サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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9話 死神を超えて節制の道へ 2

「おい! ローグはいるか!!」

 

Vの体をしたジョニーの怒鳴り声がアフターライフを静寂に包んだ。 全員が怒鳴り声をあげた張本人を注視して、一部の者は目立たないように可能な限り目を合わせようとしない。

 

「今、ローグさんはいないよ」

 

アフターライフのバーテンダー、クレアがその怒鳴り声に唯一返事を返したのだった。 それを皮切りにアフターライフの喧騒が戻ってくる。

 

「おい、ローグはどこ行った? 急ぎだ、言え!」

 

「ローグさんなら、今護衛のデカブツと仕事だよ。 どうしたの、もしかして喧嘩でもして仲直りしたいとか?」

 

「抜かせ馬鹿が、俺がアイツに謝る訳ないだろ」

 

俺はクレア目の前にいるカウンター席に座る。くそ、少し傾いてやがる。

 

「そう? Vの体で帰ってきた時思いっきり撃たれなかった?」

 

「待て、その話はよせ、Vの知人全員からボコボコにされて死にかけたんだぞ!」

 

「ええ知ってる、私もそのひとりだもの」

 

そうだった。 そういえばコイツ俺を轢き殺しに来たんだった。

 

「延々と追い回しやがって、ナイトシティ一周しただろうが!」

 

「地獄を一周するよりマシだと思うけど?」

 

「もう地獄は体感したんだよ! お前らのおかげでな!!」

 

ヴィクターからは麻酔なしでインプラント手術されそうになり、普段温厚なミスティからは延々と無視され、ママウェルズからは引っ叩かれ、アルデカルドスの連中からは蜂の巣にされかけ、遠くのジュディからは殺害予告を受け、元警察官からはボコボコにぶん殴られ、ローグには撃たれ、Vの体関係なしにタケムラからはオダと共に命を狙われ、他にも色々、一週間は生きた心地はしなかった。

 

「アイツは、人助けをし過ぎだ! 自分の命が危ねぇってのによ!!」

 

そう言って俺は隣に座っていた奴の酒を奪い取り、一気に飲み干した。 不味い、安酒じゃねぇか!

 

「ふーん、楽しそうね」

 

俺は安酒を飲んでた野郎を蹴り飛ばして、その席に足を乗せる。 これがいつもの座る時のスタイルだ。

 

「どこがだ!? 命を奪ってしまえばいいのに依頼のターゲットはゴリラアームで気絶させて車まで運ぶ!? しまいにはサイバーサイコまで不殺だ!? アイツはナイトシティで聖人君主にでもなる気か!! 刀なんて振るいやがるくせによ!!」

 

クレアはジョニーシルヴァーハンドをグラスに注ぎ、それをジョニーに差し出した。 それを奪い取るように掴み、一気に飲み干す。 そしてVへの愚痴がヒートアップしていく。

 

「クソコーポのオダまで見逃し、アラサカから命を狙われてるのにタケムラを救出しに行きやがって。 死んだらどうするつもりだ!!」

 

「しまいには自分が騙されたってのに、その騙した奴を月に送りやがって……あの馬鹿が!!」

 

「しかも……猫、ネコだと!? 何処から拾ってきやがったんだ!! 人の次は動物保全かよ!!」

 

しかも今現在、ネコはミスティの家で美味しい物を毎日食ってるらしい。 俺が追い回されて泥水を啜ってる間にだ。 飼い主は飯に在りつけず、ペットはのんびり優雅に女とイチャイチャ、クソが!

 

空になったグラスにお代わりを注ぎながら、クレアはふと気になった事を聞いてみた。

 

「でも、Vって結構人も殺してるよね。 殺すやつと殺さない奴の違いって何?」

 

「あ? それはな、自分が殺さねぇと不幸になるガキがいる時だな。 だからメイルストロームは皆殺しにしてたな。 後は手加減できない程強かったりとか、追い込まれた時とか、あとハッキングしてきた相手は泣いて土下座するまでゴリラアームで殴ってたな」

 

「ヒュー、苛烈ね」

 

「まさか、あの野郎は甘い上に人を殺すのに躊躇いがありやがる。 だからあんな感情のない殺意なんて持ちやがる。 気色悪りぃ」

 

「感情のない殺意?」

 

「ああ、アイツ殺す時は躊躇わないようにって感情を消すんだよ。 機械かっつーの!」

 

そしてクレアはまだ飲み干していないグラスがあるにも関わらず、別のグラスが置かれた。

 

「おい、俺は別に頼んでないぞ、これなんだ?」

 

「ん? これはVによ」

 

それは大きな仕事をする前にいつもVが飲みにきていたものだった。

 

「ジャッキーウェルズ、って言うのよ」

 

「……そうか、コイツが」

 

俺は手に持っていたジョニーシルヴァーハンドをジャッキーウェルズに軽くぶつけて乾杯する。

 

「あの武器好きの馬鹿野郎に」

 

おいおい、そこは互いの愛おしい相棒に、だろ?

 

そんなふざけた声が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。

 

猛烈に中指を立てたくなったが何とか堪える。 そこへようやくお目当ての女がデカブツと共に帰ってきた。

 

「なんだい、騒がしいよお前ら……なるほどアンタかい」

 

俺を見つけた途端に呆れたような声をあげやがった。 ローグのくせに生意気だな。

 

「よぉローグ、探して欲しい物がある」

 

「なんだい、いきなりだね。 どうしたんだい?」

 

 

 

「Vの墓を荒らして俺の銃を盗んだカスがいる。 探すのを手伝え」

 

 

 

「ああ、そりゃ一大事だ。 他のフィクサーにも声をかけよう」

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