東方宿儺譚    作:雅之幻想

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前回は月側だったので、今度は地上側です。
え、題名通り?いやまあはいそうです。


平安編
8.地上で


ある女が、子供を身籠った。高貴な女だった。初めての子供であった。

しかし、これで家も安泰、という訳にもいかなかった。

女は双子を孕んでしまった。その頃双子は忌み子として扱われていた。

女はそうとも知らず、生まれるのを今か今かと待っていた。

                      

 

「集」

 

男目掛けて、黒いモヤが集まっていく。

さすがは地上。集めても集めても穢れが尽きない。

 

「さて、穢れを集められたはいいが、ここは何処だ?」

 

見渡す限りの木々。空に瞬く星々。足下に咲く数輪の花。

視覚的情報はそんなものだ。他に何か目印があるわけでもなかった。迷子だ。

月から地球を見て、最も力が大きい所に鏡を置こうとした。

しかし38万キロもの距離から鏡を置くとなると、髪の毛1本分ズレただけでも大きくズレる。

富士山のあたりに置くはずだったが、能力が誤作動して岐阜の山奥に鏡が置かれてしまった。

遥か38万キロのボヤージュをすれば確実に気配がした所まで行けたが、

力を大きく欠いていた宿儺にそんなことをする余裕はなかった。

 

「さっきの気配は...あっちか。」

 

そう言って向かったのは、富士の山。

時は奈良時代末期。

 

間もなく、史上最強の呪いの王・両面宿儺が誕生する。

                      

標高3776mの高山も、宿儺にとってはノリと勢いで登れる山の一つに過ぎなかった。

 

 

「遠くから見たときには青と白の美しい山だったんだがな。」

 

 

いざ近づいてみれば、見渡す限りの岩、岩、岩。

しかし頂上から、大きな気配を感じた。その正体を確かめたかった。

 

 

「あの高さなら、人間もそう簡単には踏み入れられんだろう。隠れるには丁度良い。」

 

 

しかし、登っても登っても代わり映えのない景色が続き、宿儺は飽きかけていた。

見渡す限りの岩、枯れた草木、人の死体、途轍もない気配を放つ壺__

 

 

「途轍もない気配を放つ壺!?」

 

 

見逃しかけた。頂上の力に気を取られすぎた。

見た感じは普通の壺である。となると気配の主は中身。

そこに残っていた粉からは(頂からの気にはかなり劣るが)大きな気配を感じた。

大した量ではない、ひとつまみ程度だ。それでいてコレだけの気配があるのは明らかにおかしい。

 

 

「壺に入った粉状のもの、ということは薬なんだろう。何処か懐かしい気配…?」

 

 

ひとまずその壺を持って行くことにした。軽い。中身が入ってないならば当然か。

そもそも宿儺に取っては殆どのモノが軽いのだ。気にする必要などない。

それよりも__

 

 

「久しいな、木花咲耶姫」

 

「久しぶりですね、月夜見宿儺。」

 

 

久方振りの再会を気にしたかった。




遅れました。8月になってしまったなぁ。
楽しみにしていた方々、大変申し訳ございません。
ペース上げて頑張ります。
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