「アンタ、博麗神社に行きたいのか?」
「八雲にはそこで待てと言われたからな。」
「随分あいつに従順なんだな。」
「アテがあやつしかいない以上、従うしかあるまい。それに個人的にも確かめたい事がある。」
「その知りたいこととやらは突っ込まないでおくよ。」
博麗霊夢という名の少女。その姿は、かつて宿儺を封じた少女 霊子の面影を宿していた。
「アタシに道案内でも頼む気かい?」
「できればな。あまり期待はせんが。」
「うーん。やってもいいが、アタシが人里に行くと騒動になるからなぁ...」
「その角は目立つからな。」
それに、勇儀は背が高い。角なしでも目立つ。
「わかった。では代わりに、靴屋に案内してくれ。草履でいい。いつまでも裸足は御免だ。」
「それなら引き受けてやる。足袋もいるか?」
「欲を言えば。」
「ならあそこだな。もう上がるか?」
「そうだな。疲れも癒えた。」
二人は湯から上がり、脱衣所に向かう。人がいたが、勇儀が通ろうとすると人が避けた。流石元締め。すんなり脱衣所で着替えることが出来た。着たのは3枚の
「便利な布地だな。」
「模様・色・質感まで自由自在だ。大きさには上限があるが、サイズに困ったことはないな。」
「へえ〜」
欠点は、これを使っているときに御厨子が使えなくなるなることだ。無理をすれば使えるが、とんでもなく疲れる。故に基本は使わない。
「やっぱアンタ凄いな。」
「こっちの能力はまだ開拓途中でな、向上の余地が十二分にある。」
「向上した時は一戦やらせてくれ。今度は本気でな。」
「泣くなよ?」
「舐めんな。っと、着いたぞ。」
年季の入ったいかにもな店だ。
「アタシの下駄もここのもんだ。店主いるかー?」
そう言って勇儀は店へ入っていった。
宿儺もまた、勇儀の背中を追った。
この後宿儺は勇儀に羽交い締めされ、下駄や草履を着せ替え人形のように様々試させられるのだが ここでは割愛させて頂く。
「酷い目にあったわ...」
「アタシもつい乗っちまった。いや悪かったって。」
「その割には店主と阿吽の呼吸だったがな。」
「ははは、否定できんなあ。」
結局自分で決めた草履を履くことにした宿儺。見た目普通の草履だが、頑丈さは鬼の折り紙付き。
「足袋も通気性がいい。快適だ。」
「気に入ってもらえて何よりだ。」
そう言われた瞬間、背後に気配を感じた。
宿儺はすぐさま力を込め、後ろへ拳を振るった。
「空振った?」
そう認識した後、違和感が宿儺を襲った。
全方向から同じ気配を感じたのだ。
「囲まれている?」
「萃香じゃないか。何してんだい?」
「やあ勇儀。また呑もうと思って。」
そう言って姿を現したのは、二本の立派な角を頭に生やした少女だった。
鬼と宿儺は気が合いそう。羂索は天狗と気が合いそう。ド偏見ですが。