調子に乗ってNormalに凸ったら馴子ちゃんにボコられました。
入ってきたのは、見たところ齢10の少女。しかし背中の不気味な蝙蝠の羽と、吸血鬼という種族の放つ、恐怖や畏怖を感じさせるオーラは幼子のそれではない。尤も、精神年齢は見た目相応のものもある。それは酒の席で確認済みだ。
「……運命は、妹の相手に貴方を選んだのね」
「何の話だ」
「これからの話よ」
そう言って少女は対面の席に座った。そしてすぐに十六夜がテーブルに紅茶を置き、彼女は少女の背後に立った。手際が良い。
「……大体の話は、十六夜から聞いている。近々訪れる紅い月に備え、お前の妹の暴走を止める役が必要。故に俺を招いた、と」
「ええそうよ。最近、妹の力が増してて、紅月になったら私でも止められない……というのが、パチェの試算だそうよ」
「ぱちぇ?」
「パチュリー・ノーレッジ。紅月が近いとの試算を出した魔法使いですわ」
「暇だったら会いに行くと良いわ。いつも大図書館に居るから、後で案内させるわね」
「図書館か……そこの本は、好きに読んでも良いか?」
「パチェがどう言うかだけど、屋敷の主としては許可するわ」
「交渉次第、といったところか」
「盗んだりするならともかく、読むだけならとやかく言われないと思うわ」
「お嬢様、脱線はこの位に……」
「そうね。咲夜、ワイン持ってきて頂戴。あとジャーキーも」
「はい、こちらに」
そう言って机の上にワインとグラス、そしてジャーキーなるものを置いていった。今の今まで、何も持っていなかった筈だ。驚きはしなくなってきたが、やはり気になる。
尤も当の十六夜咲夜は、そんな興味を向けられているとも知らずにワインを注いでいる。
「さて、話をしましょうか。これからの、契約の話を──」
「浴室はこの突き当りのところに、そしてこちらが宿儺様のお部屋です」
案内された部屋もまた、赤をベースにした色合いになっている。この屋敷に長居した暁には色彩感覚が狂ってしまうのだろう。
「本日はお疲れ様でした。朝には起こしにまいりますので、それまでごゆるりとどうぞ」
部屋には既に荷物(といっても殆どが替えの服)が運び込まれていた。ごゆるりと、と言われたのでひとっ風呂行っても良いのだが……
「……折角だが、まだ疲れを感じていない。そこで一つ頼みがある」
「何でしょう」
「件の魔法使い、パチュリー・ノーレッジのところへ案内しろ。大図書館とやらに興味がある」
「……承知致しました。では、こちらへ」
そうして案内された大図書館という部屋。応接室や先刻案内された部屋とは違う、いかにも重要といった感じの扉が待ち構えていた。
「こちらがパチュリー様が管理している大図書館になります。どうぞ」
そうして扉は開かれた。そこに待ち受けていたのは──
「……おお」
──先が見えない程長い、大量の本の道だった。
お久しぶりです。ちょっとブランクに突入してました