飛んでくるバックショット弾が俺の頬を掠める。 頬の熱をそのままに、お返しにマロリアンの引き金を引きヘッドショットを叩き込む。 だがそれでも怯むこと無し、剣先ツルギは化け物の形相で尚ノンストップで迫りくる。
「だがスピードなら俺の方が遥かに上だ」
ジャンプ、ダブルジャンプと駆使して2階へと避難。 ツルギはご丁寧に階段を使って駆け抜ける。 その脇へと遠慮なく、半ば辟易としながらマロリアンを叩き込む。
「ギヒャヒャヒャヒャウッハッハッハギシャアアアアアアア!!!」
だがやはりと言うべきか、マロリアンの弾丸が直撃しても一度狙った獲物は逃さない獣の如く剣先ツルギは直進してくる。
もしかしたらこの女の狙いは俺のスタミナ切れだろうか?
「俺には意味ないけどな」
『追い風』
コイツは空中でジャンプとダッシュをするとスタミナが回復する技能だ。 俺が動き回って息切れを起こすことはない。
「もしくは逃げ場のない場所に追い込もうとしてるのか、だとしてもだ」
既に警備室でマップデータは俺の脳内端末にインストール済みだ。 何処がどうなっているのか、袋小路は何処かなどキロシによって視界の端に投影されたマップを見れば追い込まれることなどありえない。
「楽な仕事だね。 逃げ回りながら程々に相手してれば勝手に俺が優勢になる。 強いて言えば逃げるタイミングがわからない事だが、先輩がその辺り用意してくれてる事を信じよう」
アビドスでの逃亡劇とは雲泥の差だ。 あっちはドローンの追尾と捜索、ホシノの執拗な追撃、ガトリングガンの制圧射撃によるルート誘導、アサルトライフル持ち二人の的確な援護射撃、それら全てが熟達されたコンビネーションで追い回され続けひたすらにキツかった。
だが今回はそれとは真逆、ずっと楽ができる。
こんな追いかけっこのような攻防が1時間近く繰り返され続けていた。 最初はお互いに慎重に手札を切りあっていたが、どうやらツルギの方は俺ほど持ち札が無かったらしい。 壁を破壊しながら道なんざ関係ないと直進で追って来たが、それが返って俺の逃げ道を作ってくれた。
後は俺が不慮の事態に備えてカードを温存してれば勝手に不良共が暴れてくれる。
「おーい、帰らなくていいのかいお嬢ちゃん? それとも迷子かな? ワカモ先輩、迷子のアナウンスしてあげてー」
『後輩、油断してると吹っ飛ばされますよ』
俺がカメラに手を振りながら煽るとワカモ先輩が館内アナウンスで警告を飛ばしてきた。
「よゆーよゆー」
フワフワした如何にも油断してますと言わんばかりに返事しながらも警戒は怠らない。
こんな風に油断してるフリをすれば向こうもなけなしのカードを切ってくれるだろうから。
「本当に不味い状況で切られるよかマシだからな」
俺が再び1階に降りてツルギを引きつけ、また2階に上がる。 そして階段を上がってくるであろうツルギに照準を合わせようとするが、ツルギはそこにいなかった。
「おっと、来るか!!」
「ビシャアアアアアアアアアアアアン!!!!」
ツルギは赤黒いオーラを纏いながらショットガンを地面に向けてぶっ放し、その瓦礫を山のように積み上げ、最後にこの戦いの最中へし折れた支柱を力づくで立てかけたのだ。
『ほら、言ったじゃないですか』
「それにしたってパワープレイにも程があるだろ!? 本当に生身の体かよ!!?」
当然支柱はただ立てかけるだけでない。 俺も巻き込むように倒れかかって来やがった。 先ほど戦ったパワーローダーを嘲笑うかのような暴力が俺諸共2階の店を叩き潰した。
慌てながらもダッシュで距離を取りながらケレズニコフ起動。 ツルギへとマロリアンアームズに残った弾を全部吐き出す。
だがツルギも負けじと赤黒いオーラを纏いながら俺を足場諸共ショットガンで粉々にしようと発砲してくる。
お互いに弾丸が叩き込まれ、俺はディフェンジコフで散弾を最小限のダメージで済ませ床を転がり、ツルギは軽く仰け反ったが直ぐに前傾姿勢に移行し追撃を開始した。
ガラガラと崩壊する足場を転がりながら離れ、サンデヴィスタンを2秒ほど使用して距離を取り、誰もいない店の中へと避難する。
どうやら崩壊した足場がコンクリートの粉塵を巻き上げた影響かツルギは俺の事を見失っているようだった。
「どおおおおおおおこおおおおおおおだあああああああああ!!!」
だが額に弾痕は残っていた筈なのに頭には傷が見当たらず、今の一瞬で俺の与えたダメージはあっさり自然治癒されていた。
「とんでもない回復力だ。 ほんっとキリがない上に治癒能力が衰える気配もない。 無敵かコイツ?」
既にショッピングモール内はハリケーンと地震を同時に見舞われたかのように荒れ果て、多くの弾痕とそこから伸びる割れ目が戦いの激しさを物語っている。 大半はツルギの散弾が食い破った代物だが。
「なんであんな旧式の銃で戦車のキャニスター弾以上の威力が出るんだ。 全く神秘という奴はよ・・・・・・」
悪態をつきながら、どう時間を稼ぐか考える。 とにかくこのまま隠れたままは不味い。 不良達が暴れていられるのは俺がツルギと交戦してるからであって、こうも姿を現さないままなら逃げたと勘違いされてしまう。
「あの女本当に治安維持機関のリーダーかよ。 滅茶苦茶するし顔は怖いし物を壊しまくるし奇声あげるし、サイバーサイコの要素盛り沢山じゃねぇか」
こんな奴が取り締まらないといけない土地という事は、このお嬢様自治区はブラックマーケットよりも相当やべー場所なのではないか?
俺が悪態を吐きながらリロードしようとポケットを弄る。
「・・・・・・スタミナとか地理とかは平気だが、こっちが問題だな」
自販機やらガンショップで奪い取った銃弾が残り3マガジン程しか残っていなかった。 おかしいな、余裕で50マガジンを超えてるぐらい持っていた筈だが。
「アイテム部品が有ればクラフトもできるが、無い物ねだりか」
残り3マガジン、つまり30発。 コレで攻撃しつつ逃げ回れと・・・・・・厳しいな。
状況が変わって来た。 思考を切り替えろ。 自分自身が持つリソースを再計算する。
マガジン3つ、ナイトシティ産のグレネードが少量、キヴォトス産のグレネードが幾つか、電気ショック搭載ゴリラアーム、ダメだ。 これじゃツルギを攻略できそうにない。
こうなったらなけなしの神秘を使って武器を呼び出すのも視野に入れる必要もあるだろう。
「何を出す? アサルトライフル? サブマシンガン? ブレードは・・・・・・ダメだ論外すぎる」
弾を使わないという意味ではブレードは最適解だ。 その上俺のフルスペックを発揮できる。 だが余り使う気にはなれなかった。
おそらくだが、この街、キヴォトスでは刀で戦う生徒はいないのだろう。 あったとしても精々がワカモ先輩の銃の先端に付ける銃剣ぐらいだろう。
以前、訳あってナイトシティから離れアトランタで再スタートした事があったのだが・・・・・・そこで自分でも知らないうちに大失敗をしてしまったようで、居場所が無くなってしまったのだ。 結果ナイトシティに蜻蛉返り、ぺぺの店で酒を呷る日々に逆戻りだ。
「多分使ったら浮くっつーか、悪目立ちが過ぎるよなぁ。 アウトだよなぁ・・・・・・アトランタの失敗をキヴォトスでもするわけにはいかない」
端的に言えばレギュレーション違反とでも言うべきか、超えてはならない一線というべきか、例えるならサッカーがメジャーな国で「俺のところ野球流行ってるから」とサッカー場でバットを振り回す行為というべきか・・・・・・そんな感じのことをやらかしたのだ。 そりゃ廃絶されるに決まっている。
「よし、なら機動力重視でサブマシンガン・・・・・・いやアレもピストルと同じ弾使うから無理か。 アサルトライフルしか残ってないじゃないか」
光学迷彩が切れたので支柱の裏に隠れて、念じる。 ホシノの時も出来たんだ、今回もきっといけると信じて神秘を流し込む。
『後輩、増援です! 備えてください!!』
だがここで招いていない飛び入りゲストが来訪した。
ワカモ先輩の警告と同時に、ソレは天井を突き破り瓦礫と共に降りてきた。
「救護!!!!」
俺の武器召喚の儀式は邪魔され、武器の代わりにライオットシールドが降ってきた。 当然それは俺の所有物ではない、中心にはトリニティの校章が描かれている。
「・・・・・・ワカモ先輩、トラウマチームでも呼んだか?」
「トラウマ・・・・・・? いえ、少なくともナースコールを押した記憶はございません」
突き刺さったライオットシールドが床を離れ、瓦礫によって舞い上げられた粉塵から白い服、それはまるで一昔前の看護服を身に包んだ青い髪の生徒が現れた。
「蒼森ミネ、何故・・・・・・?」
ツルギも気づいたのか2階から1階にいる俺たちを静観していた。 いや、静観せざるを得ないのだろう。 ツルギの攻撃範囲は散弾故に広く、その上戦車砲に負けず劣らずの火力だ、巻き込めばどうなるか想像に難くない。
「お嬢ちゃん、ここは危ない。 少なくとも看護師やナースがいる場所じゃ」
「貴方ですか」
俺が彼女に避難を促そうとしたが、その声はミネと呼ばれた生徒の言葉に遮られてしまった。
そしてその口からとんでもない火が吹かれたのだ。
「セイアさんの件、貴方の仕業ですか、V!!」
「んえ?」
トリニティ自治区で放送中にとんでもないことを言い出しやがったのである。
『はいカットーーーー!!』
ティーパーティーのトップクラスの名前が出た瞬間、電波に乗せれない話だと判断。 ワカモ先輩は電波ジャックを緊急中断、監視カメラの電源を落とした。 ファインプレーである。
『後輩貴方何しやがりましたコラ、キリキリ吐きなさい』
だが残念。 矛先は何故か俺の方向へと向いた。
「いやいやいやいや知らん知らん!!? 誰だよセイアって!?」
「惚けるつもりですか!! 長い眠りについたセイアさんは貴方の名前を呟いたのです!! 貴方がセイアさんに何かしたのでしょう!!」
「もおおおおおお!!! いきなり来てとんでもない爆弾投げつけてくんじゃねぇよおーー!!! サブロウアラサカかテメー!!」
アラサカ社の最高権力者サブロウアラサカ、あのジジイ紺碧プラザに来たと思ったら俺たちの目の前で死にやがったのである。 当然俺たちはサブロウ殺人犯に仕立て上げられたのだ。
『本当ですか? 正直にいうと貴方の何もしてないはイマイチ信用できないのですが』
「おうコラ先輩なんでそっち側なんだ。 アンタは俺の味方であってくれよ」
『日頃の行い』
「会って3日目ですけど!?」
ちょっとだけ泣きそうになりながら、チラリと2階へと視線を向ける。 そこには先ほどまで暴れ回っていたツルギが怪訝そうな面持ちでこちらを観察していた。 その手には誰かと連絡でも取っていたのかスマートフォンと呼ばれている通信機器が握られていた。
「とにかく、貴方を拘束させて貰います」
蒼森ミネは盾を前に突き出した状態になり、その隣にツルギが着陸した。
「・・・・・・同じ目的か」
「初めてですね、共闘は」
全くツルギだけでも面倒だと言うのに、とんでもない爆弾ナースが来たものだ。
「後輩、援護は入りますか?」
俺の背後、ツルギによって破壊された壁からスナイパーライフルを持ったワカモ先輩が姿を現した。
「本当は?」
「私もそろそろ暴れたくなりました。 見てるだけではいい加減飽きそうで」
俺はワカモ先輩の前を位置取るように移動してマロリアンを構える。
「合わせてあげようかレディ?」
「あら、余裕そうで頼もしい限りですね」
懐からリモコンを取り出し操作すると、再び監視カメラが起動。 うっすらとだが外から歓声が聞こえて来た。
「どうやらお待ちかねだったみたいだな」
「グヘェへぇ・・・・・・タイトルマッチだぁ!!」
「ふふふ、この胸に積もる思い、正体はわかりませんが貴方たちで鬱憤ばらしさせてもらいます」
「救護が必要な場所に救護を、いざ!」
トリニティショッピングモール決戦、第二ラウンドの幕開けである。
セイアちゃんが寝たきりの状態でvの名前を呟いたのでミネ団長寝たきり状態の原因究明の為緊急出撃、一体どんな夢を見たのでしょうね。
貴方はどれくらい知識がある?
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