透き通った空に浮かぶ星 作:哲学の階司書補
バタバタしちゃってて
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「ん……ぅぅ……」
ヒナが保健室のベッドで寝る横で、対策委員会の面々はわーきゃーと騒いでいる。
やれ私が戦いたかっただの、演習場の修復費はゲヘナに請求していいんでしょうかだの。シロコの意見に賛同しているノノミとセリカの姿に、ホシノは(戦闘狂、増えちゃった……)なんて思ったり。
意識を落としていた人の横とは思えない賑わいっぷりであった。
そんな会話を聴きながら、ヒナはもぞもぞと起き上がり、ベッドに腰かける。
それに気付いたホシノが一人そばにやってくる。
「おはようヒナちゃん、体痛いところとかない?」
「随分と恥ずかしい所を見せちゃったわね……うん、痛くない」
上半身を少し動かし、両手をグーパーと閉じて開いて、身体に不調がないことを確認する。
「これで一勝一敗だね、ヒナちゃん」
その様子に安心したホシノはにへらと笑いながらそう言う。ヒナからすれば、交流戦は風紀委員としての事情あっての勝敗。気持ちとしては、負けたようなものだった。
「次は勝つわ………………ホシノ」
「うへへ、ヒナちゃんにそう呼んで貰えると嬉しいね〜。でも、次も私が勝つよ」
少しの間見つめあったあと、二人は示し合わせたように同時に頬を緩める。
「その……今度またゲヘナに来てくれない? ……相談したいことがあるから」
「何かいい事思いついたんでしょ? もちろんいいよ、日程はモモトークに送って〜」
初めて抱く親愛の感情に少し戸惑いながらもホシノを誘うヒナ。
ねじれる前、本音をしっかりと聞き届けたホシノは当然それにOKを出し、アビドス対策委員長と風紀委員長ではなく、ただのホシノとヒナとして会うことを決めた。
「うーん、なんだか甘酸っぱいですね〜」
「これが……NTR!?」
「寝てから言いなさいよ……」
「風紀委員長のことはホシノ先輩に任せて、私たちは片付けに戻りましょうか。邪魔になるかも知れませんし」
そんなどこか甘酸っぱい雰囲気に、後輩4人は空気を読んで、お茶会の片付けをするべく保健室を出ていった。
数日後。ヒナとホシノ、2人の姿は風紀委員棟の応接間にあった。つまり、お互いの組織のトップとしての会合ということ。
「わざわざ遠方から来てくれてありがとう、小鳥遊ホシノ」
「いやぁ〜こちらこそ、忙しいのに時間作ってくれて感謝だよ〜」
どこか形式的な挨拶。一応記録に残すから、というのもあって、ついつい緩みそうな言葉遣いに気を付けながら、話を進めていく。
「それで、相談っていうのは?」
「えぇ。そろそろちゃんと休みを取りたくて。でも、私が居ないと不良達に風紀委員は舐められてるのが現状よ」
「なるほどね。こっちとして取れるのは、外部提携として不良の鎮圧に協力、風紀委員達の育成を担当、辺りになるかな?」
現在の風紀委員の問題。それは事実上ヒナのワンマンで成り立っている事だった。事務にしても戦力にしても。アコもそれなりの書類を処理してくれてはいるが、結局風紀委員自体が舐められてるが故に、不良達による問題行動がさらに書類の量を増やしていた。
それに対し、アビドス、もしくはホシノ個人が出来ることといえば、鎮圧の協力か風紀委員の育成。
「可能なら後者の案のほうがいい。その、私が休みでも、ホシノが仕事だと、一緒にお出かけしたりできないし……」
「わ…………そういうことね〜。じゃあアビドスから教官として、風紀委員の戦力強化をはかる。ってのが良さそうだね」
「えぇ、お願いできるかしら」
「任せて。一応の報酬周りの契約はうちのアヤネちゃんを通してやってもらうとして、会議は以上かな?」
「そうね、詳細な書類はアコに送らせるわ。今週中には締結出来るといいのだけど」
「それじゃあ記録装置を切って……いいよヒナちゃん、好きなだけ甘えて」
「いいの……?」
ホシノがそれに頷いて両腕を広げると、ヒナは遠慮がちに近づいていく。
それを見たホシノは、ヒナの手を取り抱き寄せる。少し頬を赤らめながらも身を任せる様子を愛おしく思いながら、頭を撫でる。
気付けば、すぅ、すぅと聞こえて、ヒナはホシノを抱きしめたまま、眠ってしまっていた。
「おじさんもちょっとお昼寝しようかな、せっかくだしね」
タイマーを会合終了予定時間の少し前に設定すると、ヒナの柔らかな身体を感じながら、ホシノも眠りへと落ちていった。
その日のヒナの事務業務スピードはいつもの1.5倍はあったとか。