サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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旧11話は旧10話の続きです。

寝て起きて見直して叫んだね、「なんじゃあこりゃあ!?」って


没案 旧11話

あの連邦生徒会との戦闘から三日後。

 

ブラックマーケットにある、とあるファミレス

 

通常ではない地域ではあるものの、場所自体は女子がキャピキャピとガールズトークで盛り上がったりする筈のその場所は、今は地獄のような光景が繰り広げられていた。

 

方やすげー甘酸っぱい初恋エピソードを無限ループのマシンガントークで語り。

 

もう片方は完全に死んだ顔で、過去の己の行いを振り返り土に埋まってしまいたいとテーブルに突っ伏し撃沈していた。

 

「で、先生がー、私をー、あーで、こーで、くふふふふふふふのふーー」

 

「死にてぇ、何であん時の俺泣いてんだ? ん? あれか? 先生の言葉が胸にきちゃいました的なやつか? 乙女かよ。 いや体は乙女だけど中身は男だよ。 いやそれ以前にこんなに俺は感情が揺れるような奴だったか? 精神が体に引っ張られる的な奴か? ふざけんなよちくしょう」

 

この光景には店に入った客はすぐさま回れ右、入店と同時に退店していった。

 

店員がどうにかお帰りいただこうと交渉したいが、相手は七囚人の一人、孤坂ワカモ。 そして凶悪指名手配犯のV。 共に連邦生徒会に喧嘩を売った問題児である。 素直に話を聞くとは思えなかった。

 

そこで店員は店長へと目線を向けた。 きっとこの人ならどうにかしてくれると信じて。

 

『材料の買い出しいってきます。 by店長』

 

ファッ○ュー

 

店員はその置き手紙に書かれた文字に中指を立てた。 所詮ブラックマーケット、治外法権の住人の民度が高い訳ないのである。

 

さて、どうする?

 

いい加減帰らないとチャージ料金を取るとでも言うか? ダメだこの店が爆破される未来しか見えない。

 

誠心誠意で帰ってもらうか? ダメだ、帰るついでに爆破されるだろう。

 

何という事だ。 あのデストロイヤーワカモが入店した時点で破壊される未来しかなかった。 というか店長これ逃げたな。

 

「すいませーん。 ウェイトレスさん、緑茶お代わり!」

 

というかファミレスであったかい急須でいれたお茶を求めんじゃねぇよ。 というかそのテーブルに広げられた和菓子はなんだ食べ物持ち込んで食ってんじゃねーよ。 というかもうそれファミレスじゃなくていいじゃねーか。

 

「もそもそ、帰りたい」

 

そう思うなら帰ってくれ、今すぐ、直ちに、何もせず!

 

テーブルに突っ伏したVが和菓子を食べながらブツブツと呪言を唱える。

 

「もそもそ、先生の頭殴りゃ、記憶消せるか?」

 

だいぶ物騒な事考えていた。 コイツらまた連邦生徒会に喧嘩売るつもりか?

 

「はい? Vさん今なんとおっしゃいやがりましたかこのやろう」

 

「ん? 先生の記憶消してぇなって、思っただけだが?」

 

・・・おっと? なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。 店員は慌てて鍋を頭に被り厨房の奥に身を隠す。

 

「Vさん、私の話を聞いていやがりましたか? 私の殿方の先生との出会いの話を」

 

「聞いてる訳ねぇだろ。 何だその馬鹿丸出しな妄想トーク、もう100回は聞いたぞ、そんなに好きならさっさとシャーレにいって『抱いて』とか言えばいいだろ」

 

「だ、だいって、って!?!? そんな恥ずかしい事私には・・・」

 

Vが親指と人差し指で輪っかを作り、その間にもう片方の指を出し入れするジェスチャーを行なっている。 最低である。

 

「その動きやめなさい! 公共の場ですよ!!」

 

「その公共の場を破壊して回ってるの何処の誰だよ。 おかげでこの三日間あちこちの治安維持部隊に狙われてんだぞ。 ここまで長い期間警察に追われた記憶はナイトシティでもないぞ俺」

 

「ふふ、ナイトシティの常識は忘れなさいキヴォトス新入生、コレが私達の青春ですわ」

 

「オーケー、ついて行く相手を間違えたなこれ。 だからといって先生は全然なしだが」

 

「人の惚れた相手をシレッと貶すのやめません? 喧嘩ですか? 上等ですよ!」

 

そうしてワカモはVに飛びかかった。

 

 

ギャイギャイ! ギャイギャイ! ギャイギャイ! ギャイギャイ!

 

 

一通りの不毛な口論を続け30分後、そこには息も絶え絶えなテロリスト二人が出来上がっていた。因みに店の壁は吹き飛んでいる。

 

「ぜぇ、ぜぇ、それで? 次の仕事は何だよワカモ先輩」

 

「ぜぇ、ぜぇ、ええ、そうですわね。 堅実な会話にしましょうか。 後輩」

 

 

 

 

 

 

「今回は適当に募集されていた仕事に対して、私が貴方の推薦をいたしました。くれぐれも失敗だけはしないように。 依頼者はカタカタヘルメット団です」

 

「あれか」

 

俺の脳裏にはヘルメットの上にメガホンを乗せた紫色の集団が想像されていた。

 

「いえ、貴方の想像してるそれはヘルメット団の中でも異端児かと?」

 

ヘルメット団の異端児ってなんだよ、ヘルメット団は被り物しないと恥ずかしくて会話もできない異端児集団だろうが。 そう思ったが口にはしない、もう既にワカモ先輩とは10回は実力行使の喧嘩している。 もうややこしくしたくないのだ。

 

「で? そのヘルメット団がなんて?」

 

「なんでもカタカタヘルメット団は今アビドス高校を狙っているらしくて、攻略中の間に拠点の防衛を頼みたいと」

 

「は? 参戦じゃなく防衛? しかもワカモ先輩というテロリストのお仲間に? うっそだろ拠点吹き飛ぶとか考えてないのかそれ」

 

「何でも、もうすぐ攻略できる目処が立つらしく、戦力よりも何かあった時の備えとして拠点の盤石化を図りたい、だそうですわ」

 

ふーんと、ワカモ先輩の緑茶を奪い取り飲み干す。 顔に和菓子を投げられるがサンデヴィスタンで回避する。

 

「それ! 私の!」

 

「ここの金払ってんの俺だろうが先輩」

 

それにしても随分とくだらないことにサイバーウェアを使うようになったもんだ。

 

「んじゃ、行ってくるよ先輩」

 

ワカモ先輩と喧嘩しながらの日々で、少しづつだがキヴォトスの空気が理解できたような気がする。 ナイトシティの荒んだ日々は忘れられないが、今はこの青春の街を楽しもう。

 

「邪魔したな。 代金はこれで」

 

「あ、ありがとごぜーましたー」

 

銃撃が悲劇ではなく、悲鳴でもなく、死を招く訳でもない、青春を彩る1ページになる場所で、俺は再び、テロリストの相棒ができてしまった。

 

「ま、あいつより目の保養にはなるかな」

 

一度は落としたマロリアンアームズを腰にさし、振り向く。

 

「いってきます! ワカモ先輩!」

 

「ええ、いってらっしゃい後輩」

 

俺は生まれて初めて、笑顔で仕事に向かった。

 

 

 

その後、ファミレスは爆発した。

 

 

 

ACT1 END

 

TO BE NEXT CONTINUE...

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