東方宿儺譚    作:雅之幻想

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24.縁起

「終わったのね。早かったじゃない。」

 

 

そう言って、八雲紫が降りてきた。

高みの見物とは腹が立つ奴。

 

 

「攻略法さえ判ればそこを攻めるだけだ。」

 

「そういえばあなたは、これより面倒臭いのとやりあってたわね。」

 

「あれは術式を突破してなお、俺の領域を凌ぐ奴だ。奴の過去に何があったかは知らんが、肉体の方も相当鍛えていたらしい。術式に胡座をかいていたコイツとは違ってな。」

 

 

そう言って饕餮を見る宿儺。

強いは強いが、どちらかといえば厄介という部類だ。

 

 

「これ程の者がいるとは思わなんだがな。」

 

 

幻想郷は魔境か何かなのか。

 

 

「美味しいものが見つかるといいわね。」

 

「余計なお世話だ。それよりもなぜ俺を幻想郷に連れてきたのか、説明を貰おうか。」

 

「いいわ、説明してあげる。とはいってもそう難しいものではないのよ。簡単に言うと、幻想郷のパワーバランスの維持のために連れてきたの。」

 

「パワーバランスの維持?」

 

コイツ(饕餮尤魔)もそうだけど、最近やたら強いのが異変を起こすから、解決しにくくなってきちゃったのよね〜。で、霊夢たちに力を貸して欲しいのよ。」

 

「貴様がやればいいだろう。なぜ俺なんだ。」

 

「私だって何かと(睡眠で)忙しいのよ。」

 

「そもそも幻想郷の事をよく知らない者が、いきなり守れるものではないだろう。」

 

「幻想郷の事はこれで知って頂戴。大まかなことはここに書いてあるわ。」

 

 

そう言って渡されたのは『幻想郷縁起』と『求聞口授』。

 

 

「それ古いからあまり当てにならないのだけれど、まあ入門書だと思って読んで。それとこれも。」

 

 

チャリンという音と共に掌に乗ったのは、金銭だろうか。和同開珎に似ている。

 

 

「じゃあこの子は私が預かるから、あなたは博麗神社に行っててね。」

 

「尋問するから、の間違いじゃないのか?」

 

「あら失礼ね。人のことを何だと思ってるの?」

 

「胡散臭くて信用ならない奴。というかお前は妖怪だろう。人でなしめ。」

 

「それはあなたも同じでしょう。」

 

「暫く探索する。博麗神社には自力で行くから送るな。」

 

「あっそう」

 

 

そう言って、饕餮を連れてスキマに消えた八雲紫。

それを見送り、(地底だが)天を仰いだ宿儺。

今日から幻想郷での日常が始まる。

強者の集う楽園での生活に心躍らせる宿儺であった。

 

                       

 

「博麗霊夢...俺を封じた霊子の子孫か?」

 

 

本の挿絵に描かれた少女は、見知った巫女服に身を包んでいる。顔立ちや髪型も、1000年前のあの少女と酷似している。

 

 

「にも関わらず、不思議と嫌な気はせんな。」

 

 

見えている景色のせいか、独特の硫黄の匂いのせい、あるいは不快にならない温かさのせいだろうか。嫌な気になるより温泉に入る気になる。

 

__ここは旧地獄。

心まで浸かる温泉街である。




宿儺さんが原作よりも遥かに分別のある別人になっている・・・!
本編みたいな冷酷非道な宿儺さんを期待していた人には申し訳ねえ...
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