東方宿儺譚    作:雅之幻想

33 / 75
別の温泉に入った二人。酒を肴に話している。


27.着物・履くもの・履かされる者

「アンタ、博麗神社に行きたいのか?」

 

「八雲にはそこで待てと言われたからな。」

 

「随分あいつに従順なんだな。」

 

「アテがあやつしかいない以上、従うしかあるまい。それに個人的にも確かめたい事がある。」

 

「その知りたいこととやらは突っ込まないでおくよ。」

 

 

博麗霊夢という名の少女。その姿は、かつて宿儺を封じた少女 霊子の面影を宿していた。

 

 

「アタシに道案内でも頼む気かい?」

 

「できればな。あまり期待はせんが。」

 

「うーん。やってもいいが、アタシが人里に行くと騒動になるからなぁ...」

 

「その角は目立つからな。」

 

 

それに、勇儀は背が高い。角なしでも目立つ。

 

 

「わかった。では代わりに、靴屋に案内してくれ。草履でいい。いつまでも裸足は御免だ。」

 

「それなら引き受けてやる。足袋もいるか?」

 

「欲を言えば。」

 

「ならあそこだな。もう上がるか?」

 

「そうだな。疲れも癒えた。」

 

 

二人は湯から上がり、脱衣所に向かう。人がいたが、勇儀が通ろうとすると人が避けた。流石元締め。すんなり脱衣所で着替えることが出来た。着たのは3枚の(ひれ)を組み合わせた即席浴衣だ。風呂上がりの一杯を飲み、温泉を後にした。

 

「便利な布地だな。」

 

「模様・色・質感まで自由自在だ。大きさには上限があるが、サイズに困ったことはないな。」

 

「へえ〜」

 

欠点は、これを使っているときに御厨子が使えなくなるなることだ。無理をすれば使えるが、とんでもなく疲れる。故に基本は使わない。

 

 

「やっぱアンタ凄いな。」

 

「こっちの能力はまだ開拓途中でな、向上の余地が十二分にある。」

 

「向上した時は一戦やらせてくれ。今度は本気でな。」

 

「泣くなよ?」

 

「舐めんな。っと、着いたぞ。」

 

 

年季の入ったいかにもな店だ。

 

 

「アタシの下駄もここのもんだ。店主いるかー?」

 

 

そう言って勇儀は店へ入っていった。

宿儺もまた、勇儀の背中を追った。

この後宿儺は勇儀に羽交い締めされ、下駄や草履を着せ替え人形のように様々試させられるのだが ここでは割愛させて頂く。

 

                      

 

「酷い目にあったわ...」

 

「アタシもつい乗っちまった。いや悪かったって。」

 

「その割には店主と阿吽の呼吸だったがな。」

 

「ははは、否定できんなあ。」

 

 

結局自分で決めた草履を履くことにした宿儺。見た目普通の草履だが、頑丈さは鬼の折り紙付き。

 

 

「足袋も通気性がいい。快適だ。」

 

「気に入ってもらえて何よりだ。」

 

 

そう言われた瞬間、背後に気配を感じた。

宿儺はすぐさま力を込め、後ろへ拳を振るった。

 

 

「空振った?」

 

 

そう認識した後、違和感が宿儺を襲った。

全方向から同じ気配を感じたのだ。

 

 

「囲まれている?」

 

「萃香じゃないか。何してんだい?」

 

「やあ勇儀。また呑もうと思って。」

 

 

そう言って姿を現したのは、二本の立派な角を頭に生やした少女だった。




鬼と宿儺は気が合いそう。羂索は天狗と気が合いそう。ド偏見ですが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。