サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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前回の話、45話をアップデートしました。
アプデ45話 1.1ver
・後半の会話があっさりし過ぎと思い会話を増やしました。
・誤字修正


46話 メインジョブ 『悪友/CHIPPIN‘IN』 17

「あの時は世話になったっすね。 仲正イチカっす、どうぞよろしく」

 

物腰柔らかい表情でありながらも、突き刺すような鋭い雰囲気を醸し出す生徒、仲正イチカが自己紹介を終えると物陰から更に正義実現委員会が現れた。 さっきまでキロシの反応が無かったにも拘らずだ。

 

「・・・・・・増援を呼ぶ神秘か」

 

「ご名答っす」

 

手元で赤いスマートフォンを回すように弄る彼女から視線横にずらしていき、次は大量の正義実現委員会の生徒達を見渡す。

 

「完全に囲まれてるか」

 

「ツルギ先輩のおかげっすよ」

 

ツルギが・・・・・・なるほど、ミネが天井を突き破った時か。 あの時、ケータイを持っていたから妙だと思ったが、コイツに連絡をとっていたのか。 いや、それともティーパーティーとかいう生徒会にか?

 

「俺がミネとツルギを相手にしてる時に侵入、そして神秘を使って増援を呼び潜入していたわけだ」

 

「もう観念するっす。 トリニティで暴れていた不良達も自警団と非番だった正実メンバーが防衛だけじゃなく鎮圧を開始、ハスミ先輩の粘り強い説得でティーパーティーも重い腰を上げ、連邦生徒会に協力を要請したっす」

 

連邦生徒会、まさかシャーレか?

 

だとしたら厄介だ。 もしあの指揮能力にツルギとミネが加わったら面倒極まりない。 それは隣にいるワカモ先輩もわかっているのだろう、狼狽えたような声が聞こえてきた。

 

「れ、連邦捜査部・・・・・・先生・・・・・・ですか」

 

「流石に面倒だぞ。 どうする先輩・・・・・・?」

 

と、何か様子がおかしい。 忙しなく目を泳がせ、思案するように顎に手を当てて考え込んでしまった。

 

「先輩?」

 

声をかけてみるが、上の空のような空返事しか返ってこない。 ピコピコと狐の耳は不安そうに動かしながら、尻尾はブンブンと嬉しそうに振られている。

 

「ああ、この胸の高鳴りは・・・・・・そういうことなのでしょうか・・・・・・」

 

「おーい・・・・・・最終手段」

 

目の前で手を振っても反応を示さない。 というわけでゴリラアーム展開、青白い電気を僅かに放ちながら脇へと潜り込ませた。

 

「おほわひょびひぐふぶふえ!!??」

 

敏感な部分に微弱な電気を流された結果、ホラー系マリオネットのような変な動きをしながら乙女から出てはいけない汚い声を撒き散らした。

 

「ナギサ様の私兵である砲兵部隊も展開済み、もはや逃げ場なし。 とっととお縄について・・・・・・聞いてるっすか?」

 

「おう、続けて続けて」

 

ばっしばっしばっし!!!

 

「いやあの続けてじゃなくて、すんごい後頭部叩かれてますけど」

 

「バカ、ほんともうバカ!!!」

 

「話聞かないパイセンが悪い」

 

「だからと言ってもっとやりようがあるでしょうがーー!!」

 

俺の後頭部を左手で叩きまくる先輩。 ダメージなんてないが頭が揺れるのでなかなか鬱陶しい。

 

「そろそろ始めてもいいっすかね? こっちはもう準備万端なんで!」

 

イチカが銃を構えると更に顔を出してくる正義実現委員会達。 かなりいるな、100人ぐらいか。

 

「ワカモ先輩そろそろ真面目にやるぞ」

 

「・・・・・・」

 

それでも不機嫌そうに睨む先輩を無視してエラッタを構える。 幸いにも今の時間でサイバーウェアのクールダウンは完了した。

 

「かかってこいよツルギのオマケ共、一瞬で片付けてやる」

 

「言ってくれるっすね、総員・・・・・・」

 

 

 

「対象は孤坂ワカモ!!」

 

 

 

イチカはこう思ったのだろう。 Vの機動力と刀の銃弾弾きに対して単純な攻撃では効果を発しづらいと。

 

実際その通りだ。 俺一人なら正義実現委員会の攻撃を全て捌き切るのは余裕だ。

 

だが先輩は別だ。 ツルギとミネが暴れ回った影響で周りの遮蔽物はゼロ。 単独でこの銃撃の雨霰をやり過ごすのは不可能。 だから孤坂ワカモを狙ったのだ。

 

そうすれば彼女を守ろうとVが銃弾を防ぎに動くはずだから

 

そうすれば彼女を守る為にも回避という選択肢が消えるはずだから

 

カタナで守るしかない状態では、いくらなんでもこの数の銃弾を防ぎ続ける事は不可能だから

 

「確かにその通りだ」

 

俺にだってスタミナがある。 バレットブロックはスタミナを使い、切れてしまえば銃弾を防ぐ事は不可能だ。

 

「普通なら、な」

 

だがここにいるのは普通ではない。 ナイトシティ中のサイバーサイコシスを病院送りにし、NCPDの事件に介入し、厄介ごとの多くを片付け、たった一人のハッカーの為にアメリカ大統領を敵に回し、企業国家と伝説の傭兵を正面から叩き潰し、ジョニーシルヴァーハンドから認められたサイバーパンクである。

 

普通などとうの昔に置いてきた。

 

この街に、キヴォトスに、Vという存在が焼きつく瞬間がやってきたのだ。

 

エラッタを鞘にしまい、ワカモ先輩を後ろに隠したまま居合の体勢をとる。

 

「先輩、動くなよ」

 

息を吐き、集中力を高める。

 

「放てえ!!!」

 

イチカの号令と共に取り囲んだ正義実現委員会全員が発砲。 360°全方位から対物弾が放たれた。

 

「サンデヴィスタンーー

 

 

 

 

 

ーーバレットタイム」

 

 

 

 

 

それは

 

あまりにも

 

非現実的な

 

光景だった。

 

 

 

「う・・・・・・そ・・・・・・」

 

ばたりと、隣にいた同僚が倒れた。

 

反対側の同僚も倒れた。

 

撃っていたのはこっちの筈なのに

 

撃たれていたのはテロリストの方なのに

 

なぜ?

 

どうして?

 

肩や腹に燃えるような熱さを何故感じるのだ

 

どうしてこんな、テレビの巻き戻しのような光景を目にしているのか

 

敵に向かって発射された弾丸の雨は紅い瞬きによって阻まれ、撃った方へと反旗を翻す。

 

たった数秒の圧倒的なまでの物量による攻撃、それが全て、そのまま、撃った本人へと帰っていく。

 

刀を振り、僅かに溶けた鉛を払うその姿は、キヴォトス中の視線を独占する赤い輝きだった。

 

「は、ははは・・・・・・いやー、これはもう、笑うしかない、すね・・・・・・」

 

そう言い捨てて、仲間から放たれた弾丸によって身体中に火傷を負った仲正イチカは気を失った。

 

 

 

文字通り一瞬で片付けた。 正義実現委員会のメンバーは自分たち自身の攻撃によって全滅した。

 

どうやらバレットカウンターは遺憾無く発揮する事に成功したようだ。 神秘という不安要素はあったが、どうやらイチカという生徒はともかく、他の正義実現委員会のメンバーはバレットカウンターをさせない程の強力な神秘を持ち合わせていなかったらしい。

 

「ツルギの弾は返せず、他の連中の弾は返せた・・・・・・バレットカウンターは神秘によって成功するかどうかが変わるようだな」

 

キロシのスキャンモードによって2人以外の・・・・・・いや、3人以外の敵性反応が消失したのを確認し終えた俺はエラッタを納刀し、振り返って先輩の安否を確認する。

 

「先輩、無事か? 何してんだおい?」

 

こめかみの辺りを指で揉んでいる先輩。 何か疲れるようなことでもあったのだろうか?

 

「あの・・・・・・いや、うん・・・・・・えぇ・・・・・・・・・・・・」

 

なんだその、まるで理解し難い現象を目の当たりにして考え込んでしまった、みたいなドン引き声は?

 

「いや、まあ、後輩が強いのはいいんですよ。 ええ、それに関しては超嬉しいです・・・・・・嬉しい誤算です・・・・・・ですけど、ねぇ」

 

「今のなんです??? 防ぐのはともかく、なんで銃弾がそっくりそのまま帰っていくのですか??? 本当に理解が追いつかないのですが???」

 

「今のは別にカタナで弾丸を弾き返しただけだぞ? 大したことはしてない。 なんだったらナイトシティでもしてくる奴はいるし」

 

「魔境過ぎませんナイトシティ?」

 

「あとワカモ先輩、そっくりそのまま返してはいない」

 

「・・・・・・まあ、威力減衰はしてますよね。 言い過ぎでしたか」

 

「いや、確定クリティカルだぞ」

 

「おおふ・・・・・・」

 

物理現象を容易くぶち破る後輩の暴論に再び頭を抱えるワカモ先輩。 一体何が問題だというのだろう。

 

頭を抱えて唸る先輩は放置して、残りの敵性反応へと向き直る。

 

「さてレディ? まだやりあうか?」

 

今の光景を見ても尚、戦意が喪失しない二人、ツルギとミネにエラッタを向ける。

 

「当然・・・・・・です! 私は救護騎士団の団長、こんなところで終われません!!」

 

言葉を口にして奮起するミネ、だが体は威勢に反してフラついている。 少し休めたお陰か盾を杖代わりにする事はなさそうだ。

 

「まだ、まだだああああああーー!!! 終わってなああああああああいーー!!」

 

今の戦闘の間で神秘を僅かにでも回復できたのか、出血を止めたツルギがショットガン二丁を振り回す。 だが傷跡はまだ残っている、神秘の残量を気にして敢えて完全回復していないようだ。

 

「そろそろ感動のフィナーレといこうか!」

 

量子チューナー起動。

 

サンデヴィスタン完全回復。

 

エラッタを納刀、そして居合の構えを取る。

 

「また来ますか・・・・・・!」

 

グリップの感覚を確かめながらゴリラアームで強く握り込む。

 

「雷鳴ーー

 

コレで終わりだ。

 

 

 

ガッシャアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

 

 

 

俺のラストアタックは外部から齎された騒音によって不発に終わった。

 

俺の前にそれはドリフトとブレーキ音を撒き散らしながら戦闘用車両、ジープは停車した。

 

車はあちこちに不良生徒に刻まれた弾痕が痛々しく残されてはいたものの、示された文字とマークは読み取れた。

 

「連邦捜査部シャーレ」

 

後部から青い髪のサブマシンガン持ちの生徒と黒い髪のデカ女が降車し、最後に運転席から周りに比べて背が高い男が現れた。

 

“やあ、V”

 

「よお、先生」

 

ファイナルラウンドの幕開けだ。




先生メンバー
・ツルギ
・ミネ
・ユウカ
・ハスミ
・チナツ(風紀委員会の任務で潜入調査中)
・???

・スズミ離脱(途中で降車しトリニティ自警団を指揮して不良生徒鎮圧中)
・マシロ離脱(Vの不意を打とうとしたがワカモによって阻止され敗北)
・イチカ離脱(Vのバレットカウンターを浴び気絶中)

V現在の状態
・量子チューナー使用済み
・血液ポンプ残数ゼロ
・ピストルの弾、のこり10数発
・ブレード解放
・神秘ポイント0

貴方はどれくらい知識がある?

  • サイバーパンクは名前だけ知ってる
  • サイバーパンクは動画勢
  • サイバーパンクは雰囲気でプレイ済み
  • サイバーパンクはガチでやった
  • サイバーパンクで知らないことなど何もない
  • サイバーパンク? なんそれ?
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