東方宿儺譚    作:雅之幻想

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宿儺は穢れや気配をコントロールして、自分を「人」のように見せています。


28.酔い

「最近は宴会もしない時期になっちゃったから、一緒に呑もうと思って。」

 

 

そう言って出てきたのは、どう見ても酒を呑む年齢ではない幼子だ。頭の角がなければ、齢10にも満たない少女と認識しただろう。

 

 

「星熊勇儀、この娘は誰だ。」

 

「ああ、コイツは伊吹萃香。見ての通り、アタシと同じ鬼だよ。」

 

 

これだけ目立つ角で鬼ではないという方が無理がある。星熊勇儀の角は一本だが、伊吹萃香は一対角。勇儀よりも肩幅ならぬ角幅があるので、歩くときには邪魔そうだ。

 

 

「コイツは宿儺だ。腕っぷしならアタシと互角だった超強い外来人だよ。」

 

「へー、()なのに珍しい。力が勇儀と同じくらいかぁ。やっぱりあの新聞は本当なのか?」

 

「新聞だと?」

 

「おう。あ、そうだ。お前も一緒に呑もう!色々聞きたいし!」

 

「受けよう。俺もこの世界を知りたい。」

 

 

その後、呑み屋が潰れるのではと思うほど酒を呑んだ。萃香の持つ瓢箪は、無限に酒が湧くマジックアイテムで、呑み屋が潰れるなんてことはなかったが。

 

 

「でよぉ、コイツ博麗神社行きたいんだってさ。萃香案内してやれよ。」

 

「いま霊夢ちょっとピリピリしてて行きづらいんだよねぇ。異変を解決できなかったからキレてるらしいんだけど、まあ今回のは普通じゃなかったよ。」

 

「宴会がないって言ってたのも、異変解決ができなかったからか。」

 

「そそ。だからこっち(地底)まで降りてきたって訳。まあ別の理由もあるんだけどね。」

 

「別の理由?」

 

「この新聞だよ。」

 

 

そう言って萃香が見せたのは、『花果子念報』だ。

そこには『救世主は地獄の鬼!?地震は黒水異変終決の証!』の見出し。

 

 

「何だこれは。」

 

「私が取材を受けた新聞の試しだよ。昨日の夜ちょっとした地震があって。普段なら皆スルーしてたんだけど、異変のせいで地底への関心が高まってて。そんな中での()()()()()()()()。天狗にとっては恰好のネタだよ。」

 

「これは間違いなく俺だな。」

 

「やってくれたな烏天狗。」

 

 

全裸の写真にはツッコミたいが、地震が自分たちのせいなのは多分正しい。その記事の内容は...

 

 

『連日発生していた黒い水が湧き出す異変。飲料用の湧き水・美しい清流・憩いの場である温泉など所を選ばず湧き出していた。しかし、一昨日発生した小規模の地震の後から、黒い水の発生量は少なくなっていった。あの黒い水と地震に関係があるのは明白。そしてどちらも地下に原因がある。人が立ち入れないような地下の出来事でも、念写を使って映し出すことに成功した。それがこの写真だ。角の生えている方は鬼(本名:星熊勇儀)である。そしてもう片方の人物こそ、今回の異変の首謀者であると見られる男だ。彼女たちの戦闘の振動が地震を引き起こしたかどうかは不明だが、前述の通り黒い水と地震に関係があるのは疑いようがない。なぜ彼が地底にいたのかは疑問だが、地底の温泉を黒い水に変えるために地底へ行ったと考えれば辻褄が合う。それを止めるために、鬼が立ち向かい勝利したということだろう。伊吹萃香さん(鬼)はこう語る。「あいつ(勇儀)なら地震も起こせるかもね〜。今度聞いてみるよ。」と語った。なお、地底は危険な場所であるため決して立ち入らないことをお勧めする。』

 

 

とあった。

 

 

「...アンタ、異変の首謀者にされてるよ。」

 

「その異変とやらは俺ではない。黒水異変...石油のやつか?なら怪しいのは彼奴・・・」

 

「彼奴って?」

 

「おっと、それは言えん。」

 

「水臭えなあ。教えてくれよー」

 

「呑みすぎたな...」

 

 

結局宿儺は口を割らなかった。ここで饕餮のことを話すのは何となくマズイと思ったからだ。水代わりに酒を一口。こんな事をしているから酔っ払うというのに。

 

 

「というかそもそも異変とは何なんだ。」

 

「あー、異変ってのは幻想郷に起こる問題みたいなもんだよ。どっかの妖怪が目立ちたいからやったり、どっかの神が目立ちたいからやったり。それら全部をひっくるめて異変って呼んでんだ。」

 

「で、みんな霊夢が解決して、終わったら宴会。首謀者を幻想郷に迎え入れるんだよ。」

 

「なるほどな。」

 

 

どうやらもう少し調べる必要がありそうだ。縁記に詳しい話があればいいが...

 

 

「っていうかどうすんだ?このまま新聞出させるのか?」

 

「新聞の配布は明日だから、今ならまだ止められるよ?それこそ力ずくでも。」

 

「いや、このままでいい。」

 

「「え?」」

 

 

不思議そうな顔をする二人をよそに、酒瓶の酒を一気飲みした。顔には不敵な笑みが浮かんでいた。




はたての撮った写真の二人は全裸ですが、謎の光によって局部が隠されています。(念写なのに...)
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