透き通った空に浮かぶ星   作:哲学の階司書補

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正義実現委員会全員筋肉痛訓練withビナー

 正義実現委員会。ティーパーティーの指揮の下トリニティ内の治安維持や警備をする訳だが。

 最近副委員長、羽川ハスミの頭を悩ませていることがひとつあった。

 それは訓練を視察……どころか訓練に参加してくるティーパーティーホスト、セイアだ。

 委員長であるツルギを除く全員を同時に1人で相手すると言い出し、そのまま勝利してしまったり。体調が不安定という話はなんだったのか、めちゃくちゃにアクティブな人になっていた。手の内が見えない強者に連携して挑むという経験は貴重だし、訓練後には運動に付き合ってくれたお礼と言って委員全員にアフターヌーンティーの無料チケットを配布したり。訓練の度にどこか欲求不満気味なツルギと1対1でガチタイマンすることでストレス発散に付き合ってくれたりと、正義実現委員会に良くしてくれているのはとてもありがたい。

 ありがたいがそれはそれとして、ツルギ以外は万が一大怪我をさせたらどうしようと緊張しているし、ティーパーティーの現トップが訓練の度にやってくるのは、事務回り担当のハスミとしてはかなり胃が痛い。

 そして、エデン条約機構についての会議が行われるようになったころ、セイアは更なる厄介事を持ってきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 出先での用事を終わらせ、執務室へ帰ろうという時に、ハスミの端末が震える。連絡してきたのはティーパーティーホストであるセイア。少し嫌な予感がしながらも、電話に出る。

 

「突然ですまない。ハスミ、少し時間を取れるだろうか」

 

「はい、今用事も終わったところですので」

 

「ありがとう。急ぎではないが、重要な内容だから、執務室に戻り一息ついたら折り返すように」

 

「わかりました。お気遣いありがとうございます」

 

 エデン条約に関してはナギサから通達を受けることがほとんどな為、その場に同席していることはあれど、訓練の度に訪問することくらいしか、セイアからの直接の連絡はなかった。

 重要な話。時期が時期なだけにエデン条約に関連してのことだろう。

 

「お待たせしました、セイア様」

 

「ああ、お疲れ様、ハスミ。いつも訓練の時はすまないね。余計に気を張らせてしまっているのは、何となく伝わっている」

 

 汗をさっと流した後、セイアへと折り返しの連絡を入れる。

 分かっているならやめて欲しい気持ちもあるが、連携が良くなったのは事実だし、最近は最早慣れて緊張している委員も少なくなっている。いい事なのかは分からないが。

 

「ハスミはエデン条約機構の仕組みは理解しているかな。トリニティとゲヘナがお互いに人員を供出し、トラブルへの対応に当たる。ゲヘナとの全面戦争を防止するための機構という訳だね。そこでだ、ハスミなら既に耳に入れているだろうが、恐らくゲヘナから主に供出されるメンバーであろう風紀委員会。これが最近力をつけているようでね」

 

「……つまり、正義実現委員会がゲヘナに、エデン条約機構内で借りを作る可能性がある、ということですか」

 

「話が早くて助かるよ。タダでさえギスギスするのが目に見えているというのに、そこでマウントの取り合いになれば、目も当てられないことになるだろうね。風紀委員のメンタル的にも良くないだろうし。そこで、だ」

 

「正義実現委員会の戦力の増強が急務、ということですか。セイア様が訓練を手伝って下さるようになってから、私達も強くなったとは思いますが……」

 

「それはもちろん分かっている、が……今回は外部から教官を招待した。正直、私では歯が立たないほどに強い。だから、今よりももっと強くなれる。ツルギはとても喜ぶだろうね」

 

「委員長は、まあ、そうですね。セイア様との訓練もとても喜んでいますよ」

 

 ツルギが、セイアに対して恋する少女のような目を向けるようになったのを知っているハスミ。委員長の交友に幅が生まれるのはいい事だな、とあまり深く考えないことにした。

 

 

 

 

 それから数日後、正義実現委員会の全体訓練の場に現れたのはセイアと黒衣を纏った大人、ビナー。

 

 ハスミは、事前にセイアが教官を呼ぶ事を告知していたので、そこまで混乱が広がることは無かった。それでも、訓練の場に大人が来る、ということに緊張している生徒も居る。

 ヘイローを持っていない人が教官、ということに、ビナーのことを侮るものと居たが、ツルギやハスミ、マシロ、イチカはその力を見抜いていた。

 嘗てのビナーであれば、嬉々として甚振っていただろうが。

 己もカーリーの底力を見誤り相打ちまで持ち込まれてしまった手前、特に言及することはなかった。

 

「こちらが本日教官を担当するビナー先生。全力の私を軽く倒せる力を持っているから、ヘイローを持たないからと言って侮らない様に」

 

 正直なところ、ビナーからすると、教官をしろと言われても、自身の戦闘スタイルは特異点の攻撃的運用、図書館で戦った記憶に新しい相手は近接武器を使っている。そもそも都市が銃に厳しい規制を掛けていることもあり、回避と防御の判断、偏差撃ち、及び誘導くらいしか教えられることがない。

 それでハチャメチャに強くなったのがホシノとシロコなのだが。

 なので、結局正義実現委員会に対しても、超スパルタな基礎訓練をカリキュラムとすることにした。

 

 1人、また1人とダウンしていき、最後には嬉々として着いてきていたツルギとセイアしか立っていなかった。

 ハスミやマシロは休憩を挟んだあと復帰したが、それでもまたダウンして端の方で3人の実戦形式の訓練を眺めていた。

 

 

 何度もタイマンで死合いをしていただけあって、セイアとツルギの息はピッタリ。ツルギの射撃の隙に飛んでくる攻撃をセイアが弾き、セイアが接近する隙をツルギが作り出す。完璧にも思える連携だが、ビナーはタイミングをずらして柱を打ち出し、逃げ場を無くすように妖精で回避方向を誘導していく。

 ツルギを攻撃の主体にしようとすれば、黒い波が1点に留まることを否定する。

 結局、セイアが一度柱を弾き損ねたのを境に、一気に均衡が崩れ2人も地に伏すこととなった。

 

 翌日全員が酷い筋肉痛に襲われることにはなったが、確かに基礎戦闘力は向上し、対セイアの実践演習でも、確実にダメージを与えられるようになり(その分セイアも継戦能力が上がり結局正義実現委員会側の息切れに終わるが)、ツルギとセイアのタイマン勝負もより激しいものへと変わっていった。

 修繕費はセイア持ちとはいえ、流石に毎回訓練所の惨状を見ると、ツルギもすこし申し訳ない気持ちになるのだった。

 




ハスミのゲヘナ嫌いは、正義実現委員会が強くなったことで、多少マシになったりしてます。嫌いは嫌いだけど、やることなすことに激情を駆るほどでは無い。くらい。
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