東方宿儺譚    作:雅之幻想

28 / 76
ようやく宿儺が幻想入りです。
初陣の相手に悩みましたが、饕餮尤魔に決定。
題名が君の名はのパロ?キノセイデハ?


22.杓の名は

空色の服を着た少女が地底を縦横無尽に駆け巡り、あらゆる角度から攻撃を仕掛ける。

常人では目で追うことも叶わない速度で繰り出される連撃を、宿儺は完璧な力加減と技術で全て凌いでいた。刺突を躱し、蹴りを受け、拳を流した。

 

 

「もっと致命的な隙が欲しくなるな。」

 

「その欲も、私が喰らってやろう!」

 

 

数々の攻撃が凌がれているというのに、少女の闘気は消える気配がない。

放たれた拳は岩を砕く威力。一体その矮小な身体の何処にそんな力があるのかと問いたくなる。

そう思いつつ、宿儺は少女の攻撃を避け、腹にカウンターを入れた。

 

 

「ほう」

 

「クックック、効かないねえ。」

 

 

お互い内に秘めた思いは違えど、両者は笑みを浮かべた。

少女が余裕の笑みを見せるのに対し、宿儺は期待の笑みを浮かべていた。

その笑みを浮かべながら、宿儺は少女を投げ飛ばした。

凄まじい速度で壁に激突した少女。

 

 

「解」

 

 

そこに斬撃を入れる。激突した壁に斬撃の跡が刻まれる。

依代が死に絶え、再び神として復活した宿儺。

その出力はまだ完全には戻っていないが、あの少女の胴を真っ二つにするには十分すぎる威力だ。

 

 

「普通ならな」

 

 

こちらへ歩いてくる先刻の少女。

宿儺は再び、その少女へ斬撃を入れる。

しかし、その斬撃を受けつつも、少女は真っ直ぐこちらへ歩いてくる。

その肉体には微塵の傷もなく、出会った当初の状態を保っていた。

さっきのカウンターの手応えといい、実に妙だ。

 

 

「まるで沼を殴っているような感覚だ。」

 

「人のことを沼とは、言ってくれるな。」

 

「お前の術式の種が判ったら止めてやろう。」

 

 

あれだけの斬撃を受けてなおピンピンしている点。

腹を殴ったときの感触。

「喰らう」という言動。

沼という例え。

宿儺はあらゆる可能性を考え、その中でも可能性が高そうなものを厳選した。

 

 

「虱潰しといこう。」

 

「潰してみやがれ。」

 

 

宿儺は瞬きする間に少女の間合いに入り、連撃を叩き込んだ。

沼にハマる速度を上回ればいい、というわけではないらしい。

 

 

「これも効果なし。」

 

「オラァ!」

 

 

脇腹に杓による一撃を受け、宿儺は吹き飛ばされた。

 

 

「あの杓は、確か...」

 

「っシャア!」

 

 

まだ飛ばされている最中だというのに、上から蹴り落とされた。

矢のような速度で地面に激突した宿儺。

そして起き上がる前に、杓の先端で背中を刺された。

 

 

「カッ」

 

 

肺・心臓・肺のすべてを一撃で貫き、宿儺は吐血した。

 

少女は杓を抜き、距離をとった。

距離を取って3秒ほど経つと、宿儺は立ち上がった。

やはり只者ではない。改めてそう認識した少女は、再び構えた。

 

 

「ああ、そうだ。スポークだ。」




先割れスプーンをスポークと言うそうです。
何でも知ってる伏黒恵(16)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。