名前だけは知っていますが、実際に会ったことはありません。
逆に細愛親王や都久親王は宿儺のことを知っています。会ったこともあります。
「報告します!強い力を持った何者かが、月の都に向かっています!」
そう言って飛び込んできたのは綿月豊姫だ。
普段マイペースな彼女がここまで慌てるのは珍しいことだ。
だが、無理もない。
月の都でも上から数えたほうが早い武官と文官も、揃ってこの気配に驚いている。
最もその驚きは、豊姫のものとは異なることへの驚きだが。
「現在、我が妹である綿月依姫が迎撃に向かいました。独断行動をお許し下さい。」
「良い。これだけの気配を持つ者相手ならば寧ろ適正な判断だ。細愛、我々も向かうぞ。」
「ああ。豊姫、お前は帝にこのことを伝えろ。」
「了解しました...って、都久親王様も向かわれるのですか?」
「あの気配には心当たりがある。私が行って、直にそれを確かめる。」
「分かりました。それではお二人共、どうかご無事で。」
「どう思う細愛殿。」
「本当に宿儺様が復活なさったのであれば、結界に何らかの異常が起こるはず。
しかし結界に異常がないということは、宿儺様は復活しておらず、別の存在だと考えることもできます。」
「普通に考えるのであれば、私もそう思う。だがあれだけの気配の存在が突如結界に入ってきた。
にも関わらず結界に異常がない。おかしいと思わないほうが無理だろう。」
「ではやはり、あれは宿儺様であると?」
「その可能性が高いだろう。尤も私としては、宿儺様であったほうが都合がよいがな。」
「話し合いの余地があるからか。」
__などと話している中、気配のする方から轟音と爆発が起こった。
二人はそれを見て、話し合いの余地があるのか疑問に思った。
その剣閃は、最早芸術と言っても差し支えないだろう。
それは高い才能と長い努力によって生み出された、美しい舞。
しかしその剣閃は確実に相手を仕留め、戦意を喪失させるだけの力がある。
だからこそ、綿月依姫は焦っていた。
__男にまだ一撃も剣が当たっていない事に。
「そんなものか!月の守人!」
「くっ・・・!」
放った連撃は尽く受け流され、できた隙に来る一撃をギリギリで躱す。少し掠った。
男が持っている剣が何かは知らないが、祇園様の剣に匹敵するほどの業物だと思う。
この調子ではジリ貧だ。
神の力を降ろしていないとはいえ、ここまで追い詰められるのは初めてだ。
使うしかない。持っている剣を地面に突き立てた。
「お?おお。」
宿儺を囲うように、剣が地から生えた。
「女神を閉じ込める祇園様の力。迂闊に動けば祇園様の怒りに触れるわよ。」
「そうか。」
そう言って眼前の敵は上に飛び上がり__祇園様の怒りに触れた結果、中空で串刺しになった。
ついに戦闘が始まりました。(始めました)
これを書くにあたって、依姫の強さを調べましたが
やっぱやばいですねアイツ。
宿儺ならなんとかしてくれそうですが。
因みに祇園様の力はオリジナルです。