サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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早く来月に・・・そうすればマキちゃんお出迎え・・・うへへ


33話 メインジョブ 『悪友/』 8

トリニティ自治区のショッピングモール、トリニティ総合学院から少々離れた位置に建てられた商業施設は現在、ちょっとしたボーナスタイムに入っていた。

その理由はどこぞのテロリスト2名と正義実現委員会が公道で火花散らす激しいカーチェイスをぶちかましたせいで、周辺の店は大小様々な被害を受けた為だ。

少々銃弾が飛んできた程度なら何ら問題なく営業可能だが、流石に重機関銃の流れ弾や跳弾で蜂の巣にされたら溜まったものではなく、しまいには正義実現委員会の車両が輸送車に跳ね飛ばされ大手チェーン店へと突っ込んでしまったのだ。

 

 

 

蛇足だが、コレにより当時自治区パトロール隊を指揮を担当していた仲正イチカの反省文フルコースは確定された。 そして連邦生徒会長失踪による影響に対する警備強化期間中にテロリストを逃した正義実現委員会には、とてもありがたーい、トリニティのご令嬢方のご意見が殺到したのは想像に難くない。 ハスミはやけ食いした。

 

 

 

閑話休題

そんな激しいカーチェイスから逃げつつも、同時に女子高生らしいショッピングも楽しみたいというのが銃撃戦が日常と化してるキヴォトス人特有の感性だろう。

結果、導き出された答えがカーチェイスができない場所での買い物、そのうちの一つがショッピングモールだったのだ。

 

 

 

まあ、とどのつまり

 

 

 

「あうう……結構混んでますね……」

 

普通の生徒を自称するペロロという個性的なキャラクターをテストをサボるレベルで超愛する乙女、阿慈谷ヒフミの前に、生徒の波が出来上がっていたのだ。

 

「アイリちゃんから聞いて、ここにアイスを買いに来たのはいいのですが……」

 

しかも人混みのせいか、僅かだが熱気を孕んだ空気になっており、件のアイス屋が結構な行列になっていた。

 

「か、買えるでしょうか?」

 

アイスを買うことはできるだろうが、問題は特典を引き当てることが出来るかどうかである。 この行列の誰かが超レアのペロロ様人形を引いたらおしまいである。

 

「確か、アイス3個で一回クジを引けるから……うーん……でもお一人様5回までだから……ううーん……」

 

頭の中で財布の中身と睨めっこしてもグルグルと巡る不安感、誰かが引いたらどうしよう、もしも有り金全部叩いても引けなかったら。 そんな嫌な考えが頭を過っていた。

アイス屋のコラボ看板を覗いてみるが、幸いにも特賞のペロロ様人形は誰も引いてないようだ。

 

まだ安心とはいかないものの、出鼻を挫かれる事は無かったことにホッとひと息をつく。 すると看板の裏手側、業務員用の扉の隣で誰かが通話してる姿が目に映った。

 

 

 

「こっちの警備室と警備員は始末した。 電気系統にも細工は完了。 貨物が出入する搬入口も封鎖した。 後はどうする?」

 

『ご苦労様です。 此方も爆弾を仕掛け終わりました。 後は私達が乗ってきた輸送車に簡単な座標移動機能を私がアップロードするので、後輩はしばらく休憩していてください』

 

「いいのか? なんだったら俺も手伝うが」

 

『ふふ、後輩には後でたっぷり、それもとびっきりに働いてもらうつもりなので』

 

「……わかった、お言葉に甘えさせてもらうよ」

 

 

 

その人は肩にかかる程度のプラチナブロンドの綺麗な髪をしており、全体的に細く華奢な体に黒のTシャツに青いジーンズ、腰に銀色に煌めく拳銃を差した女性だった。

 

「んー、どうすっかな。 適当に手すりにでももたれ掛かって時間でも潰すか……?」

 

と、そこでヒフミの視線に気づいたのだろう。 銀色の拳銃を持った女性、Vが行列の最後尾に並んでる彼女の元に近づいてきた。 動きは緊張感も感じさせないリラックスそのものだが、その目はヒフミを疑うように睨みつけていた。

 

「そこのチーカ……つっても伝んねぇか、お嬢ちゃんは俺になんかようか?」

 

「え!? あ、その、そこの看板を見ていたら、この辺じゃ見ない人がその後ろにいて、つい……」

 

「看板?」

 

Vが元いた場所へと振り向くと、そこにはアイス屋のコラボ看板が置かれており、三角コーンを被ったウェーブキャット、アイスのカップを持ったスカルマンなど、モモフレンズ達がアイスと映るの絵が載っていた。

 

「アイスと……なんだありゃ? タケムラが言ってた妖怪って奴か?」

 

「モモフレンズです!! 最近キヴォトスで流行しているキャラクター達なんですよ! 断じて妖怪ではありません!!」

 

「お、おう……」

 

ヒフミから放たれるモモフレンズへの熱い想いから目を逸らして、次の看板、モモフレンズの看板の横にある看板へと目を写した。

看板はメニュー代わりになっているのか、色んな種類のアイスが記載されていた。 その中でもイチ押しと書かれた物があったり、新登場と書かれたアイスがあったりと、Vの関心を強く惹きつけた。

 

「チョコチップ、ミント、オレンジ、バニラ、モンブラン、バナナ、ブルーハワイ、エトセトラ……ふむ」

 

なにせVはナイトシティでアイスという物を食した記憶がなかった。 アイスという食べ物の存在は知っていたが、別にそんな美味しい物でもないだろうと勝手に決めつけ、酒を呷っていた。

だがキヴォトスなら話は別である。 ここの料理や食べ物はナイトシティの残飯共と比較にならないほど美味で、舌触りも、食感も、味も、何もかもが別次元だからだ。

 

「……結構いい値段するな」

 

だが懐は寂しかった。 弾薬やグレネードの補給で失った金が余りにも多かった為である。 シャーレ襲撃、アビドス連中との追いかけっこ、この戦闘での消耗した補給が全部自腹である。 確かに報酬は貰ったが、オーナーからの報酬はビル所有権、金ではないのだ。 つまりワカモから貰った3万円から引かれる形になっている為……

 

「一万切っていやがる……!?」

 

金欠状態だった。 クレジットに示された数字の桁が残り四桁だった。 もしコレが円ではなくユーロドル表記ならどれだけ良かったか。

 

「流石に使うわけにはいかないよな。 また今度だ」

 

クレジットをポケットに閉まって立ち去ろうとするVだったが、そこで服の裾を掴まれ、待ったがかけられた。

 

「ん? なんだよ嬢ちゃん? まだなんかあんのか?」

 

「あの、アイスが食べたいのですか?」

 

「あー、別に施しはいらねぇぞ。 確かに懐は寂しいが、年下から奢ってもらうほど落ちぶれた覚えはないしな」

 

「え!? あ! いえ、そうではなくてですね、貴方さえもしよろしければ、私と一緒にアイスを買っていただけないでしょうか」

 

「……あん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどなぁ、アイスについてくるくじ引きのキャラクターが目当てだと」

 

「はい、私どうしてもペロロ様が欲しくて、でもたくさん買っても一人じゃとても食べきれなくてですね……お恥ずかしいのですが、アイスを消費するのを手伝っていただけませんか?」

 

ワカモ先輩からの任務を無事達成した俺は、ペロロなるキャラクターを狙っている生徒と一緒にアイスの行列に並んでいた。

 

「そういうことなら。 というかただ食うだけってのも忍びないし、なんだったら俺も一緒にクジ引いてやってもいいぞ? 二人なら10回分引けるだろ」

 

「いいんですか!! で、ではよろしくお願いします……えーっと、お名前は?」

 

「Vだ。 傭兵をやってる」

 

「私、阿慈谷ヒフミって言います。 よろしくお願いしますね、Vさん!」

 

まさかこの出会いが、俺をエデン条約に巻き込む縁になるとは、この時は想像もできなかった。




ヒフミちゃんの話し方ってコレでいいのだろうか・・・違和感あればご指摘いただけると助かります。

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  • サイバーパンクで知らないことなど何もない
  • サイバーパンク? なんそれ?
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