Vとワカモの連邦生徒会襲撃、ワカモの手によってありとあらゆる物が破壊され、略奪され、燃やし尽くされた連邦捜査部シャーレの初仕事は、年末年始かと間違えそうになる大掃除から始まった。
ワカモ撃退後、シャーレの部室すらも粉々に粉砕された様を見た主席行政官様は即座に電話。 すぐさま連邦生徒会の生徒達が大人数で押しかけ、破壊されたセキュリティシステム、家具、窓ガラス、扉、散らばった薬莢などを七神リン主導で片付けを指揮し、新たな家具をシャーレの部室に搬入、それで一日を終えてしまった。 いや、一日も費やしてしまったのだ。
「まだ仕事が溜まっているというのに……!」
額を押さえて怒りを押し殺すリンを尻目に、ユウカ、ハスミ、チナツ、スズミ達はワカモと傭兵V、先生や連邦捜査部シャーレの事を報告する為にそれぞれの学園に帰っていった。 それに彼女達はそれなりの立場らしく、長いこと学園を空けるわけにはいかない、との事だ。
“みんな、お疲れ様”
「これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください。 先生」
同じくトリニティ総合学園のスズミがぺこりと頭を下げた。
「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。 ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ訊ねてください」
「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも? 先生、ではまた!」
そして翌日、シャーレの部室にて先生は七神リンが新たに用意してくれた書類に目を通していた。 そこには『支援物資の要請』『部の支援要請』『落第生への特別授業』『環境改善』などの連邦生徒会に送られた苦情の数々が寄せられていた。
連邦生徒会は今まで行政執行権の喪失で滞っていた仕事と連邦生徒会長捜索に力を出し切っている状態で、他に割く余力がない。 その為、先生にも仕事を回されてきたのだ。
だが、その量は余りにも膨大で、とても一人では捌き切れるものではなかった。
そこへ、昨日シャーレ奪還の為に共に行動をしたユウカが様子を見に来てくれたのだ。 事情を察したユウカはミレニアムサイエンススクールのセミナー会計担当としての力を遺憾なく発揮してくれた……のだが。
「先生、いくらなんでも多すぎです。 これ苦情だけじゃなく、ワカモに破壊された物の請求書も混じってるじゃないですか。 しかもセキュリティの見直案まで……」
次から次へと送られてくる連邦生徒会からのお土産に辟易とし、そして遂にユウカは勢いよくスマートフォンを手に取った。 タプタプと画面に文字を押すこと数分、再び厳しい顔をしながら書類へと向き直った。
「……」
“……”
黙々と作業すること数時間、外から昼の12時を告げるチャイムが鳴ると同時に、二人は思いっきり背筋を伸ばした。
「“あ゛ー……”」
最早死に体だった。 ふらふらと立ち上がる先生、机に突っ伏すユウカ、そして何より精神にダメージを与えたのは、幾らやっても消えない書類の山と段ボール。 昨日の今日で年末前のデスマーチの如くの仕事量に完全にグロッキーだった。
“ユウカ、何か買ってくる?”
「……イナズマ印の栄養ドリンクでお願いします」
シャーレ居住区にあるエンジェル24へ出かけようと扉を開けると、そこにはバツの悪そうな顔をした連邦生徒会の生徒が段ボールを持っていた。
「あ、あのー、コレもシャーレ宛に届いています……」
“うん、ありがとうね”
先生はいつも通りにニコニコとした顔で受け取り、再びシャーレの部室に戻ると、仁王立ちしたユウカがそこにいた。
「先生」
その顔は般若の如し、バックでは何かがメラメラと燃えており、その拳は硬く握られていた。
「私、栄養ドリンク、言った、ダンボール、違う」
どうやら余りの怒りで接続詞が頭から吹き飛んでしまったようだ。 だがその様子に慌てる事なく、先生は鎮火作業を行った。
“ごめんねユウカ。 辛かったらいつでも休んでいいから、もう少しだけ力を貸してくれないかな?”
先生が申し訳なさそうに、手を合わせて頭を下げると、『冷酷な算術使い』と謳われたセミナーの会計は後ろにたじろぎ、諦めたように息を吐いた。
「わかりました先生。 ですけど、私だってセミナーとしての仕事もあるので、ずっとはいられませんからね」
あの傭兵Vですら断れなかったお願いを、早瀬ユウカが断れるわけがなかったのである。
「先生、此方の書類は如何致しましょう?」
“それは私の机の上に置いといていいよ”
「先生、此方の書類のご確認と判子を」
“うん、ありがとうチナツ”
「えっと、あれ? 確かコレって……」
「このダンボールへどうぞ。 どう考えても先生が処理する紙ではないので連邦生徒会に返してやりましょう」
先生とユウカがお昼を過ごし、しばらく仕事に打ち込んでいると、チナツとハスミとスズミが応援に駆けつけてくれた。 どうやらユウカがスマートフォンで連絡を取ってくれたのは彼女達だったらしい。 そこからはようやく紙とダンボールが減り始め、数時間、ついに仕事がひと段落ついたのだ。 残りは急ぎの書類ではないので慌てる必要はない。
“みんな、ありがとう!”
「とりあえず、コレで一区切りですね」
「問題は提出した書類が連邦生徒会が受け取ってくれるかですね」
「うぅ……みんな、ほんっとうにありがとう。 二人だけだったらいつまでも終わらなかったわ……次から次へと書類を持ってきて……連邦生徒会の連中め……」
「大丈夫ですか、ユウカ? もしよろしければ、此方に向かう途中で購入したアイスでも食べませんか?」
そこでふと時間を確認すると午後3時を回っていた。 おやつタイムには丁度いい時間だ。だが……
“えっと……”
「ハスミさん?」
「コレは……」
「……」
量だ。 余りにも多すぎる。 その数なんと箱三個分。 コレには先生も苦笑いを浮かべていた。
「?」
「どうしましたみなさん? もしかしてアイスがお嫌いでしたか?」
「いやそうじゃない。 そうじゃないのよ」
「流石にこの量は……」
“食べれないかな……”
全員が食べるのに、いや、あまりの量に拒否の感情を出してしまっていた。
「なるほど。 ご安心ください。 余った分は全部私が食べますので」
「「「“え゛”」」」
食べれるの? というか腹を下さないか? というか乙女として、その、質量的な物を気にしないのか? とか様々な疑問が生徒達の脳裏を過ったが、先生が先に口を開いてしまった。
“ハスミ、このアイスどうしたの?”
「なんでも『モモフレンズ』? というのとコラボしてるとの事でしたので、気になってしまいまして。 私の所属している正義実現委員会の中にはファンの子もいるみたいでしたので、それで買ってみたのです」
ハスミがカバンから取り出したのは、白い鳥のぬいぐるみにアイスを口に突っ込んだような、そんな奇抜なデザインがされたぬいぐるみだった。 全員がそれを怪訝な目で見ている。
「なかなか斬新な人形、ですね」
「確か、自警団の中にもファンの子がいましたが、こんな感じだったとは」
「……これ、ゲヘナで転売しようとしてる生徒がいましたね」
この場にいる誰もが想像できなかっただろう。 まさかこのアイスを口に突っ込んだペロロ人形が、100個限定の超レア物のレジェンダリー級アイテムだと言う事は。
「イチカから電話? 失礼します先生」
まさかどこぞの暴走車が走り回り、警備強化状態の正義実現委員会とドンパチしたせいで道路に面したアイス屋が軒並み閉店し、ペロロ人形の入手が更に困難になった事。
「イチカ? どうしました? ……赤い暴走車……孤坂ワカモ!?」
その結果、ショッピングモールにあるアイス店でしか入手できなくなってしまった。
「うぅ……ヒフミちゃん、実はね」
その情報を親しい友人アイリから聞いた、とある少女は。
「絶対に手に入れて見せます! 待っててください、ペロロ様!!」
「なあワカモ先輩、本当に金なしで大丈夫か?」
「ええ、ご安心ください」
運命の邂逅を果たすのだった。
本当はシャーレの後処理にc&cでも出そうかと妄想したけど、花のパヴァーヌが初対面の可能性があったのでそっちの話は没になりました。
貴方はどれくらい知識がある?
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サイバーパンクは名前だけ知ってる
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サイバーパンクで知らないことなど何もない
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サイバーパンク? なんそれ?