽蔵に札がある、というわけではなさそうだ。

 

 

「これだけ広く攻撃されては、忘れたくても目に付くぞ。目障りだ。」

 

 

チラと目をやると、この札は狐にも当たっていた。

自分だけ効くか、妖怪には効かないのだろうか。

 

 

「自滅の芽は潰れたか。まあ良い、狐を先に倒すとしよう。」

 

「やれるものならやってみろ!」

 

 

今考えられる最適解は、結界を突破し打撃を入れる。そしてひるんだところに解を打ち込み、息の根を止めることだ。展延からの切り替えに不安要素が残るが、最悪ひるませられればそれで良い。

と考えた途端、足が動かなくなった。

 

 

「なっ!?」

 

 

巫女がばら撒いた札が光り、足を縛っていた。

 

 

「霊子を舐めすぎたわね。あの子は天才なの。」

 

「紫・・・!」

 

「はあっ!」

 

 

藍の渾身の一撃が、宿儺の腹を捉えた。だがこの程度では倒れもしない。

反転術式で治せばなんてことはない。が、

 

 

「させないわよ!」

 

 

霊子が御札で宿儺の動きを更に制限する。

そして__

 

 

「夢符『二重結界』!」

 

 

領域展開だろうか。

必中効果はないが、別の効果が付与されている様だ。

こういうのは決まって、面倒な効果がかけられている。

 

 

「はっ!」

 

 

その間も藍は宿儺へと攻撃を続ける。

この術の絡繰が分からない以上、肉弾戦に切り替えるべきだ。

 

 

「領域展延」

 

 

紫の前で術式を焼き切るのはリスキーだと考えた宿儺は、領域展延で足下の術を中和しつつの藍との肉弾戦を選択した。だが、

 

 

「こっちだ!」

 

「チッ。」

 

 

結界に対応しきれていない宿儺は、巧みに結界を使う藍の動きについていけない。

 

結界による壁も厄介だ。

最早出し惜しみをしている場合ではない。

ここで紫諸共殺しにかかるのがベスト。

 

 

「領域展開 伏魔御厨子」

 

 

最恐の厨房を、開く時だ。




これはあの子への試験でもあるの。天才は実践で真に覚醒するのよ。
今回は十分やってくれたから、そろそろ私も動かないと。
あの領域は私じゃないと多分対処できないでしょうから。
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