サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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今思えばVの目的は撤退だから別にホシノを良心を痛めながらギタギタに叩きのめす必要なかったなぁ、と今更ながら気づき再投稿致しました。 だけどホシノとガチで戦わせてぇなぁ・・・心がふたつあるー!



23話 メインジョブ 『砂塵の逃亡劇』 8

アビドス自治区市街地

時刻は8時過ぎ、周りに通行人や店が広がる中、俺たちの戦闘は遠巻きに見られていた。 ある者は巻き込まれまいとそそくさ立ち去り、ある者は野次馬根性で見物していた。

 

「いくよ、シロコちゃん、ノノミちゃん!」

 

「うん、援護する」

 

「手筈通りに行きますよ〜」

 

相手の陣形はホシノがフロントで盾とショットガンを構え、シロコがミドルでホシノのフォロー及びドローンによる牽制、ノノミ呼ばれたミニガンを抱えた生徒がロングレンジで戦況を見渡している。

 

俺の目標は彼女たちを完全に撒き、痕跡を出来るだけ残さず撤退すること。 セリカという猫女とドローンがいなくなったお陰でだいぶ逃げやすくなった筈だ。

 

「あー、意気揚々なところ悪いが俺はもう退勤時間だ。 逃げさせてもらうぞ」

 

ホシノのフリをする必要がなくなった俺はいつも通りの口調でそう言い捨て光学迷彩起動させて姿を消そうとした、その時だ。 ノノミの持ったミニガンが唸りを上げて回転を始めた。

 

「逃しませんよー⭐︎」

 

おっとりとした口調の直後、耳を劈くような銃弾の雨霰が俺に、いや、俺諸共周囲一体を破壊の限りを尽くした。 遮蔽物として使える店の看板やガードレール、置きっぱなしの車すらも砂煙を巻き上げて蜂の巣へと変えていった。

 

「とんでもないことするな嬢ちゃん!?」

 

ギャップに驚きながらダッシュでミニガンの斉射を回避したが、光学迷彩で消えてる俺の元へとホシノが走りながら迫ってきていた。

 

「そこだね!」

 

「ちぃ! ミニガンが巻き上げた砂埃が悪さをしたか!」

 

何か金属でも含んでいたのか、巻き上げられたアビドスの砂が俺に張り付いて光学迷彩が効果を発揮し切らなかったようだ。 そのまま半透明な俺とホシノは至近距離にショットガン合戦へともつれ込んだ。

 

俺がカーネイジGUTSを両手で構え迎撃するように発砲。

 

ホシノはそれを真正面でなく斜めにした盾で受け流し、ピストルグリップによって片手持ちによる運用が可能になったセミオートショットガンを雑に乱発してくる。 下手に狙いをつけてすらいないので逆に避けづらいな。

 

ジャンプとダブルジャンプで横方向でなく縦方向に回避し、見下ろすようにカーネイジを構える。しかしそこへシロコのアサルトライフルの援護射撃が加わった。 援護射撃が何発か命中し、俺は下にいるホシノへの攻撃を止め、空中ダッシュで距離をとって仕切り直しを図る。

 

「上手い援護だな!」

 

「おじさん自慢の後輩だよ」

 

幸いにもシロコの射撃は俺の皮膚アーマーを貫く事はなく、少ないダメージで済んだ。 だがホシノから距離を離すと今度はミニガンの射撃が襲いかかってきた。

 

「厄介だなそれは!」

 

ダッシュとスライディングで何とか回避しようとするが、遮蔽物は先程の射撃で全て使い物にならなくなってしまった。 流石に全てを回避しきれず数発が俺のアーマーを貫通し被弾してしまった。 そして光学迷彩の効果がこのタイミングで切れてしまった。 それによりシロコの援護射撃の回数が増え、更に戦況は険しいものへと発展していった。 念の為、光学迷彩を量子チューナーを使って即座にクールダウンを完了させる。

 

「クソ! こっちは対物弾のミニガンかよ!」

 

二人の使うミニガンとアサルトライフルに追い込まれ、俺はホシノへと近づいてしまっていた。

 

「やあおかえりー」

 

「ただいま、とは言いたくなかったけどな!」

 

そして再びホシノとの至近距離戦が始まるが、シロコの援護射撃、ノノミのミニガンの斉射による回避方向の制限によって、苦しい戦闘が押し付けられていた。 俺もカーネイジを発射させるが巧みな盾捌きによって全て受け流されていた。

 

「隙あり!」

 

「ぐっはあ!!?」

 

遂にシロコの射撃によって態勢を崩され、ホシノのショットガンからいい攻撃を貰ってしまい吹き飛ばされてしまう。 コイツも対物弾のショットガンかよ。

一気に体力が減らされ生体モニターが反応、血液ポンプが起動された。 これで血液ポンプは品切れだ。 増やすためには食事か何かで血を補給しなくてはならない。

 

 

 

だがこのままでは終わらない。

 

 

 

「あまりスマートじゃないから好きじゃないが、こうなったらゴリ押ししかねぇよなあ!!」

 

血液ポンプによって俺の体からアドレナリンが分泌され、活性化を促していく。 頭をハイにしながら俺は吹き飛ばされた状態から無理やり態勢を整え、一番厄介なミニガンを無力化に向かう。

 

 

 

「アドレナリンラッシュだああああ!」

 

 

 

アドレナリンラッシュ

血液ポンプと回復アイテムを使用した際に体にアドレナリンを流し込む事によって、一定量の痛みを誤魔化して本来なら不可能な突撃を可能とする肉体技能だ。 さらにこれに『ジャガーノート』による移動速度上昇、『不屈』によるダメージ以外の状態効果無効が加わっている。

 

俺が即座に復帰した事に驚きながらも、ノノミはミニガンを真っ直ぐ突っ込んでくる俺に向けて斉射を敢行した。 肉体と技能に任せたゴリ押しである。

 

「ドルフヘッドもあるんだよ!!」

 

『ドルフヘッド』は自身が回復した際、2秒間の間だけだが一時的に肉体から痛みを取り去りダメージ軽減してくれる肉体技能だ。

 

「いや滅茶苦茶するねニセモノのおじさん!?」

 

「ミサイルドローン、発射!」

 

俺がミニガンの攻撃すら真正面で受けながら無理やり前進していると、背後から爆発が襲いかかってきた。 シロコは俺をミサイルの爆風で動きを止めるつもりだったのだろうが、アドレナリンはまだ残っている。 『不屈』によって進む俺を止められない。

 

「うそ!」

 

「ノノミちゃん逃げて!」

 

アドレナリンが切れたのと、ノノミが慌てて逃げ出そうとしたのは同時だった。 ダッシュで距離を詰めながらカーネイジを構える事でサイバーウェア『ケレズニコフ』が起動。 突撃する俺を追いかけてくるホシノとシロコもノノミも全員の動きが遅くなってる中、カーネイジGUTSを発砲。 重苦しい大砲のような音と衝撃がノノミを襲撃した。

 

「きゃああ!!」

 

カーネイジの威力は尋常じゃない、それもカスタムされた代物なら尚更だ。 その威力は普段使いしてるマロリアンアームズすら比較にすらならない程だ。 ノノミはその威力に吹き飛ばされ、アスファルトの上を転がる事になった。

 

「流石に、倒れてくれた……よな?」

 

……まさか死んでたりしてないよな? 一応俺はスキャンモードでノノミの体を調べ、生体反応の有無を確認した。

 

生体反応有り、身体に異常なし

 

「ようやくミニガンを止めれたな」

 

カーネイジの弾を食らっても五体満足なキヴォトス人の耐久力を再認識した俺は振り返りながら、残り2人に向かい合う。

 

「さて、まだ続けるかお二人さん?」

 

「当然! 私はまだ戦える!」

 

「まあおじさんもアレだけコケにされて黙っていられないよねー」

 

シロコはアサルトライフルを構え、ホシノがショットガンを片手で突きつけるように構えてくる。 どうやらまだ戦意旺盛のようだ。 だがそれに付き合ってやる筋合いは此方にはない。

 

「正直な、昨日からずっと働きっぱなしで辛いんだ。 だから、トンズラ放かせて貰うぜ」

 

ミニガンの巻き上げる砂煙さえどうにかできれば光学迷彩はちゃんと機能する。 そうすれば例えアビドス最強の小鳥遊ホシノといえど追うことは出来ない筈だ。

 

「……うーん、それじゃあ厳し過ぎるかな。 シロコちゃん、アビドスに帰ろっか」

 

「ホシノ先輩!?」

 

「アヤネちゃんのドローン追尾もなしにこの子を追うのはいくらおじさんでも無理だよー、シロコちゃんのドローンはあくまでも攻撃用だから捜索は出来ないし、私達が勝つにはここで仕留めるしかなかったんだよ」

 

ホシノも渋々ではあるものの、戦闘を中断してくれた。 だがその顔はとても諦めたように見えず、寧ろ面白いモノを見つけたような交戦的な色を瞳に宿していた。 俺はホシノの判断と不敵な笑みに安心していいのかわからず引き攣った笑みを浮かべた。

 

「ねえ、ニセモノのおじさん……今思うとちょっと呼びにくいね……よし、じゃあゴーストちゃん!」

 

「ゴースト、俺のことか?」

 

「うん、君の名前。 正体も目的も不明の私のそっくりさんだから。 もしかして教えてくれるの?」

 

「まさか、黙秘権を行使させて貰うよ」

 

手をヒラヒラと振って勘弁してくれと伝えると、ホシノが気の抜けたようなニヘラとした顔つきになり、シロコが此方を仇でも見るかのように睨みつけてきた。

 

「むう、たった一人に出し抜かれてしまった……悔しい」

 

「シロコちゃーん、おじさんも悔しいよー、だから帰ったらみんなで反省会だね」

 

シロコが目を回したノノミを背負って、ホシノが盾を畳んでショットガンをしまってバランスを崩しかけながらミニガンを抱き抱える。

 

「おっとと、いやー小さい体は相手の弾が当たりづらくて楽なんだけど、こういう時大変だねー。 ノノミちゃん大丈夫?」

 

「うぅ〜、全身がヒリヒリします〜」

 

まだ意識あったのかよ。 カーネイジで吹っ飛ばされてヒリヒリで済むわけねぇだろ日焼けに失敗したわけじゃねぇんだぞ。

 

「ついさっきまで撃ち合いしてたってのに、なんでこんな和気藹々としてるんだ?」

 

シャーレでの先生といい、今回の戦闘といい、どうにもこの空気に収まりの悪さを感じてしまう。 まるで自分の居場所はここでないと突きつけられてるようだ。

 

「……疲れて変なこと考えちまったかな」

 

「ねーゴーストちゃん」

 

小鳥遊ホシノが此方振り返りながら、口を開いた。

 

 

 

 

 

「楽しかったね」

 

 

 

 

 

何でもないことのようにそう言ったのだ。

 

「……」

 

「あ、あれ? どうしたのそんな豆が鳩鉄砲食らったような顔して」

 

「豆? 鳩?」

 

混乱するシロコを放ってホシノは俺の顔を覗き込んで、ん? と何かを待つように、いや、促すように小首を傾げた。 俺は諦めたように息を吐いて、お望みの言葉を出した。

 

「それを言うなら鳩が豆鉄砲、だろ」

 

ホシノはニッと太陽のように笑い、手を振って走り出した。

 

「じゃあね、まだおじさんは君のこと許してないから、次会う時が決着の時だよー」

 

「ん! 次こそリベンジ!」

 

その手は何故かピースの形をしていた。

 

「敵わねぇな」

 

メインジョブ 『砂塵の逃亡劇』

・対策委員会から逃げ切る

 

ジョブ完了

 

神秘ポイント+1




ホシノとのガチ戦闘はact2までお預けにしようと思います。

話の筋は通ったけど、だいぶインパクトが下がった気がするなぁ。 うむむ、これは最初にインパクトの強い方を上げてしまった私の判断ミスが招いた結果で、反省しなければ。

以前の話は没案として上げようと思います。

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