東方宿儺譚    作:雅之幻想

41 / 75
お久しぶりです。再開します。
再開に伴い、今までの話全てに変更を加えました。より読みやすくしたつもりです。


35.寝起き

「・・・知らん天井だ。」

 

 

そう言って、宿儺は目覚めた。目に入って来た天井は、一週間で見慣れた博麗神社の天井  ではない。八意の住む永遠亭の天井だ。八意達と会話をし、八意のマトモな料理を食べ、八意と晩酌をし、床についた。

 

 

「あ、宿儺様。おはようございます。」

 

 

そんな事を思い返していると、兎耳の少女が入ってきた。その瞳は、徹夜でもしたのかという程(あか)い。兎の眼が紅いのは元からだが。

 

 

「お前は確か・・・優曇華だったな。」

 

「はい。元玉兎の鈴仙・優曇華院・イナバです。朝食ができたので呼びに来たところです。」

 

「分かった。顔だけ洗わせてくれ。」

 

「了解です。食事場所は昨日と変わらないので、ごゆっくり。」

 

「冷めるまでには行く。」

 

 

少女が出ていき、宿儺も洗面所へと向かう。廊下を渡る際、少しの肌寒さに宿儺は身震いした。今は11月の頭。秋が冬に代わり始めるタイミングである。日は昇ってはいるが、陽光は竹に遮られ、渡り廊下には日が差していない。おまけに宿儺の服装は羽織り物一枚で、服の隙間からは鍛えられた逞しい肉体を覗くことができる。

 

そんな寒気を気にせず、目を覚ますために冷水で顔を洗う。秋の夜の寒さに当てられて普段よりも冷たい水は、宿儺の眠気を覚ますには十分すぎるものだった。

 

 

「冷水にやられるとは、俺も年を取ったな。」

 

「驚いただけで大げさよ。」

 

「お前なら判るだろう、八意。」

 

「あら、私はまだまだ若いわよ?」

 

 

蓬莱ジョークにツッコむことなく、宿儺は八意の脇を抜けていった。挨拶は今ので済ました。

尚、まだ水気が残る顔に外気が当たり、宿儺はまたしても冷たい思いをしたことを記しておく。

 

                      

 

「宿儺様はこの後はどうなさる予定ですか?」

 

「そう、だな...」

 

 

食事が終わり、食器を片付けてもらっている優曇華にそう尋ねられた。

本来ならば情報収集に奔走するところだが__

 

 

「流石に博麗に心配をかけるだろう。食はいらんと言ったが、帰らないとは言っていないからな。」

 

「ということは、博麗神社に戻られるのですね?」

 

「そういうことになるな。八意と蓬莱に挨拶をしておこう。」

 

 

尤も宿儺はここ(幻想郷)に永住する気なので、会おうと思えばいつでも会える。行く手を阻む竹林にも、そのうち慣れるだろう。と、そこへ__

 

 

「おはようイナバ。いい朝ね。」

 

「あっ、姫様。おはようございます。朝食ができてますよ。」

 

「ありがとう。あら、宿儺も居たのね。」

 

「挨拶に行く手間が省けたな。」

 

「挨拶?」

 

「俺は今日は博麗神社に戻る。故に別れの挨拶だけして帰ろうと思ってな。」

 

「そうなのね。ちょっと残念だわ〜。色々聞きたいことあるのに。」

 

「幻想郷から去るわけではない。また来る。」

 

「じゃあ帰る前に一ついいかしら?」

 

「俺に答えられることであり、その情報を渡しても問題ないと判断できれば構わん。」

 

 

とはいえ、蓬莱山は八意の教え子だ。あまり隠し立てする気はないが__

 

 

「あなたと永琳って、どんな関係なの?」

 

 

__絶妙に答えづらい質問なのは困る。

 

 

「俺と八意の関係・・・か。彼奴を初めて見たのは、岩戸隠れの宴のときだ。」




宿儺が幻想入りしたのは10/24です。東方剛欲異聞の発売日です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。