凄くどうでもいいですね。
「八意思兼は禁薬とされた蓬莱の薬を作り、それを当時の姫である
都久親王の告白に続き、細愛親王が詳細を語った。
それに対する宿儺の返答は、想像を超えるモノだった。
「ならば俺も、地上へ出向くとしよう。丁度力も殆ど失くなった所だからな。」
驚きという情報がいつまでも完結しなかった。
当然である。月の都に住む者にとって、地上は監獄。否、それ以下の処である。
穢れにまみれた最悪の場所。そんな処に行く者など、大罪人だけである。
止めるべきだ。しかし驚きが発声を妨げる。
「そう驚くな。大方、穢れに塗れた地上に行くのが信じられんのだろう。
心配せずとも、俺は穢れを操れるのだ。地上で死ぬことなど有り得ん。」
そうだ、そうだった。
驚きが消えた。同時に、理解が満ちていった。
宿儺は穢れを操る神。穢れの影響を受けることがないのだ。
何故そのことに気付かなかったのか。老化だろうか。
いやそもそも、月の都で老化などあり得るはずが__
「それはさておき、月に何故こんなにも穢れがあるか、教えてもらおうか。
お前達の体に、穢れが蓄積しているぞ。」
穢れだって?そんなものがあるはずがない。そもそも月の都は、眼前の宿儺の結界によって
穢れからは守られているはずだ。依姫は思い返した。そして、一つの可能性に行き着いた。
「恐らくですが、先日地上の妖怪の月侵攻がありました。その妖怪たちの穢れかと。」
「地上の妖怪の月侵攻だと?」
「はい。地上の妖怪が満月の
「最終的には八意殿の仕掛けた罠が決定打となり、地上の妖怪を降伏させることが出来ました。」
「その時に多少穢れを貰ってしまったんだろう。お前達月人は、俺の結界のお陰で、穢れとは無縁の生活を送っているからな。穢れに対する耐性が殆どない。細愛と都久も、穢れへの耐性が昔よりも大部弱まったな。」
放っておけばこの穢れは月の都に蔓延する。誰かが寿命を迎えることはないが、彼らの様に肉体に老化が見られるかもしれない。それは真実を知る者以外にとっては、結界の弱体化を示す事だ。
宿儺とて神。信仰を失うのは困る。
「穢れ回収の慣らし運転には丁度いい。」
そう言って右手を三人の前に突き出した。
「集」
三人から黒いモヤが出てきたかと思えば、それは宿儺の右手に吸われていった。
そして更に、右手を地面に添え、再び「集」と唱えた。
その時、三人は見た。
先ほどの黒いモヤが、辺り一帯から宿儺の方へ向かっていくのを。
「大体、こんなものか。」
頭がスッキリした気がした。
実際、スッキリしたのだろう。
「では俺は地上へ行くとしよう。少し、力も戻ったしな。」
「分かりました。道中、お気をつけて。」
「道中?そんなモノはない。」
「は?」
「__辺津鏡よ。沖津鏡と表裏一体と成りて、空を繋げ給え」
そう言って、宿儺の手元に鏡が現れた。
そして宿儺はこちらを見ると、
「じゃあな依姫。次は本気で相手してやる。」
そう言って、鏡の中に入っていった。
それから1000年間、宿儺は一度として月の都に現れなかった。
鏡が出てきましたね。鏡の能力は空間を繋げるだけです。
ほんとは詠唱しなくても鏡は出せます。え、なんで詠唱させたかって?
宿儺の力が減ってたのと、地球が遠かったからですね。
明確な種明かしは先の方で。