透き通った空に浮かぶ星 作:哲学の階司書補
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理性の殻が崩れ、心が剥き出しになった状態。それが続けば、本来そうあったかのように、形を変えてしまうだろう。
理性が心に飲み込まれないように、ビナーはヒナとホシノ、2人の様子を見ていた。
時間切れ、それはある意味正しくあるし、ある意味では正しくない。
お互いダメージにならない撃ち合い。それをダラダラと続けるのであれば、ヒナが戻れなくなるのは間違いないだろう。
演習場に現れたビナーは、ヒナを鎖で縛り付ける。
「先生、私にやらせて! ヒナちゃんは私の、大切な友達だから」
「……一度混ざりあってしまったものを引き剥がすのは困難だろうね」
「だから時間切れ……か。わかった。ヒナちゃん、私頑張るから、もう少し耐えてね!」
ビナーの言葉の意図を理解したホシノは改めてヒナに向かい銃を構える。ビナーはその様子を見て、その場から少し離れる。と同時に、ヒナを縛っていた鎖が光へと姿を変え消える。
「ちょっと痛いだろうけど、我慢してね」
弾丸のように突っ込むホシノ。ヒナは距離を置こうとするが、その隙を与えず黒とピンクが混じりあった散弾が襲いかかる。それまでと違い、弾は容易にヒナを貫く。それは、実弾ではなく、神秘で出来たエネルギーの塊。柔肌に傷を付け血を流すことはなくとも、そのダメージは確かにヒナへと蓄積される。
「天秤が直ることはない」
平坦な声を発しながら、ヒナは薙ぎ払うようにレーザーを放つ。時間という焦りもあり、至近距離で攻撃していたホシノは咄嗟に回避行動を取り飛び退くが、片足に被弾。着地に失敗し、大きな隙を晒してしまう。
「くっ……やるね、ヒナちゃん」
焼けるような痛みに一瞬崩れそうになるが、ヒナの追撃をなんとか避ける。しかし、形勢が逆転しホシノは後手に回る。
制限時間も迫ってきている。
ホシノはふぅ、と息を整え、今度は中距離を意識しながら攻撃を行っていく。
ヒナの動きをしっかりと見て、攻撃の予兆があればすぐに回避できるよう立ち回りを変えていく。
全距離に対応し、高機動高火力高耐久。ビナーとの鍛錬によって、ホシノは超人というに相応しい戦闘能力を手にしていた。
「これで、おしまい……!」
攻撃を受け、ヒナが見せた一瞬の隙。それに合わせてホシノは急接近し、弾を放つのは、ヒナ本体ではなく、その手に持った天秤。
天秤がバキィンと大きな音を立てる。
天秤は破壊されるのではなく、よく見ればその2つの皿は並行を示していた。
それと同時に、ヒナの頭の上で鈍く回っていた歯車は、カランと地に落ち、ヒナ自身も、それと同期するように気絶した。
「なんとかなった…………のかな」
緊張が解け、つい尻もちをつくホシノ。そんな2人の元に戻ってきたビナーは、気絶しているヒナを見て話す。
「嘗て壊れていた天秤は、助けに応えた朋に依って修復された。曝け出された心を任せられる相手。自分の身をひとつで熟すことが全てではないから」
「いざと言う時に力になって助けてくれる人、かぁ。ヒナちゃんの場合、力に重きを置くゲヘナに居るから、自分の横に並ぶくらいじゃないと、SOSは感じ取れなかったのかもね〜」
「難儀なものだね?」
「難儀だねぇ〜」
よいしょ、とヒナを背負ったホシノは、ビナーと共に校舎へと戻って行った。
一方その頃、ミレニアムでは、ゲーム開発部と新任な先生が、必死こいて廃部を回避しようと頑張っていた。