サイバーパンクと青春記録   作:水面どり

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前回の微クロス、わからない人が多かったですね・・・・・・

ワカモ「正直マニアック過ぎたのでは? わからないネタなんて擦られても読者が困るだけですし」

V「せめてブルアカとサイパンに関係あるやつの方がよかったかもな」

ふむ、もうちょい微クロスルールを詰めた方が良さそうですね。

アンケートにお答えいただいた読者の皆様ありがとうございました!! とても参考になりました。

微クロスアンケートは61話に置きっぱなしにしておきますので気が向いたらお答えいただけたら幸いです!!


62話 サイドジョブ 『いつか、きっと/BABY』 3

「Vに助けられた、ですか?」

 

連邦生徒会に書類の不備で呼び出され、先生不在のシャーレでパトロールついでに寄ったスズミは当番生徒ユウカの身に起きた一連の騒動を耳にした。

 

「・・・・・・何かしらの企てではないのでしょうか?」

 

そんな言葉が出てくるのも無理はない。 何せ相手は災厄の狐と共にトリニティを襲撃し、正義実現委員会と自警団の包囲網から逃げ切った正体不明の相手だ。 警戒するなと言う方が無茶だろう。

 

だがユウカから帰ってきた答えは要領の得ない物だった。

 

「・・・・・・そうね、普通ならそう考えるべきなのよね」

 

ユウカは顎に手を当て、椅子にもたれかかりながら天井を眺め思考に耽る。 脳裏に浮かぶのはブラックマーケット騒動、そして自分を助けてくれたテロリスト、最後の打ち上げ会のようなどんちゃん騒ぎ。

 

「企て、か・・・・・・」

 

Vのあの行動には打算があったのだろうか? そう疑ってもどうしてもあの自信に満ちた顔を浮かべてしまう

 

「アレが何を考えてるかは正直分からないわ。 どうして私に協力的だったのかも結局ハッキリしないままだし、でも一つだけハッキリしたことはある」

 

別に弱点とか、倒す為の取っ掛かりじゃないけどね、と過度な期待を振り払うような前振りをして言葉を続けた。

 

「決して話が通じない生徒じゃないわ。 ただ価値観がかなり独特なだけよ」

 

「価値観、ですか?」

 

話が通じない生徒ではない。この事はシャーレ防衛戦の当事者であるスズミも理解していた。 先生の作戦タイムでちゃんと待ってくれる辺り、人の良さが滲み出ていた。 しかし価値観が違う、その言葉にはまだピンとこない。

 

「まるでキヴォトスとは別の場所で育ったみたいにね。そうなると色々辻褄が合うのよ」

 

顎に手を当てて思考を巡らせる。

 

機械化された体、異常な加速、かなりの場数を踏まなければ至れないだろう戦闘技術、空中でさらに動き回る仕組み、ミレニアムのテクノロジーとはまた違う系統の技術。

 

そしてなによりも、そんな存在がシャーレ襲撃前までは全くの無名だったこと。

 

「アレだけ強かったらどんなに情報を操作していたとしても噂話ぐらいは聞こえてくるはずよ。 なのにそれが全くなかった・・・・・・それにミレニアムのデータベースにも彼女に繋がる情報も出てこなかった」

 

「・・・・・・キヴォトスであの強さが全く認識されていなかったのは確かに異常ですね」

 

スズミはシャーレに備え付けられていた黒板にチョークで情報を書き出す事で整理していく。

 

外見・160cm前後の身長、肩にかからない程度の白髪に金色が混じったようなプラチナブロンド、先生曰く四角に『R』のようなマークが刻まれた赤いヘイロー(生徒ではヘイローの違いは認識できない)

装備&技術・銀色のピストル、紅の刀、血液ポンプ(回復技術)、強化義手、高度な運転技術、圧倒的空中機動力、ミレニアムでも探知できない光学迷彩

神秘・誰にでも変身できる能力?

 

「こんなところでしょうか?」

 

「・・・・・・血液ポンプは2回確認、って加えといて」

 

「・・・・・・2回分もあるのですね」

 

書き出されたVの実力に遠い気分になってしまったユウカはイスの背もたれに身を預け、シャーレの天井を仰ぐ。

 

そしてポツリと溢した。

 

 

 

「実はね、私とハスミとチナツでモモトークのグループを作ってるの」

 

 

 

「・・・・・・んぐっ!!?」

 

不意な情報によって、つい変な力を加わえてしまいチョークが粉々に砕け散ってしまった。

 

それはスズミを除いたシャーレ攻防のメンバーがグループチャットを形成していたという報告であった。 そんな全く予想外の方向でぶん殴られたスズミは間抜けな声を出しそうになった。

 

え? 私ハブられてる??

 

そのショックは余りにも大きすぎた。 熱いもの胸に秘めつつもクールに状況を分析するスズミがぎこちなく戸惑うほどに動揺した。

 

スズミ自身も自分が人付き合いが苦手な事は自覚している一方、友達付き合いに人並み以上の憧れを抱いていた。 特に正義実現委員会を辞めてからはその念が強くなり続けていた。

具体的に言うと遊びに出かけたりとか、夜中に今日の振り返りをしながら一緒のグループチャットでワイワイしたいのだ。

 

それがどうしてかシャーレ初期メンバーで自分だけ除け者である。 正直に言えばちょっと泣きそうだった。

 

何か失礼な事をしてしまったのだろうか? それともハスミさん経由で正義実現委員会を途中で辞めた癖に非認可の自警団してるやべー奴という事実が漏れた? それとも空気読めてなかった? 言葉が足りなさすぎた? 閃光弾の輝きが足りなかった?

 

ぐるぐると巡る答えの出ない思考。 いっそ閃光弾でも投げれば全てを明るく照らしてくれるのでは、という自暴自棄とも取れる考えが過ぎる。

 

「お互いにVについて調べ上げて、その情報を共有する為なんだけど・・・・・・全然成果を得られてないの。 ゲヘナの情報部でも影も形も掴めないし、ハスミが委員会の手隙の生徒少人数でシロコっていうVが化けてた生徒に聞き込みに行ったけど逃げられちゃって。ミレニアムのデータベースにアクセスしても該当する項目はなかったわ」

 

思考の坩堝にハマっていたスズミを引き上げたのは、続くユウカの言葉だった。

 

「ナイトシティで育った、って聞いたけど全然検索エンジンにも引っかからない名前だったわ。 本当に何処なのよ・・・・・・」

 

「ナイトシティ・・・・・・」

 

そのまま訳するなら夜の街、捻って考えるなら・・・・・・

 

「夢の街・・・・・・夢?」

 

何かがカチリとハマったような音がスズミの脳内に響いた。

 

夢といえば、ティーパーティーのホスト百合園セイアは夢で未来を見るという噂を聞いたことがあった。 そして剣先ツルギとVの激闘に割って入った蒼森ミネはなんと言っていた?

 

 

 

「セイアさんの件、貴方の仕業ですか、V!!」

 

 

 

まさか夢の中でセイアに襲撃を仕掛けた?

 

「・・・・・・いえ、流石に飛躍しすぎですね・・・・・・でもミネさんの言う通りセイアさん襲撃の犯人がVなら、正義実現委員会とティーパーティーの捜査で犯人の足取りが追えないのは納得できますね・・・・・・」

 

夢からの襲撃という余りにも突飛な考えは脇に置いた。 だがサンデヴィスタンという加速装置と光学迷彩があれば痕跡を残さずにセイアに危害を加える事は可能のはずだ。

 

とはいえ、正直アレがセイアを襲撃するような生徒には見えなかった。 先生の作戦タイムでちゃんと待ってくれるようなお人好しが、百合園セイアを寝たきり状態にする程の攻撃を加えるとは思えないのだ。

 

「だとしたらミネさんの勘違いでしょうか。 あの人は一度思い込むと止まらなくなってしまいますからね・・・・・・」

 

それでハスミとぶつかり合っているのを一年生だったスズミは何度も目撃していた。 物や猫を投げないで欲しいと心の中で思ったのは一度や二度ではない。 前者は散らかるし後者は可哀想である。

 

「スズミ、聞いてる?」

 

「あ、すみません、つい考え事を・・・・・・」

 

脱線した思考を振り払い、また後で考えをまとめようとユウカに向き直る。 

 

「それじゃあ改めて、貴方さえ良ければ私達のグループに入らない?」

 

「! よろしいのですか?」

 

喜色の表情を浮かべたスズミにユウカは意外そうにしつつも、何処か微笑ましくもなった。 成果が認められて予算獲得に成功したミレニアムの生徒も似たような顔をするからだろう。

 

「ええ勿論よ。 というかハスミから誘われなかったの? 貴方もグループに誘えないかお願いしていたのだけど・・・・・・?」

 

「・・・・・・ハスミさんはここ最近かなり忙しくされてるようでしたので、検問所とか、修繕とか、苦情の対応とかで・・・・・・それに度々検問所を襲撃する転入生に相当手を焼いてるようです」

 

因みに・・・・・・ハスミはトリニティ襲撃事件以降一度も休めていないし、シャーレの当番にすら来れていない。 なんだったら仕事の合間に嗜んでいた紅茶と甘味で彩るブレイクタイムすらなかった。 多忙の限りを極めていた。

 

「・・・・・・どこもVに振り回されてるわね」

 

「ええ、まったく。 台風の目のような存在です」

 

お互いに軽いため息を吐き、困ったように肩をすくめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スズミはパトロールを再開してシャーレのあるD.U郊外からトリニティ方面へと向かっていた。 だがその様子はとてもパトロールをしてるとは思えないものだった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

浮ついた心を秘めながら難しい顔をし、スマホと睨めっこをしていた。 映された画面はモモトークで最新のメッセージは『スズミがグループチャットに加わりました』というシステムメッセージだ。

 

さて、ここが一番肝心だ。 一番最初の挨拶、どんな事を言えばいいのか。 下手な事を言えば最悪業務上のチャットしか飛んでこなくなってしまう。 コレが対Vの情報共有グループだと知っていても、スズミは花の女子高生だ、少しぐらい友達らしい付き合いはしたいのだ。

 

「無難に『これからよろしくお願いします』でしょうか? いえ、少々言葉が足らないような・・・・・・『守月スズミですグループチャットに加わりましたこれからよろしくお願いします』硬すぎでしょうか・・・・・・少々砕けて『これからよろしくお願いしますね皆さん』フランク過ぎでしょうか?」

 

スマホをポケットにしまい、歩きながら最初の挨拶を考えてみるが・・・・・・堂々巡りのような思考のループに陥っていた。

 

「レイサさんなら、きっと明るく挨拶できるのでしょうね」

 

自警団に加わってくれた元気いっぱいの後輩、彼女ならこんな事にも臆せずに突撃するのだろう。

 

しばらくして、このままでは埒が明かないと意を決し無難な文章を打ち込もうとして視界の端に・・・・・・

 

 

 

自慢の後輩が電柱に縛り上げられていた。

 

 

 

「レイサさん!?」

 

スマホをポケットに入れ、今すぐにでも駆け出しそうになる体を止めて物陰に隠れる。 レイサが縛り上げられてる以上、相手も相当の手練の可能性もある。 落ち着いて状況を分析すべきだと判断した。

 

「というか何故レイサさんに私のヘッドフォンが?」

 

帰りに回収しようとしてたヘッドフォンがVになりすましてた不良ではなくレイサに搭載されてしまっているのか、そして何故レイサもレイサでガックンガックン頭を揺らしているのか?

 

「いったい何を聞かされてるのでしょうか??」

 

そしてヘドバンレイサの近くで呑気にお茶している二人組。片方は今朝スズミが縛り上げた不良でもう片方は・・・・・・銀色の拳銃を腰にしまうスケバンだった。

 

「・・・・・・まさか」

 

ただのなりすまし犯程度でレイサを止めれるわけがない。 仮に止めれたとしてもショットガンを振り回してガンガン突撃するレイサ相手に無傷で制圧なんて簡単にできる事じゃない。

 

「V」

 

だとしたらどうする? スズミ単独でVの相手なんて不可能だ。 もし全力を出されたら持っても30秒が限界だろう。 制圧なんて夢のまた夢だ。

 

「なら、レイサさんだけ回収して撤退・・・・・・」

 

スズミの神秘を込めたスタングレネードなら、目を眩ませてる間にレイサを救出するのに必要な時間は稼げるだろう。

 

「・・・・・・でも」

 

本当にそれでいいのだろうか? V自身誰にでも変装できる上、Vのなりすまし犯が横行するキヴォトスの状態、次Vに遭遇できるのは何時なのか?

 

「逆にこの状況は千載一遇のチャンスかもしれませんね」

 

そうだ、コレはチャンスだ。 もう一度スマホを開いてグループチャットのログを辿り、Vの情報に急いで目を通す。

 

よし、作戦は決まった。 いや、作戦というには余りにも無鉄砲すぎるもので到底作戦とは思えないものだが、Vと正面戦闘するより幾分かましだろう。

 

「・・・・・・ふぅ、行きましょう私」

 

自分自身に言い聞かせて緊張感を少しでも解す。スタングレネードを握る手に力を込めて、投擲と同時に走り出した。

 

「先ずはレイサさんの救出から!!」

 

スタングレネードが地面の落下と同時に発光。 光と同時に聞こえてきたなりすまし犯の絶叫。

電柱に縛り上げられてるレイサの縄を非常用に保持していたサバイバルナイフで切り落とした。

 

「レイサさん、大丈夫ですか?」

 

「ううぅ、スズミ先輩・・・・・・ありがとうございますぅ・・・・・・」

 

レイサの状態を確認し、大した外傷がない事に安堵する。 精々がおでこに被弾による赤い痕が付いている程度だ。

 

そしてすぐに、視線を倒れたテーブルへと移した。

 

テーブルからはスケバンが顔を覗かせており、めんどくさそうに立ち上がりながらその顔を作り変えていった。

 

まるでパズルでも崩してるように消えていくスケバンの顔の裏には、白に金色が混ざったようなプラチナブロンドの生徒がいた。

 

「よお、随分速いご到着だな優等生? 5分前行動は立派だが、それでも追いつけねぇぞ?」

 

さあここからだ。 ここからはVが乗ってくれるか否かに掛かっている。

 

スズミは覚悟を決めたかのような形相で歩き出し、それにVも強い警戒心を抱いた。 腰に差した銀銃に指をかけ何時でも引き抜けるようにする。

 

そして・・・・・・

 

 

 

・・・・・・スズミはVが遮光物として倒したテーブルに指をかけた。

 

 

 

「・・・・・・うん?」

 

眉間に皺を寄せ、スズミの理解できない行動に更に思考を巡らせた。 その間にもスズミはテーブルを立てて元に戻して、椅子を引っ張って来た。

 

ここでVもスズミが何をしようとしてるのか合点がいった。

 

「・・・・・・」

 

Vも椅子を持って来て、スズミが並べた椅子の反対側に立てた。 そして未だに立ちっぱなしのスズミに顎で指す。

 

「そういうものですか」

 

そうしてスズミが先に座り、まだVが立ったままの状況になった。

 

「「・・・・・・」」

 

そして膠着、座るスズミに見下すような視線を意図的に向けるV。

 

そんな二人にレイサも目がグショグショな不良も疑問符を浮かべていた。

 

「ん? 何コレどういう状況っすか?」

 

「え、えっと・・・・・・スズミ先輩? 一体何をしてるので?」

 

だが二人の疑問に答えは返ってこない。 コーヒーや紅茶の香りなどではない、不気味な静けさがカフェを包んでいた。

 

「いい加減座っていただけませんか? 貴方にそのつもりがないのなら私を倒しているでしょう?」

 

「その前にだ、俺がこのテーブルにつく理由(メリット)がない。 それを提示しろ」

 

「・・・・・・わかりました」

 

スズミは革製のバックを開けて、中から一つの筒を取り出した。

 

「スタングレネードです」

 

「なぁーんでそれで座ると思った閃光弾女??」

 

そこは普通金だろどんだけ閃光弾好きなんだよ・・・・・・そう言いながら椅子を引いてVはテーブルについた。

 

「・・・・・・そう言いつつも座って頂けるのですね」

 

「まあ、差し出したって事はお前にとって大事な物って事だろ? じゃあ先ずはそんな物でいいさ、()()()()()()()()()()()()()()()

 

テーブルの上でスタングレネードを指で転がす。 まるで弄んでいるかのように。

 

「さて、時間も余りないし始めようか」

 

「ええ、交渉を始めましょう」

 

スズミのもう一つの戦いが幕を開けた。




微クロス、キアヌリーブス様のネタならいけるか? ジョンウィックとか

ワカモ「まあ前回のラチェクラよかマシかと」

V「でもまんまキャラを出すのは無しだろ。 その映画を俺とワカモ先輩が見るとかならいいんじゃないか?」

なるほど・・・・・・ふむふむ・・・・・・_φ(・_・メモメモ
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