ダッシュ、ジャンプ、空中ダッシュ、ダブルジャンプ
ダッシュ、ジャンプ、空中ダッシュ、ダブルジャンプ
ダッシュ、ジャンプ、空中ダッシュ、ダブルジャンプ
ダッシュ、ジャンプ、空中ダッシュ、ダブルジャンプ、
ダッシュ、ジャンプ、空中ダッシュ、ダブルジャンプ、ダッシュ、ジャンプ、空中ダッシュ、ダブルジャンプ、…………
視界に映るのは砂、砂、砂、砂…………
単調な動き、進んでいるのにも関わらず何も変わらない景色、それがかれこれ5時間ほど続き。ついにVがキレた。
「だあああああああもおおおおおおおおおお!!!」
遠い! 遠すぎる!! 何だあそこ遠すぎだろ!!
カイザーのものと思われるゴミ処理場周辺の警備から光学迷彩を駆使して離脱に成功した俺は砂漠のど真ん中で跳ねたり飛んだりを繰り返しながら、天使の輪が生えた巨大な建造物に向かっていた。因みにこの移動方法、車に追いつけるとまではいかないが結構な速度が出る。
当初の予定では車で移動と思っていたのだが、こんなだだっ広い砂漠に稼動可能な車なんぞ落ちてるわけが無かった。ダメ元で何度も自分の車を要請してみるが当然来るわけもない。よく見たら通信のアンテナが一つも立っていなかった。圏外である。結局自分の足で行くしか無かった。
別に水やら食料は問題じゃない、いや余裕がないと言う意味では問題はあるがそこまで重要じゃない。
この体はサイバーウェアの混ざったサイボーグだ。1日水を飲まなくても死にはしないし、食料なら一週間食わなくても平気だ。そして一日もあればこの砂漠は抜けられるだろう。そうすれば建物を見つけてそこの排水管でもゴリラアームで破壊すれば水は確保できる。
「排水管破壊は最終手段にしたいがな。出会う相手が親切な奴なら助かるが、そうじゃなかったら実力行使しかない」
だいぶ野蛮な考えが浮かんでいるが、これでもナイトシティの住人の中では良識のある方だ。あの街には強制的に相手を攫い解体して改造人間にするギャング、人の往来で見境なしに暴れ出すサイバーサイコ、そのギャングやサイバーサイコを鎮圧するためなら住人がいくら巻き込まれようが気にしない賄賂大好き揉み消し常習犯の警察共、人の命を文字通り金や消耗品としか思っていない糞コーポ、コレらに比べれば遥かにマシである。
「今から戻ってあのトラックを強奪するか? そっちの方がずっと楽そう……よく知りもしないコーポに喧嘩を売るのは得策じゃないな」
あーだこーだと考えながら更に数時間移動を費やし、ようやく街並みが見えてきた。
「あ゛ーーーー!! ようやくだ!! ようやく足を休められる!!」
いくらサイバーウェアを身につけているサイボーグボディとはいえ、長時間の砂漠移動は流石に応えた。足に熱が篭って仕方がなかった。コレを平気な顔をしてやり遂げるやつは何処にもいないだろう。
え、何? アダムスマッシャー? アレはもはや人類じゃないから。体の90パーセントサイバーウェアとかそれもうサイバーウェアが本体じゃん、肉体がおまけになってんじゃん。俺の口調もおかしくなってんじゃん。
などと、頭を若干サイバーサイコにさせつつも、強化腱を駆使して夕暮れ時に街に入ることができた。変なテンションでラストスパートをかけたせいか足がプルプルと震えている。
「ぜぇ、ぜぇ、先ずは、店だ。何処の店でもいいから、水を、頼もう」
ふらふらと、まるで死に場所を求める浮浪者のような足取りで、俺はこの街を探索し始めた。
まずは一軒。 看板が砂に汚れ、何と呼ばれていたかも定かではない店に一度息を整えてから足を踏み入れた。
「すまない、頼みたい事があるのだが……?」
だがそこは床が砂に塗れ、人の手入れは疎か、相当長い間誰も足を踏み入れていないような状態だった。人の賑わいで盛んだっただろうカウンター席やテーブルに並べられた椅子も、今では砂の吹く音しか鳴らない。
「誰も、いないのか? いや、というかーー
何だ、この感じは? 何かとてつもなく嫌な予感がする。
ーーこの街、静かすぎないか?」
結果を言おう。この街は死んでいた。
陽が落ちても明かりがひとつも灯らない廃墟の街並みを、俺は一人で歩いていた。
「まさか、全滅とはな……」
あれから何軒かの店を周っても全てもぬけの殻で、尋ねた住居の中身はがらんどうであった。そして最終手段のゴリラアームで建物の排水管を破壊したが、水の一滴も出ることはなかった。 どうやら随分前にこの街は廃墟になっていたらしく、インフラは息をしていなかった。
「流石にそろそろ水を確保しないと不味いぞ……。 脱水症状の警告が表示されやがった」
カイザーのゴミ処理場と砂漠で動きすぎたのだろう、想定よりもかなり早い速度で水分が減っていた。
「もう余裕がない、急いであの塔を目指さないと」
夜になってあの天使の輪が付いた建造物に光が灯っているのが見えた。あそこまで行けば人に会える筈だ。例えあそこにいる奴が糞コーポ野郎だとしても、その時こそ俺のマロリアンアームズが火を吹かせればいい。
「まぁ流石に住居ぐらいあるだろうから、そこから水を貰えばいいか」
そう結論づけて再び強化腱に力を込めた、その時
『サイバーウェア脚部・エラー』
「は?」
どさりと音を立て、俺の体は砂に倒れ込んだ。
「なん……だって……?」
キロシに映される警告文、赤い文字とウィンドウで表示されるそれは俺を絶望に叩きつけるには十分だった。
この状態は身に覚えがある。敵対したネットランナーに俺がハッキングされ、サイバーウェア動作不良のクイックハックを叩き込まれた事だ。
しまった。完全に油断していた。
今回もそうなのだと結論づけ、うつ伏せの状態から転がり、仰向けになって拳銃を構える。そして動作不良が治り次第サンデヴィスタンを起動できるように意識する。今できるのはコレだけだ。
額に流れる冷や汗、ドクンドクンと脈打つ心臓、聞こえてくる砂が風に吹かれる音、一つ一つの細かな情報を集めようと全ての感覚を研ぎ澄まさせる。
決して慣れたくなどなかった命の奪い合いの緊張感が辺りを充満させて行く。
何処からくる? 右か? 左か? それとも廃墟の中から一斉射撃か?
何処から来るかは全然わからない。敵が見えた瞬間に『集中モード』と『デッドアイ』によるマロリアンアームズの早撃ちで、敵を始末するしかない。
マロリアンアームズの装填数は10発、倒せる敵は一息で最大10人。
敵が10人より上の場合、サイバーウェアのアーマーで耐えるしかない。あまりやりたくはないが、最悪死にかけても予備心臓がある。
「いつでもかかってきやがれ! 顔出した瞬間ぶち抜いてやる!」
だが、そんな厳戒態勢を嘲笑うような情報がキロシから追加された。
『サイバーウェア脚部の想定されてない環境での著しい稼動、並びに超長時間の稼働により動作不良が生じました。ただいま緊急システムメンテナンス、および応急修復を開始します。このプロセス終了までサイバーウェア脚部パーツは稼働できません。安静にしてお待ちください』
「…………」
要約、足ぶっ壊れたのお前の無茶な使い方のせいだから。
「……………………」
もっと要約、ネットランナー? ハッキング? なに言ってんだこいつ?
「…………………………」
今ほどジョニーがいなくて良かったと思った事はないだろう。もし見られてたら一生このネタで弄り倒されてただろう。
拳銃を持ったまま手を投げ出し、全身から力を抜く。 今のでドッと疲れてしまった。 このまま寝てしまおうかと益体もない事を考えてしまいそうになる。
「とりあえず、システム復旧までこのままか」
どうせすぐに治るだろうと、首を横に傾けると。
「あー、えっと……」
ピンク色の髪をしたちんちくりんが困った顔を浮かべていた。
「……」
「……」
「……おい、どこから見ていた」
「……ずっこけたあたり、かな?」
「…………」
「……スゥー」
少女が大きく息を吸い込んだ。
「いつでもかかってきやがれ! 顔出した瞬間ぶち抜いてやる!」
「よーしクソガキこっち来いゲンコツしてやる!!」
コレが俺、Vと小鳥遊ホシノと名乗る少女との出会いだった。
メインジョブ『目覚め』は終わっていません。ジョブ中に別のジョブが始まる。サイバーパンクあるある。
貴方はどれくらい知識がある?
-
サイバーパンクは名前だけ知ってる
-
サイバーパンクは動画勢
-
サイバーパンクは雰囲気でプレイ済み
-
サイバーパンクはガチでやった
-
サイバーパンクで知らないことなど何もない
-
サイバーパンク? なんそれ?