サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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今回、微クロス要素をテストで運用してます。 アンケートで今回のクロスについての集計中


61話 サイドジョブ 『いつか、きっと/BABY』 2

不思議な事ってあるもんだなぁ

 

スケバンの姿に擬態した俺は空を見上げてそんなことを考えていた。

 

場所はD.U地区、トリニティ方面のカフェ。 一杯のコーヒーを苦味と共に喉を通し飲み込み、現実を咀嚼する。 そうでもしないとこの現実について行けそうにもないから。

 

厳密に言えば、空を見上げていたわけではない。 見ていたのは電柱、そこに括り付けられた一人の不良生徒である。

 

その不良生徒は我らアフターライフに所属する生徒ではなく、そんじょそこらにいる不良生徒である。 強いて目立つポイントを挙げるとすれば・・・・・・腰に銀色の拳銃を差している所だろう。 それで何をするつもりだったのかは、想像に難くない。

 

此処まではいい。 いやあまり宜しくはないが、先ずはいい、置いておく。

 

 

 

「なんでヘッドホンつけられて大音量拷問されてんだ?」

 

 

 

サイドジョブ『いつか、きっと/BABY』

・不良生徒に話しかける。

 

最初はラジオの音でも漏れているのかと思いスルーしていたが・・・・・・何度も同じ曲が流れて続けていることに疑問を覚えた俺はキロシのスキャンモードを起動。 音の発信源を探したら電柱に括り付けられた不良生徒を目撃した。

 

ヒフミちゃんのペロログッズ集めの準備の為、トリニティ生徒の生体データ集めに来ただけなのにとんでもない光景を目撃した俺はそのままカフェに入店、ベランダ席で生体データ集めついでに事の成り行きを見守っていた。

 

「・・・・・・なにも変わり映えしないな」

 

通りすがり四人組のうち黒猫耳と牛乳を飲んでたトリニティ生徒のスキャンを済ませてしばらく、痺れを切らせた俺は電柱に縛られたヘッドフォン不良に話しかけた。

 

「よお、随分な有様だがそれが不良流の最先端ファッションなのか?」

 

ナイトシティ風に尋ねてみるが、ウンともスンとも言わない。 どうやらヘッドフォンの音量がデカすぎて聞こえていないようだ。 というか意識を飛ばしてないか?

 

パシャリとキロシで撮影してケータイに手首から伸ばしたプラグからパーソナルリンクを接続、ワカモ先輩に送信した。

 

 

 

『面白いの見つけた』

 

電柱に縛られたヘッドフォン不良の写真

 

『トリニティじゃよくある光景ですよソレ』

 

『ヒフミちゃんといい、青救護といい、イカれ正実リーダーといいトリニティ結構アレだな?』

 

『一番アレなのは後輩だと思いますけどね』

 

『絶賛破壊活動中のテロリストに言われたくない。 でかい爆発とか起こせるか?』

 

 

 

ドカーン

 

 

 

返事の代わりにブラックマーケット方面から割とデカめの爆発音が山彦のように響いてきた。 ビクンッと縛り上げられた不良が何事かと顔を上げた。 コレで会話ができる。

 

 

 

『流石っす先輩、まじリスペクトっす』

 

『今の爆発で結構消費したので帰りに材料買ってきてください』

 

『ロボット奥さんの所?』

 

『ええ、ズーコンさんによろしく伝えといて下さい』

 

 

 

「昨日の鬱憤が溜まってたんだろうな」

 

慣れない教授からの救出依頼では満足に破壊活動もできなかったのだろう。 今日はずっと爆発音が止みそうにないブラックマーケットであった。

 

そんな事を考えながら右手を振りながら助けがいるかと左手でジェスチャーを送る。

 

「た、たすけて・・・・・・」

 

「ああうん、割ときつそうだな」

 

・救出する←

・もう少し眺める

・経緯を聞く

 

ジャンプして電柱からネジが飛び出したような足場に着地してもう一度ジャンプ、不良の所まであっという間に辿り着く。

縄をゴリラアームで無理やり引きちぎり、ヘッドフォンを外す。

 

「くっそぉ、拳銃を銀色に塗れば誰でも強盗出来るんじゃないのかよぉ・・・・・・あの自警団めぇ・・・・・・」

 

「自警団・・・・・・ああ、先輩が戦っていた連中か」

 

確かあの閃光弾女が所属してる所だったか・・・・・・トリニティ襲撃事件で俺が先生と戦ってる間にワカモ先輩と競り合っていた手強い連中だったな。

 

電柱から降り、続いてコアラのように電柱に抱きつきながら滑り降りてくる不良を出迎える。 自分の席を指さして同じテーブルに着いた。

 

「コーヒー代払ってくれよ」

 

「わかってる、けどあんまり金はないからね」

 

「あ、店員さーん、パフェ追加で」

 

「ないって言ったろ!?」

 

くそうと泣きながら不良もコーヒーを頼んでいた。 パフェとコーヒーが届くまでの暇つぶしついでに経緯を聞くことにしよう。

 

「んで? どうしてあんな事になってたんだ? 仲間に裏切られたのか?」

 

「別に仲間なんていない。 一人で強盗しようとしたら、偶々そこに自警団が居合わせていやがったの・・・・・・うぅ、まだ目がチカチカする」

 

「だからと言って電柱に張り付けてヘッドフォン拷問するか普通?」

 

「知らないよ、あの正実モドキの考え方なんて」

 

目を擦る不良の事情に耳を傾けつつもヘッドフォンを膝の上に置き、音量を低くする。 

 

「つか、この曲はなんだ? キヴォトスの流行りか? 随分とレトロなような気もするが・・・・・・」

 

「レトロってほどでもないでしょ、懐メロってやつなんじゃない? 別に私も明るくないけどさ」

 

いやレトロだろ。 この曲調と楽器のレパートリーは1990年代の音楽じゃないか、2077年からすれば聞いたことのあるやつの方がすくないだろう。

 

「懐メロと言ったらコレだろ」

 

手首から伸びたプラグをヘッドフォンに挿し、パーソナルリンクからSAMURAIの曲をインストールする。 BABYという曲は上書きして完全に消した。

 

「何コレ? デスメタ?」

 

「いや、他のメンバーの意向もリズムもガン無視でボーカルしてるクソ野郎」

 

「それで曲として成り立つの??」

 

「ああ、周りの常識人共がめちゃくちゃフォローしてるからな」

 

嘘である。 周りも周りでかなり個性的なメンバーである。 どの位個性的かというと、メンバーの所有するプールにタンクローリーで突っ込みセメントを流し込む位だ。

 

正直に言おう、特段上手い演奏ではない。 SAMURAIの曲は音楽としての質は普通である。

何せボーカルがクソオブザイヤーノミネート妖精のお立ち台で、自分勝手に叫び散らし、弦を弾き、魂を叩きつける。

 

でもそれがなぜか、耳を傾けてしまう。 陰りはあれど偽りのない叫びとジョニーのカリスマがそうさせてしまうのだろうか、気づけば最前列に行こうとする自分がいる。

 

「必要最低限のリズム合わせ、なのになんでか乗ってしまう」

 

「・・・・・・まあおべっかな曲よりかは自分好みかな」

 

そのタイミングで店内からコーヒー二つとパフェを持った店員が現れた。 俺には到底できない和かな表情でテーブルに並べ、愛想よく頭を下げて下がっていった。

 

「アレが接客かぁ・・・・・・」

 

苦々しい現実と共に二杯目のコーヒーを喉に通す。 そしてパフェへと手を伸ばし、ふわふわなクリームに舌鼓を打つ。

 

「やっぱりキヴォトスの料理は美味いな」

 

キブルでは到底味わえない食感と合成化合物特有のえぐみの無い甘さに感動を覚える。 コレで酒も飲めれば完璧なのだが、何処もかしこも売ってくれない。

 

「ウォッカ飲みてー」

 

キヴォトスには無いだろうが、もっと言うならセンツォンが欲しい。

 

因みに『レストラン』の調理用の酒に手を伸ばしたが凄まじい速度で肉切り包丁が10本飛んできたので断念した。 サンデヴィスタン使っても速度変わらないのは本当になんでだよ。

 

過去の痛みを振り払うように首を揺らし、ふと全く反応のない不良に目をやると、どうやらヘッドフォンから流れる曲に夢中のようだ。

 

「ま、偶にはこんなのんびりするのも悪くないか・・・・・・」

 

綺麗な青空を見上げ、鳥の囀りに耳を傾け、遠くから女子高生の噂話が聞こえてくる。

 

何をするにしても命の危機があるナイトシティ。そこには決してない平穏な空間に安らぎを覚え、カフェインを摂取したばかりだというのに心地よい微睡が俺を包む。

 

太陽に照らされた肌から風が熱を攫い、止めと言わんばかりの気持ちの良さに瞼が落ちそうになる。

 

「・・・・・・ナイトシティで寝落ちなんてしたら殺されちまうってのに、本当に夢みたいな場所だな・・・・・・ここは・・・・・・」

 

少しだけ寝ようと、目を閉じて脳内端末にアラームを設定した。

 

その時だ──

 

 

 

「おっはよーーございまーーーーす!!!!」

 

 

 

──癇癪玉みてーな女が、俺の眠気も不良の夢中も吹き飛ばしたのだった。

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

不機嫌さを隠そうともしない俺と不良は心底邪魔者を見るような目を癇癪玉に注いでいた。

 

「自警団のスーパースター、宇沢レイサ、降臨!!です!!!」

 

うるさい、声もうるさいし存在もうるさい。 やることなすこと全部傍迷惑。 そんな存在が目の前で喚いていた。

 

だがそんな視線を物ともせずポーズを決め、セリフを語る。 他の客もなんだなんだとこちらの様子を伺ってくる。

 

「ふっふっふー、その呆けた姿、この私と言う存在に気圧されていますね!!」

 

ちげーわ、余りのバカさ加減に開いた口が塞がらないだけだ。 不良の眉間も今の発言でイラっと来たのかピクピクと動いている。

 

「そうでしょうそうでしょうとも!! まさかこの場所に自警団がやってくるとは想像もしてなかったでしょうとも!! 実際は我が永遠のライバルを追ってきただけですが!!!」

 

「いやもう自警団にボコボコにされたばかりなんだけど、アンタ二番煎じだよ」

 

「あ!! スズミ先輩やっぱり来てたんですね!!! 最近ずっとDU地区に向かう姿が見えてたので、シャーレの当番なんですかね!!」

 

「うるさいうるさい。 話をコロコロ変えるな、つか俺たちがそんな事知るわけねぇだろメガホン要らず」

 

「で!! あれば!! スズミ先輩の拘束を解いた貴方達を私がもう一度捕まえて見せましょうとも!!! この私!! 宇沢レイサが!!! 貴方達に挑戦状を──

 

 

 

ズドン!!

 

 

 

腰から引き抜いた銀銃の唸りが、先程とはまるで違う緊張感の孕んだ静寂を齎した。

 

「いいから、少し、黙れ」

 

流石に我慢の限界を越えそうだったので額に1発叩き込んだ。 おでこを赤くして涙目でぶっ倒れた癇癪玉、それをズルズルと電柱まで引きずり先程まで不良を拘束していたロープを使って縛り上げた。

 

「コレでもくらえ」

 

サンデヴィスタンで奪い取った不良の頭に乗っていたヘッドフォンを癇癪玉に被せ、大音量のSAMURAIを流した。

 

「あばばばばばばばばばば」

 

ガックンガックンと左右に揺れるダブルラムネヘッドを尻目に席に戻る。 まだ少しだけ残っているパフェをスプーンで掬い甘味で喉を潤す。

 

「んー、甘い♪ ・・・・・・どうしたんだよそんな背筋正して座りやがって」

 

「あ、いや、その・・・・・・銀色の拳銃持ってたので私と同じなりすまし犯かなって思っていたのですけど・・・・・・まさか・・・・・・・・・・・・本人、ですか?」

 

「おう」

 

「oh・・・・・・」

 

両者共に同じ言葉を発したはずなのにまるで意味が違っていた。

 

「舐めた口きいてスミマセンデシタ」

 

「ハナっから気にしてなんかねぇよ、畏まんな面倒くせえ」

 

だから身バレは避けたかったのだ。 周りを見てみれば遠巻きにこちらを見ながらコソコソと会話をする生徒がチラホラと散見され、スマホで写真を撮ってくるやつまでいた。

 

「それもこれも癇癪玉ダブルラムネのせいだ」

 

このままでは連邦捜査部が来るのも時間の問題なので、そろそろ退散しようと席から立ち上がった。

 

「んじゃ、勘定だけよろしく頼──

 

キロシが反応した。

 

危険物、投擲物、致命性なし

 

ダッシュで距離を取り、テーブルをひっくり返して遮光壁代わりにする。

 

後に続く発光、一瞬だけとはいえ凄まじい光量が俺のテーブルに残っていた不良の目を焼いた。

 

「また目がいたあああああああああい!!!?」

 

地面を転がりジタバタと踠く不良を無視してマロリアンアームズに弾倉通さず1発だけリロードする。 コレでレイサに撃った分を補充できた。

 

「おいおいもう来たのかよ」

 

ゲンナリとしながら、ひっくり返したテーブルから顔を出すと見知った姿が縛り上げられてるレイサを救出していた。

 

「レイサさん、大丈夫ですか?」

 

「ううぅ、スズミ先輩・・・・・・ありがとうございますぅ・・・・・・」

 

本当にめんどくさい事になったと深いため息を吐き、行動インプリントの擬態を解除する。

 

「よお、随分速いご到着だな優等生? 5分前行動は立派だが、それでも追いつけねぇぞ?」

 

スズミの不意打ちを回避した俺は銀銃を指で回しながら悠々と姿を現した。




こういった感じでメインジョブでは全く出さずにサイドジョブや番外編でちょっとだけ出すクロスは有りでしょうか? 無しでしょうか?

微クロスは有り? 無し?

  • 有り
  • 無し
  • もっと大胆に他クロスしてもいいのよ
  • そもそもなんのクロスか分からんかった
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