雑巾の絞りカスみたいなアイデアしか出ない。
「という訳で頼む。俺を博麗神社へ案内してくれ。」
「えー。っていうかどういう訳よ。」
「どんな訳でも引き受けてやれよ。この際階段前に連れてくだけでもいいだろ。」
「それで構わん。」
「いいんだ。それくらいならまあ。」
話というのはトントン拍子に進むものだ。
その後も暫く呑み続け、博麗神社に行くときには頭痛に襲われてしまった。
「じゃあな星熊。世話になった。」
「いいってことよ。アタシはまた一緒に呑めればそれでいいさ。」
そう言葉を交わして、星熊とは別れた。
「随分淡白な別れだな」
「今生の別れでもあるまい。涙を流す別れを期待したか?」
「いや。お前が涙ぐむなんて想像できないな。」
という会話を交え、宿儺と萃香は博麗神社に向かっていた。
因みに口調など表面上は平静を装っているが、宿儺は今激しい頭痛に襲われていた。涙ぐむなら別れよりも頭痛に涙したい。
「流石に飲み過ぎたな...」
「人間なのにあれだけ飲んでも倒れないのはおかしいと思うけどね。」
「こういう人間もいる。それだけだろう。」
尤も宿儺は人ではないが。
「それにしても紫に連れてこられたのが地底だなんて変わってるな。」
「どういう意味だ。」
「いや、普通は会話なんかしたら博麗神社に飛ばされるんだが、お前は地底に送られたんだろ?地底になんかあったのか?あそこを訪れる人間なんて殆どいないけど...」
「そんな事・・・俺の方が知りたい。」
実際、なぜ自分が饕餮と戦ったのかはよく分かっていない。「とりあえずボコして」と言われたからやったが、今思うと八雲紫が直接手を下せば良かったと思う。
「まあ奴は俺を封じるときですら殆ど動きはしなかったしな。元々人任せな性だったのだろう。」
「封じるとき?」
「1000年前にな。」
「ふ~ん。1000年前かぁ。」
思うところがあるのか、萃香は下を向き、ブツブツと独り言を言っている。萃香は宿儺を先導する形で歩いているが、曲がり角ではちゃんと曲がる様子を見る限り、前は見えているらしい。
「その角が邪魔になることは考えてなさそうだな。」
「あっ、え?なんか言った?」
「何も。」
鬼。八雲紫は「幻想郷は忘れ去られたものが行き着く所」と言った。伏黒恵の記憶では、明治の時代に陰陽師は存在を禁じられ、この世から消えたらしい。それと共に、陰陽師に倒されていた妖怪までも消えてしまったのだろう。光と影は表裏一体。光が消えれば影が消えてしまうのは、ある意味当然である。逆に呪術師という存在がいたからこそ、今尚呪霊が存在できるのだろう。思い切って呪術師を消してみれば、呪霊という存在も消えるのだろうか。
「光が消えて影が深まるやもしれんな。影とも気づけぬ者が大半だろうが。」
「ブツブツ言ってるみたいだけど、ちょっと良い?」
「ん?ああ。何だ。」
「着いたよ。博麗神社。」
そうして目に飛び込んできたのは、赤い鳥居と長い階段。博麗神社へと続く参道である。
pixivで「秘封羂索」を連載し始めました。
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