東方宿儺譚    作:雅之幻想

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宿儺と永琳は熟年夫婦みたいな連携ができます。

「宿儺、あの薬取って。」

「ほれ、あと抽出器。」


38.引き込み、そして別れ

「ウチに来ない?悪いようにはしないわよ?」

 

 

そう言われた八意の顔は、驚きに満ちていた。

 

 

「いくら何でも突拍子がなさ過ぎる。理由を言ってやれ理由を。そんな話は俺も初耳だぞ。」

 

「そうね、なんたって今思いついたもの。」

 

「なぜお前の信仰が失せないのか、俺には理解が及ばん。」

 

「月が美しいからよ。それはさておき理由だけど、大きく2つあるわ。」

 

「何でしょう。」

 

「一つは今後を見据えたとき、あなたを仲間とすることが私にとって有利に働くと思ったから。」

 

「有利...ですか。」

 

「姉貴にしては珍しい。俺もそれには同意見だ。」

 

 

天岩戸から天照を出す。その策を講じたのは、他でもない八意だ。その活躍から、今後の彼女の発言力は大きくなると考えられる。そんな者を仲間に加えるなど、どうなるかは愚者でも察せる。

 

 

「お言葉、感謝します。ですが今の私を配下に加えるということは、私を狙う他の神々の怒りを買うということに・・・」

 

「そんなの関係ないわよ。そもそも私はそんじょそこらの神とは訳が違う、三貴神の一角よ?あなた一人を抱えて、他の神々と対立する程度どうってことないわよ。」

 

 

胸を張り、月夜見はそう言い放った。

認めたくはないが、宿儺がこれ程月夜見を頼もしいと思った事は、今日含めて三回しか無い。その内の二回はまだ姉の本性に気付く前のことなので、同列に加えるべきかは悩むところだが。

 

 

「もう一つは単純に面白いと思ったから。まあ貴方がヤダって言うなら諦めるけど。」

 

「い、いえ!そんな事はありません!」

 

「なら決まりね。さあ、今日から賑やかになるわよー!」

 

                       

 

「・・・と、こういった流れで私は月夜見様の配下となったのです。」

 

「姉貴は俺と八意を対等の立場に置いた。お陰で今では互いにタメ口を利く仲だ。」

 

「そうだったんですね。」

 

「で、結局二人はどんな関係なの?」

 

「同僚だな。」

 

「同僚ね。」

 

 

友人や相棒と言っても差し支えはないだろうが、八意との関係を端的に言うならやはり「同僚」だろう。そう認識することで一線を越えずに済むだとか、そんなものではない。只々、これが1番しっくり来るのだ。

 

 

「もっと恋仲とかそういうのを期待してたから、ちょっと残念だわ〜」

 

「あまり面白い話ではなく申し訳ありませんでした。」

 

「悪かったな、お姫さま・・・さて。」

 

「宿儺様、お帰りですか?」

 

「もっとゆっくりしていけばいいのに。」

 

「姫様、宿儺にも都合がありますから。それに、また来るでしょう?」

 

「ああ、そう遠くない頃にな。」

 

「怪我でもするの?」

 

「直に判る。またな、八意。蓬莱と、優曇華も。」

 

  ええ、また。」

 

「いつでもいらして下さい。」

 

「また面白い話聞かせてね。」

 

 

三者三様の挨拶を背に受け、宿儺は永遠亭を後にした。

廊下を歩いている途中、1羽の兎とすれ違ったが、宿儺は気にしなかった。

 

                      

 

「すぐに判るって、一体どういう意味なんでしょう?」

 

「さあねえ・・・ところでウドンゲ、てゐはどこ?」

 

「てゐですか?さあ...あの子はいつも自由ですから...」

 

「お師匠、私を呼んだ?」

 

「あら、丁度良かった。兎たちに伝えてくれる?」

 

「何を?」

 

「宿儺の前を走って竹林から脱出させて、って」




そろそろ虹龍洞の話を書く予定です。
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