サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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これでようやくACT1 終了です。 長くなってしまい申し訳ございませんでした。 もうちょいコンパクトに出来たらよかったなぁ。 20万文字って・・・・・・ライトノベル二冊分もあるじゃねぇかよプロローグの文量じゃねぇぞ。 何故、どうして? ただ書きたいものをノープランで書いていただけなのに・・・・・・

次からはサイドジョブに入ります。


TO BE CONTINUED TO ACT2

カランコロン、と自動ドアが開くには似合わないベルが揺れるような音が店内に鳴り響く。 目元を隠すほど深く被った帽子と季節に合わない厚着をした犬人が入店し、同僚がそれを早足で出迎えた。

 

「いらっしゃいませー。 一名様でしょうか?」

 

「喫煙席で」

 

明るい声で迎えられた客は小さな声でそう告げるとスケバン達のまとめ役、今はバイトリーダーでもあるスケバンリーダーが案内を始めた。

 

「ご注文が決まりましたら、そちらのボタンを押してお呼びください」

 

ペコリと頭を下げて、そのまま此方へと歩いてくる・・・・・・のだが、愛想の良い表情のはずなのに妙な迫力を孕んでいた。 

 

「いいっすか! 接客ってこうですからね!!」

 

「お、おう」

 

「次は絶対ぶん殴ったり煽ったり脅したり強請ったりしないでくださいよ!!」

 

「・・・・・・」

 

「返事!!!」

 

「おぅ・・・・・・」

 

どうしてこうなった。

 

あれから一週間が過ぎた。 俺は今だにメイド服で客を出迎えるバイト生活を送っており、傭兵としての理想の生活が完全に瓦解していた。

 

「・・・・・・なんで・・・・・・どうして・・・・・・?」

 

 

 

 

 

メイド服に初めて袖を通したその日、接客業に悪戦苦闘しながらもなんとか業務を定時までやり遂げた俺。 それでお仕置きは終わった・・・・・・筈だった。

 

「V、残念なお知らせだよ」

 

自身が操作していたパソコンを俺に向け、余りにも冷酷すぎる現実を突きつけたのだ。

 

「依頼がない」

 

そう、傭兵としての仕事が来なかったのである。

 

コレに対して俺は異議を申し立てた。 あのトリニティの大騒動、知名度は間違いなくトップクラス、どの時間のニュースでも大見出しで公開されている。 トレンド1位間違いなしである。

 

「コレを見な」

 

オーナーが操作すると画面が切り替わり、SNSが表示された。

 

『Vになりきってみました! かっこよかろ?』

 

『Vのコスプレ簡単過ぎワロタ』

 

『銀色に塗装した拳銃持つ、はいV』

 

『何にでも誰にでも擬態できるから誰でもV名乗れるのウケる』

 

『Vを名乗って強盗したら上手く行ったw』

 

キヴォトスでV大量発生である。 よかったなトレンド1位だぞ。

 

「なんでだあああああああああ!!?」

 

名は売れたのだ。 間違いなくキヴォトス中に、それも圧倒的なまでに売れ過ぎた。 売れるに決まっていた。

 

さて諸君、銃中心の問題ごとは武力で解決するのが日常の学園都市キヴォトスにおいてVがどのような目で見られるだろうか?

 

・行動インプリントによる擬態で本当の姿がわからない正体不明の存在

・銃中心のキヴォトスで刀、それもサーマルカタナという珍しすぎる武器で最強クラス存在ツルギを撃破

・圧倒的な速度が残す赤い軌跡、早撃ちで振り抜かれる自己主張の激しいハンドガン、見栄えのある空中機動、そして何より機械の体

 

ロマン、とんでもない物量のロマン、ロマンonロマン、多感な時期の学生、それも反骨精神旺盛な不良生徒達にはVという存在は余りにもブッ刺さり過ぎていた。 憧れるなというのが無理な話だろう。

 

尚、実情(戦闘以外ポンコツ)を知れば現バイトリーダーでもあるスケバンリーダーのように冷たい目を向けることになる。 知らないというのは幸せの一種である。

 

料理はできない。 掃除で床はビチャビチャ。 皿洗いするとゴリラアームと食器が擦れ嫌な音を撒き散らす。 接客が基本暴力。 出来た事といえば、壊れかけた機械の修理ぐらいである。

 

閑話休題、そんなこんなでVに憧れた不良生徒は少しだけでもVに近づこうと拳銃を銀色に塗装したのだ。 すると・・・・・・

 

「そこの貴方! 銀色の拳銃、もしかしてVですか!」

 

「え?」

 

「え?」

 

「・・・・・・! ふっふっふー、バレちゃ仕方ない! そう! アタシがトリニティを火の海に沈めたVさ!!」

 

なんということでしょう! 何処ぞの生活安全局のうっかりヴァルキューレが火を焚き付けてしまったのだ。 本当の姿がわからないので仕方ないところもあるとは思うが、大惨事である。

 

不良間で広がる、拳銃を銀色に塗るだけ超簡単なりきりV。 D.U.地区、トリニティ、ゲヘナ、ミレニアム、アビドスなどなど、キヴォトスのあちこちで大量発生してしまったのだ。 Vの足取りを追っていた連中全部大混乱、Vも大混乱、みんなみんな大騒ぎ。 厄災の狐は大爆笑。

 

さて、偽Vの大量発生しているこの状況でVに依頼をする奴がいるだろうか?

いいや、否である。 いるわけがない。 偽物が引き受けるのが目に見えている。 現実は非常だ。

 

こうして来なくなったVへの依頼、だがオーナーの取引を台無しにした分の代金を稼がなくてはならない。 ならないのだが・・・・・・

 

「Vさん、せっかく見た目はいいのに愛想が悪過ぎます」

 

完全に戦力外だった。 配膳スピードは最速だが、サンデヴィスタンで姿を見せずに注文を置くせいで客がビビり散らすのだ。 しかも羞恥心がMAXになると光学迷彩まで使う始末。 更に客を出迎える挨拶も見送る挨拶も全てがLOWテンション。 しまいには無表情である。

 

戦闘は一流を超えるのに接客業ではカスであった。 なんだったら不良達の作業量が増えている。

 

 

 

 

 

とまあ、コレが俺の現在だった。 傭兵として生活は送れず、ホロリと流れるはずのない涙がキロシから溢れそうになる。

 

親友との約束、メジャーでまた会おうという約束がどんどん離れていく。

 

客の去ったテーブルを片付け、皿の山を片手で厨房に運ぶ。 歩くたびにヒラリヒラリとたなびくスカートに羞恥心を覚えながらも、なんとか今日の業務を完遂させようとする。

 

「はあ、俺はいつまでメイドでいなきゃならないんだ」

 

ため息を吐いて、どかりと休憩室の椅子に座る。 うんざりとした顔で天井を仰ぎ見るが、気分は一切晴れることはない。

 

「俺は男なんだがなぁ」

 

このままではいけないと思いながらボヤく。 そのタイミングでガチャリと休憩室のドアノブが回った。 姿を現したのは和服を着た黒い猫の獣人、オーナーだった。

 

「休憩中失礼するよ」

 

何のようだと不機嫌さを含みながら目線だけで返事する俺に、オーナーはテーブルの上に畳んでいたパソコンを開いた。

 

「随分な態度だね、せっかくいい話を持ってきてやったって言うのに」

 

オーナーに向けていた視線をディスプレイにチラリと向けると、そこにはチラシのような広告が表示されていた。

 

 

 

『傭兵組合 「    」! どんな依頼でも引き受けます!』

 

 

 

「ん? これって・・・・・・」

 

「表向きの仕事も安定してきたしね、裏方の方の商売も始めようと思ったのさ」

 

オーナーがスクロールする画面の内容を食い入るように身を乗り出してまで見始めた。

 

「傭兵組合・・・・・・仕事募集・・・・・・依頼募集・・・・・・格安傭兵有り・・・・・・臨時募集可・・・・・・」

 

「立ち上がり、最初のうちはどんな仕事でも安く引き受けるもんさね。 実績を積み重ねれば自然と割りのいい仕事も舞い込んでくるだろうしね」

 

ネットに上げられたサイトの内容を読み上げていくと、それに合わせたように気分が明るくなっていく。

 

「・・・・・・コレを俺に見せたってことは」

 

「アンタはいつまで経っても接客が上手くならないしね・・・・・・こっちとしても早く損失分の金を稼いで欲しい・・・・・・すっごい目をキラキラさせてるね」

 

マウスを動かして『メンバー』をクリックすると、スケバン達の顔写真と名前が表示された。

 

「流石にワカモは悪名高過ぎて載せられなくてね」

 

「オーナー、俺の分は?」

 

嫌な考えが脳裏に浮かび、焦ったような口調で尋ねてしまう。 だがそれも杞憂だった。

 

「そう、それが話の本題さ。 Vもワカモと同じくらい悪名が轟いてはいるが、誰も詳細は知らないからね・・・・・・アンタの擬態能力を使ってなら傭兵活動もできるだろうさ」

 

遂にメイド服生活から脱却できると思わずガッツポーズを取ってしまう。 あのヒラヒラ奉仕服とはコレでおさらばである。

 

「まったく、調子のいい子だね・・・・・・で? 名前はどうすんだい?」

 

名前、名前か・・・・・・

 

呟きながらテーブルの周りを歩きながら考える。 V、がダメなら・・・・・・フォー・ヴェンデッタ、ハンス・ジョナス、ハリー・コンウェル、どれもピンと来ないな。 いっそのこと本名・・・・・・イヤイヤ、それはダメだろう。

 

首を横に振って考えを改める。 他に何かなかっただろうか・・・・・・

 

 

 

よし、じゃあゴーストちゃん!

 

ゴースト、俺の事か?

 

 

 

あのピンクのチンチクリンが付けた名前ってのは気に入らないが・・・・・・一番ピンと来たのはコレだ。

 

「ゴーストで頼むよ」

 

「幽霊? 何だい、もう死んだつもりになってるのかい。 若いのに生き急ぎすぎだよ」

 

「急がなきゃいけない事情があったんだよ」

 

一度死んだ俺には、ぴったりの名前だ。

 

・・・・・・どうにもしんみりした、ノスタルジーに浸るような気分になってしまった。 休憩は切り上げてさっさと今日の労働を済ませるとしよう。

 

「とにかく、頼んだぞオーナー」

 

「コレで依頼が来なかったら明日もメイドだよ」

 

「頼むから勘弁してくれ・・・・・・」

 

そうして俺は、今日も今日とてメイド服で仕事をするのであった。

 

 

 

 

 

「さて、後はサイトの名前・・・・・・・・・・・・ゴースト、新しい青春を見つけたワカモ・・・・・・・・・・・・じゃあ・・・・・・」

 

新しいアイデアが浮かんだオーナーは手慣れたようにタイピングして、トドメのエンターを押した。

 

「さて、それじゃあ上の階に戻ってカイザーの秘密でも探ろうかね」

 

 

 

『傭兵組合 「アフターライフ」! どんな依頼でも引き受けます!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピロン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しい依頼

 

A.R.O.N.A『アビドス自治区での要人護衛』

 

カタカタヘルメット団『増援募集! 誰でもいいから来てくれ!』

 

 

 

TO BE NEXT ACT......




ACT1 厄災の狐ルートクリア報酬

グラフィティ「黒狐」
狐とは人を誤った道にも正しい道にも導く獣。 それが黒くも染まれば厄災を告げる神とも伝承された存在だ。 しかしもしも、万が一にも、厄災や危機の全てを乗り越えた時は・・・・・・新たな夜明けを告げるだろう。

新たなスキルをアンロックしました!

「テロリスト」
XP獲得方法
・治安維持部隊に対する攻撃
・公共物への攻撃
・擬態して活動する
・爆発物の制作、強化、分解、設置
・「テロリスト」と共に行動する

貴方だったら、どっちのルート? 対策委員会編

  • アロナの依頼ルート
  • ヘルメット団依頼ルート
  • どちらも選ばない、便利屋ルート
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