「俺に肉体を奪われ、姉を殺し、差し伸べられた手すら拒んだお前が。
...そうだ、お前が助けた小僧は大勢人を殺したな。」
「諦めろ。お前はもう真っ当になど生きていけない。俺に任せて大人しくしていれば良いんだ。」
「安心したよ。オマエでも死ぬのは怖いんだな。」
「あ"あ"っ」
「俺はお前だ。」
「ナメるなよ。俺は、呪いだぞ・・・!」
21.幻想入り
「あら」
「チッ」
「随分惨めな最後だったじゃない。命乞いなんかしちゃって。」
「ふざけるな。不快な者に情をかけられるのがどれだけ辛いか、お前には想像できまい。」
「あら、私はあるわよ。でも貴方と違って、大切なものがあったから、仕方無さが勝ったわ。」
「フン。あれは命乞いではない。伏黒恵の術式は、俺の術式と酷似していたからな。新たな可能性を試すには丁度いい実験体だったのだ。術式と俺への耐性。そのどちらも備えている者など、今後1000年かけても見つからん。」
「言い訳?」
「希少な機会を逃すのが単に惜しかっただけだ。」
事実だ。宿儺は死への恐怖など微塵も感じていなかった。自身の本体は月にあるため、肉体が滅んだとしても存在までは滅びない。伏黒に命乞い紛いのことを言ったのは本当に、超貴重な実験体を逃すのが惜しかっただけである。
「ふーん。ま、良いわ。そんな貴方に招待状をあげる。」
「招待状?」
「貴方は条件を満たしたの。だから、幻想郷への招待状をあげる。」
「何処だそこは。」
「簡単に言うと、忘れ去られた者が行き着く所よ。」
「俺は忘れられたのか。」
「貴方の本来の姿を覚えてる人が完全にいなくなってしまったのでしょう。」
神の時の姿は羂索にしか見せていない。羂索が死んで、本来の姿を覚えている者がいなくなった。その上で自分が死んだことで、幻想郷への切符を掴んだということだろう。
「じゃ、そういう訳で連れて行くわね。」
「待て、俺を連れて行く理由は何だ。」
「それは後で話すから、とりあえず
「おい、一体どういう__」
と、問う前に宿儺はスキマに落とされた。
「あの女・・・」
なんの説明もなしに人を中空に放り出すとはどういう神経をしているのだろうか。
落下しながら、宿儺はそう思っていた。
暗い。ただ、底に赤い灯りが見える。
「ひとまず、底に着いてみるか。」
落ちた先に何かある。宿儺は直感でそう判断した。
気になるのは、最後に言われた言葉。
『頑張ってね』
脱出か、戦闘か、どちらでもないか。
「そろそろ判る。」
落下の勢いを相殺し、宿儺は地底へ降り立った。
地面は気色悪い感触で、足の裏に纏わりつく。
茶色のようなオレンジ色の空間が広がっている。
「血の池地獄か?ここは。」
血の池地獄にしては沈まない。
「ここは”旧”血の池地獄だ。」
「ん?」
背後から声がした。
振り向いた瞬間、刺突が宿儺を襲った。
先刻から居ることは気づいていたが、思考の整理がついてから話しかけようと思っていた。故にあちらから、言葉と暴力で話しかけられるとは思ってもいなかった。
予想外の不意打ち。予想できる不意打ちは不意打ちとして機能するのだろうか。
そんなことを思いながら、刺突を受け流した。少し掠ったが、瞬きする間に反転術式で再生した。
「顔を合わせる前に攻撃とはな。」
幼い少女の姿だ。水色の衣を纏い、頭に角が生えている。
歯はギザギザで、手入れが大変そうだ。ギザ歯というやつだろうか。
「今までいろんな奴が此処に落ちてきたが、お前が一番強そうだったからな。」
「今まで?」
「お前もこの石油の調査に来たのだろう?」
「石油...成程これが。」
伏黒恵の記憶から石油の存在は知っていたが、実物は見たことがなかった。中々臭いがきつい。
「俺は石油の調査に来たわけではない。」
「ならば何をしに来たのだ。」
「紫という奴に落とされただけだ。」
「紫?八雲紫のことか。」
「苗字は知らん。」
「クックック。成程。ならやはり、お前もこの石油を狙って来たのだろう。」
「何の話だ。」
「しらを切るつもりか。あの胡散臭い妖怪の指示に従う者など、信用できんな。」
そんなにも
何にせよ、戦うしかなさそうだ。
「ここに埋蔵されてる石油は全て私のもんだ!
「幻想郷の小手調べには丁度いい。」
すみません。中の人がいそがしかったので・・・
これだけ言わせて下さい。
すっくんインしたお!