サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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遅くなって本当に申し訳ございません!!

今回、いつもの倍ぐらいの文章量になっております!!


36話 メインジョブ 『悪友/CHIPPIN‘IN』 11

「だーー!! テメェらいつまでも揉めてんじゃねぇ! 取り敢えずあのスカした銀銃女をぶちのめせばいいんだよ!!」

 

「そ、そうだ! 何もあのイカれた正義実現委員会の血濡れ女を相手にするわけじゃない!! お友達に見放されてたった一人、数で押し潰せばいける!」

 

赤いヘルメットを被ったリーダー格の生徒がキレ気味に叫ぶと、取り巻き共もようやく腹を括ったのか、此方に銃口を向けてきた。

 

「ん? もういいか? それとも両手を上げてうつ伏せになっててやろうか? ハンデは必要だろ、三下未満ちゃん」

 

「ぶっ殺せええーーーー!!!」

 

余りの怒りで震える数多の銃身から放たれた銃弾を、サンデヴィスタンを使いながら、首を傾け、体を横にして、ゴリラアームで弾き飛ばして、まるで人混みでも掻き分けるかのように回避する。

 

「あまり派手に動くと外野にも被害が出るしな」

 

俺を通り過ぎた銃弾達は背後のアイス屋に殺到、ショーケース諸共アイスを美味しくいただいたようだ。 俺は食ってないのに。

 

「今からでも食うか? いやでも卑しいか・・・」

 

「リーダーどうしよう、弾はすり抜けるし、私らガン無視してアイスに熱視線向けてますよ!?」

 

「あのやろう・・・完全に舐めてやがる、だったら!!」

 

何かを企んでいるのか、赤いヘルメットのリーダーが2階へと上がって更にバックヤードの扉を潜って姿を隠してしまった。

 

「どんな隠し玉があるのやら・・・待っててやるか」

 

不良生徒の秘密兵器とやらが気になるので律儀に待ってやるとするか。 それに此方も色々と試してみたい事もあるので、それも済ませるとしよう。

 

その様子を見ながら、マロリアンアームズで照準も覗き込まずに適当に攻撃していく。 当然全部当たらず、あらぬ方向へと飛んでいく。

 

「真面目に戦えテメー!!」

 

「ふざけてんじゃねえ!!」

 

非難轟々である。 真面目にやったら一瞬で方がつくのだがそれでいいのだろうか?

 

「試しにやってみたが、やっぱりサイバーウェアの補正や強化なしじゃこんなものか。 SMGやARなら人並みに扱えると思いたいが・・・」

 

全くもってサイバーウェア様々だ。 ナイトシティの科学技術万歳。

 

俺はキロシと手のインプラントを連動させて照準を覗き込み、三下未満共にピントを合わせる。

 

「やべ!」

 

照準を向けられてる不良2名は慌てて2階を支える支柱に隠れる。 だがそれじゃあ無理だ。

 

「弾道コプロセッサ」

 

俺のキロシに弾道予想線が表示され、隠れた敵の背後の壁へと発砲。

 

「あの野郎また適当に・・・いだっ!?」

 

「え、一体何が・・・ぐへ!?」

 

壁へと放たれた弾丸は跳弾し、隠れた敵の肩、そしてもう一人の腰へと命中した。

 

「うーん、サンデヴィスタンを使えばヘッドショットも狙えたが・・・やっぱり俺にはハンドガンのセンスがないんだな」

 

カーチェイス中に3キロ狙撃しといて何言ってんだコイツ、と思うかもしれないが、アレだってサイバーウェアの補正や強化モリモリでギリギリで出来た荒技である。 しかもサンデヴィスタンまで使用してたっぷり時間かけた挙句に馬鹿でかい対物ライフルに命中、体にすら命中していない。

馴染みのガンショップ、俺の住んでいたメガビルディングで経営していたカスタマイズ親父のウィルソンに見られてたら・・・

 

『テメェどこに目をつけてやがる! 銃のマガジン取り替える前にテメェのキロシを取り替えてやろうかこのスットコドッコイ!!』

 

・・・うん、本当に見られてなくて良かった。 もし見られていたら絶対に射的大会の新しい的当てにされていただろう。 比喩や誇張抜きで、本当に。

 

俺が背中に悪寒を走らせていると、今度は2階に回り込んでいた敵が3人、マシンガンのバイポットを手すりに構えて一斉射撃を加えてきた。

 

「おっと」

 

射角から逃れるようにダッシュし、ジャンプ、そしてエアダッシュであっという間に移動する。

バイポットを構えていた連中は慌てて展開していたマシンガンを片づけ、腰撃ちで対応しようとするが当然当たるはずもない。

 

「ふあ、あくびが出るぜ」

 

わざとらしく口を大きく広げ、それに手を当てる俺。 更にヒートアップして苛烈になっていく敵の銃撃。

そんな様子を外野の連中は、最初のうちはよくある小競り合いと野次馬根性で見ていたが、それも次第に不安に変わっていった。

 

「な、なあ? 流石に危なくないか?」

 

「ここまで激しくなると、正義実現委員会が出てくるよね?」

 

「というか、ここの警備員とセキュリティはどうしたんだ?」

 

「巻き込まれないうちに離れた方がいいか?」

 

 

 

そこで、戦局が大きく動き出した。

 

 

 

ガシャン、と地面を揺らすような重苦しい音がバックヤードから聞こえてきた。 

 

「この音は?」

 

物をガラガラと倒す音、何かを壊す音、様々な破壊音が聞こえた壁の先から、コンクリートを吹き飛ばし現れた。

 

「おいおい、こんなものまで出てくるのかよ」

 

コンクリートを潰した事で生じた煙のベールから最初に覗いたのは、黒い銃身だった。

特徴的な三つの砲身、とても人の身では扱えるわけがない規模、取り付けられたマズルガードに、複雑な機構をした銃そのものを守るためのシールド、そしてその上に鎮座する巨大な弾倉。

 

それを片手で掴む巨大な人形の影。

 

「待った甲斐はあったか」

 

砂煙が晴れ、それに搭乗した赤いヘルメットのリーダーがガチャガチャと左右にあるレバーを倒したり、ペダルを押したりして操縦するそれは

 

「どうだーー!! このパワーローダーならいくら噂の銀銃と言えど、手も足も出まい!!」

 

「なんだ、ただの建設用のパワードアーマーか」

 

現れたのはコックピット部分に防弾ガラスも張られていない、戦闘で使うには難ありとしか思えない人の形をしたフォークリフトだった。

 

俺はてっきり、メイルシュトロームのリーダーだったロイスが装着してきたサイバーウェア、ミリテク製の強化外骨格であるケンタウロスのような凶悪な兵器かと想像したのだが。

 

「特に難しい仕組みでもないガトリングガン、その上誰かのお古でばっちりコーデってか? せめてヒートウェーブキャノンくらい持ってこいよ、時代の最先端から遅れてるぜ田舎娘」

 

回り始めるバレル、流石にヤバいと慌てて逃げ出す野次馬共、敵の不良共はいつの間にか2階に避難して自分達のリーダーに声援を送っていた。

 

「誰が田舎娘だーー!!! こう見えてバリバリの元トリニティのお嬢様だこらーーーー!!」

 

そして遂に、甲高い音と共に、圧倒的な量の弾丸が火を吹いた。

 

ヴーーーーーーーーーーー!!!!!!

 

周りの「そうだったの!?」という声を掻き消してガトリングガンがうなりを上げた。

 

「お嬢様っていうには上下ジャージのヘルメット姿はなぁ。 なんか幻滅しちゃうなぁ」

 

ジャンプとダブルジャンプでパワーローダーを跳び越えるようにして銃撃を回避して、エアダッシュで物陰へと移動する。

パワーローダーは俺を追いかけようと銃弾をばら撒きながら方向転換をし、ありとあらゆる物を破壊に巻き込みながら俺へと向かってくる。

 

「ぴょんぴょんと、跳ねてんじゃねぇ!!」

 

視界の端では大慌てで逃げ出す客達と従業員達、分厚い防災シャッターが下ろされ、エレベーターも緊急停止されたアナウンスが流れる。 ショッピングモールで人気商品などを紹介していたスクリーンは非常口への案内へと切り替わり、全員そこへと雪崩れ込む大惨事になっていた。 ヒフミを早めに逃して正解だった。

 

よし、ここまで大きな騒動になれば間違いなく正義実現委員会、そしてそのトップもやってくる事だろう。

 

「正義実現委員会の前に、軽い前菜をってか」

 

「ほざけ! 避けてばかりじゃねぇかよ銀銃!」

 

跳び回りながらマロリアンを発砲するが、コックピットを狙った銃弾はガトリングガンに搭載されたシールドに塞がれてしまった。

 

「・・・・・・あれ?」

 

と、ここで違和感に気づいた。

 

「脆弱性分析が発動しない?」

 

「隙ありだ!!」

 

脆弱性分析、それは敵のアーマーやサイバーウェアの弱点や装甲の浅い所を自動的に検知するミリテクの戦闘データの一つだ。

 

パワードアーマーが相手なら発動するはずだが・・・・・・

 

俺はパワードアーマーの突撃を闘牛士のように引きつけてからクルリと回避して、不良達が避難していた2階の支柱へと打つける。 パワードアーマーが仰向けにずっこけ、起き上がれないブリキ人形のようにジタバタしてる様子を尻目に、顎に手を当てて考え始める。

 

「ちょっと!? もっと周り見て戦ってよ!!」

 

「うるせー!! まだマニュアル見ながら操作してんだよ!!」

 

「だからそれもうちょい練習してから使ったほうが良かったですって!」

 

「ある程度はオートで補助しますって書いてあったからイケると思ったんだよ!!」

 

「その補助、絶対戦闘用のサポートじゃないよね。 建設資材運ぶようだよね!?」

 

「元気だなアイツら」

 

戦ってるというのに如何にも気が抜けてしまう。 顎に当ててた手を首に回し、何処となく感じる場違い感に辟易して・・・気づいた。

 

「首? ・・・・・・・・・・・・あ」

 

そりゃそうだ。

 

脆弱性分析ができるわけがない。

 

なぜならこの体には

 

「Relicがない」

 

そう、Relicが刺さってるのは向こうの体、ナイトシティの俺の体である。

 

「そもそもデクスのクソ野郎に撃たれたせいでRelicに欠損が生まれたから、その穴埋めにミリテクの戦闘データを入れた、とかソングバードは言ってたな」

 

自分の命を脅かしたRelicが無いことに安心を覚えればいいのか、せっかく集めたミリテクの戦闘データが全部無に帰した事を嘆けばいいのやら。

 

「でもデクスから撃たれた傷をナノマシンで直してくれたのもRelicだし、だけど死にかけるハメになったのもそもそもRelic強奪が原因だし、いや、そもそもアレはアラサカの親子喧嘩のせいか?」

 

なんかもうめんどくさくなってきたし、全部ジョニーのせいにするかー、と考えてるとワカモ先輩から貰ったケータイにメールが来た。

 

「もう到着するのか。 んじゃそろそろ玩具を片付けるとしますか」

 

俺がケータイをしまうと同時に、仰向けで倒れてジタバタしていたパワードアーマーが唐突に立ち上がった。

 

「よっしゃー! 復帰プログラム起動!! 待たせたな銀銃!!」

 

「だから説明書に書いてあったじゃないですか、横転した時の対処法! ちゃんと読んでくださいよ」

 

「なんで私が教科書より分厚い本を読まなきゃならないんだよ!!」

 

「そんなんだからトリニティを追い出されたのでは?」

 

「追い出されたんじゃねぇ、自分から抜けたんだ!! 隣の席のシスターフッドのリーダーが何企んでるか解んなくて恐ろしかったんだよ!!」

 

シスターフッド、ヒフミが言ってた組織の一つだな。 確か慈善活動や生徒のカウンセリング、啓発活動を行っている女子修道会、とかいう話だったが・・・・・・怪しい噂が絶えないという。

話を聞いただけだが、正直俺もほぼほぼ黒だと判断している。 どこをどうすれば女子修道会が治安維持機関と同等レベルの発言権を獲得できるというのか。 絶対に裏で秘密工作の一つや二つはしているし、自分達に不都合な存在を消していると言われても疑わない。

しかもしまいには宗教が絡んでいるときた。 啓発という名の洗脳としか思えない。

 

「しかも周りも派閥がどうのこうのと・・・・・・私のしたい青春はそんなんじゃねぇ!!」

 

「・・・・・・ふーん、じゃあお前のやりたい青春ってつまらない転売だったのか?」

 

「っ! うるせえ!!」

 

パワードアーマーに乗ったヘルメットリーダーがガチャガチャとハンドルとペダルを動かすと、左腕を上げて此方へと突っ込んできた。

 

俺はジャンプして左腕の振り落としを回避して、続いてくるガトリングガンをエアダッシュで回避しながら銃を構え、ケレズニコフ起動して右腕に取り付けられたガトリングガンを狙って発砲する。

 

マロリアンから放たれた弾丸は床を跳弾し、ガトリングガンに下からかち上げる様に命中。

 

「どわあ!?」

 

発砲しっぱなしのガトリングガンに急な運動が加わり、バランスを崩すパワードアーマー。 俺はすかさずサンデヴィスタンを起動して敵の後ろに回り込む。

 

「リーダー後ろ!」

 

「へ!?」

 

「そんなブリキ人形じゃ俺の動きには対応できねぇよ」

 

後ろに取り付けられた四角いボックスをゴリラアームで殴りつけ、無理やり蓋を破壊して、その中身が露出された。

 

「ジェネレーターのご開帳だ」

 

「こん、のお!!」

 

俺を振り解こうと暴れるパワードアーマーに張り付き、ゴリラアームの放電機能を解放させる。

 

「ネジ巻いてやるよ、ブリキ人形!!」

 

そしてそのままジェネレーターに放電したゴリラアームを叩きつける様に握り、電気を流し込む。

 

「あばばばばばばばばばっ!!!?」

 

どうやら絶縁処理をしてなかったようだ。 流し込んだ電気がコックピットにまで流れ、搭乗者も感電していた。

 

そして遂には警報音まで鳴り出してしまった。

 

ピー! ピー!

 

『ジェネレーターがエネルギー負荷によりオーバーロードしています。 直ちに搭乗者は避難してください』

 

それでも構わず俺は電気を流し続ける。

 

『爆発まで残り、3秒』

 

「ちょ!? リーダー逃げて!!」

 

「爆発しちゃうよー!!」

 

「あばばばばばばばっ!!」

 

『2秒』

 

俺はジェネレーターから手を離して、パワードアーマーから蹴り飛ばす様に距離を取り、マロリアンアームズを構える。

 

『1秒』

 

「これで二度目だが、じゃあなブリキ野郎」

 

そして青々と光り輝くジェネレーターに照準を合わせて、トリガーを引いた。

 

『ゼロ』

 

マロリアンアームズから放たれた銃弾がジェネレーターに命中したその瞬間、まるで収束するかの様に音が消えた。

俺はマロリアンを回して顔の前に持っていき、フッと息を吹きかけると同時にーー

 

 

 

ドカアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーー!!!!

 

 

 

ーー盛大な花火が打ち上げられた。

 

誘爆されたガトリングガンの弾倉はあちらこちらに鉄火を撒き散らし、パワードアーマーだったジャンクが火の塊になって飛び散った。

 

吹き飛ばされた火だるま状態のリーダーは店へと突っ込んでいき、そこでスプリンクラーの暖かい歓迎を迎えられていた。

 

「・・・・・・・・・・・・銀銃、・・・・・・て・・・・・・めぇ・・・・・・・・・・・・ガクッ」

 

「リーダあああああああーー!!」

 

「あー、やっぱりダメだったか」

 

「流石に連邦生徒会に平気で喧嘩売る奴を相手にしたのは不味かったね」

 

「うおい!? お前らなんでそんな冷静なんだよ!!」

 

「いや、だってウチらただ転売に協力しに来ただけだし」

 

「んじゃ、そろそろお暇しますかねー」

 

なんだかヘルメットを被ってる連中と被ってない連中が言い合いをしているが、もはや構うまい。

 

「悪いが労働力を逃す気はねぇぞ」

 

サンデヴィスタン起動。 ゴリラアーム、再度展開。

 

「ぶへ!?」

 

「ごは!?」

 

「あべし!?」

 

「ぎゃん!?」

 

拳骨を喰らい、バタバタと倒れていく。 だが流石に全員を仕留めきれず、何人かが店の出口へと逃げ出してしまう。

 

「に、逃げろー!」

 

「あんなん敵わねぇよー!」

 

「あ、おいそっちは・・・・・・」

 

逃げている不良達はできるだけ俺から離れようとコチラを見ながら走っていた。

 

だから気づかなかったのだ。

 

赤い装甲車がショッピングモールの出口から突っ込んでくることに。

 

ガッシャーーーーン!!

 

スライドガラスと周りの壁を破りながら突っ込んできた赤い装甲車に跳ね飛ばされた不良達は、全員目を回して気を失った様だ。

 

装甲車を運転していたワカモ先輩が降りてきて、周りを一通り見渡した後、口を開いた。

 

「え? どゆこと??」

 

周りに倒れる不良生徒たち。

 

爆心地に佇むパワードアーマーだった焦げた骨組み。

 

あちらこちらにある焦げついた様な弾痕。

 

ワカモ先輩は目で俺に説明を求めてきた。

 

「あー、そう、だなー。 うん」

 

 

 

 

 

「アイス食おうと思ったらパワードアーマーと戦ってた」

 

「なんで説明をして謎が深まるのですか???」

 

ワカモ先輩は頭を抱えてしまった。

 

メインジョブ 『悪友/CHIPPIN‘IN』

・家具を回収する

・トリニティに火を点けろ




苦手な戦闘パートだったので、何か違和感や食い違いなどあればご指摘頂ければ幸いです。

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