透き通った空に浮かぶ星   作:哲学の階司書補

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ちょっと遅くなりました
暑さで体調崩し気味ですが、皆さんもしっかり水飲んでね……

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感想最近返せてなくてすみません、近々返します



ティーパーティーに招待されたもう1人の大人

 先生がティーパーティーに招待される数日前。

 

 もう1人の大人がティーパーティーへと招待されていた。

 

「ようこそティーパーティーへ、先生」

 

「ふむ、良い薫りだね」

 

 優雅に紅茶を嗜むビナーと、どこか緊張を感じるセイア。そして……

 

「偶然にも私が贔屓にしている紅茶専門店で1度お見かけしましたが、あぁ、あの時の。今回の茶葉は重厚感のある香りはもちろんのこと、色もとても綺麗で……」

 

「彼処の茶葉は迚も好い。あれから私も贔屓にしているよ」

 

 紅茶談議に盛り上がるナギサと、

 

「確かに美味しいけど、そんなにかなぁ……というか、この人は何者なの? セイアちゃんほとんど説明してくれなかったし。今のところ、先生? で、紅茶好きってこと以外なーんにもわかんなかったけど」

 

 割と放ったらかしを受けてるミカであった。

 

「私の名はビナーと言う。1度はセイアを教え導いたな」

 

「あの時のことは本当に感謝している。眠ることさえ叶わなかったからね」

 

「あー! ずっと眠そうなのに、眠らせないでくれ、が口癖になってたあの時ね! ……あ、セイアちゃんの側近から聞いたのは秘密にしないとなんだった」

 

「私は桐藤ナギサです。よろしくお願いしますね、ビナーさん。ほら、ミカさんも」

 

「あ、うん。私は聖園ミカ、よろしくね! ビナー……ちゃんじゃないか、さんも……うーん、セイアちゃんに合わせて先生でも」

 

「好きに呼ぶと良いよ、ミカ」

 

 目が合う。飲み込まれるような深い黒。それでいて心の奥底まで見透かされているような。

 

「ひゅっ」

 

 息が詰まる、上手く呼吸が出来ない。意識が黒に飲まれる。それこそあの瞳の色だ。どんどんと落ちて……

 

「ミカさん、大丈夫ですか!?」

 

 焦った様子のナギサがミカに声をかける。どうやらヘイローが点滅していたらしい。

 

「ちょ、ちょっと茶菓子が喉に詰まっちゃって。呼び方はナギサちゃんと同じビナーさんにしようかな」

 

 まだ茶菓子にはひとつも手をつけていないのに無理がある言い訳をしながら、ちびちびと紅茶を飲み、なんとか呼吸を落ち着けるミカ。

 表ではエデン条約、裏では独り進めている計画があるというのに、不安定さがなくなり活発になったセイアによって、今までと比べ頻繁にティーパーティーの場は設けられている。そもそもこの場にセイアが居ること自体、ミカの計画が上手くいっていないことの証明。白洲アズサによるセイア襲撃は失敗している。

 賢いセイアなら、その首謀者が自分であると気付くかもしれない。そのせいで焦りや後ろめたさを余計に感じてしまい、自身が思っている以上に精神的に弱っていた。

 

「ミカが平気なら本題に入るが、大丈夫かい? 万全を期さなければ楽園には至れないだろうからね」

 

「大丈夫大丈夫、ちょっとびっくりしただけ」

 

「それならいいんだが……何かあれば、私たちや救護騎士団を頼るように。それじゃあ先生、にここまで来てもらった理由、本題について話そうか。エデン条約、連邦生徒会長の置き土産。私たちティーパーティーは、楽園の名を冠したそれの調印のために、日々を忙しく過ごしている。事実上ゲヘナとの休戦、それがこの条約の本質。これをよく思わない者が存在する。全ての人が納得するなどということは、きっと楽園にたどり着くことよりも有り得ないことだろう。言ってしまえば、これが調印されないよう働く者たちがいる。現に数日前、私も襲撃を受けた、それも自室でね。しかし私の方が強いため、特に問題は起きなかった。相手の右手に酷い傷を負わせてしまったのは申し訳ない気持ちだが、これは正当防衛という他ないな」

 

「それで、私の手助けが欲しいと?」

 

「いえ、先生は基本的に自ら、私たちが綴る物語(ブルーアーカイブ)の大筋に手を出そうと考えていないのを私は知っている。それに、トリニティとして先生に直接的な協力を依頼することは、エデン条約の調印において、ゲヘナを信用していないと捉えられかねないだろうね。余計なリスクを負うべきでないと私は判断した」

 

「其れが賢明だろうね」

 

「であるが故に。先生には正義実現委員会を教えて頂きたい。仮にエデン条約を調印出来たとして、戦力として機構に供出するのは主に正義実現委員会からになるだろうから。ゲヘナの風紀委員と比べれば、力不足なのは否めない。エデン条約機構内で借りが出来てしまえば、均衡が崩れる可能性がある。それは火を見るより明らかだろうね。風紀委員は最近になってより力をつけたとも聞く」

 

「情報によれば委員長に頼り切りでは無くなったらしいですから、トリニティとしては確かに焦りを感じますね」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「ああ、幼き子達はもう巣立つに足りうるほど強く育って呉れたから」

 

「受けてくれることを感謝するよ、先生。今は確か砂漠の」

 

「え、それで受けてくれてたの!?」

 

 ビナーとセイアの会話をさっぱり理解できないミカ。セイアが一方的に話をして、ビナーが相槌を打っているだけにしか見えなかったから。

 

「この計画は私が主導で行っていくから。2人もエデン条約と並行して進める事があるんだろう? 主役を無碍にしないのなら、誰も怒ることは無いだろうさ」

 

「っ!? ゲホッけホッ」

 

 エデン条約と並行で進めていること。その言葉がセイアの口から出たことに咳き込むミカ。

 

「ああ、補習授業部の事ですか。もう耳に入れてたなんて、流石はセイアさんですね」

 

 ナギサが補習授業部のことに触れたことで、そういえば自分も関わっているんだった、と冷静さを取り戻せた。

 

「……ミカ、本当に大丈夫かい? 先生には少し悪いが、今日はここまでにしようか」

 

 純粋に心配の目を向けるセイア。その視線がさらにミカの精神をすり減らしていることには気付かず。

 

「う、うん。セイアちゃんのお言葉に甘えさせてもらおうかな」

 

 鏡があれば、自分の顔は真っ青に映るだろうな、なんて思いながら、ミカは手を振ってそそくさと撤退する。

 残されたのは、心配げな顔を浮かべるティーパーティーの2人と、新しいおもちゃを見つけたビナーの姿だった。




会いそうで会わないビナーと先生
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